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Invitation to SGRA Panel Session at EACJS (Part 2)

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SGRAかわらばん793号(2019年10月17日)

【1】東アジア日本研究者協議会へのお誘い(11月1~3日、台北)
SGRA参加パネル#2「ODAとアジア:再評価の試み」

【2】新刊紹介『一帯一路の政治経済学』

【3】SGRAチャイナ・フォーラムへのお誘い(最終)
「国際日本学としてのアニメ研究」(10月19日、北京)
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【1】第4回東アジア日本研究者協議会へのお誘い

◆SGRAパネル#2「ODAとアジア:再評価の試み」

東アジア日本研究者協議会(EACJS)は、東アジアの日本研究関連の学術と人的交流を目的として2016年に発足されました。SGRAはその理念に賛同し今年も3つのパネルに参加いたします。各パネルの発表内容を順次ご案内しますので、これを機会に皆様のご参加やご関心をお寄せいただければ幸いです。

【第4回東アジア日本研究者協議会国際学術大会in台北】
日時:2019年11月1日(金)~3日(日)
会場:福華国際文教会館、台湾大学
主催:第4回東アジア日本研究者協議会、台湾大学日本研究センター
詳細は下記リンクをご覧ください。
http://cjs.ntu.edu.tw/eacjs/index.html
全体プログラムは下記リンクをご覧ください。
http://cjs.ntu.edu.tw/eacjs/pdf/program.pdf?v=1001

◆SGRA参加パネル#2「ODAとアジア:再評価の試み」
分科会N3(一般パネル) 11月2日(土)14:15-15:45 於 台湾大学普通教学館404号室

パネル趣旨:
1950~60年代に始まった日本のODAは、1989年には米国を抜きODA拠出額では世界第1位となった。しかし、その過程で様々な批判または評価の高まりを受け、日本政府は予算の縮小を決断した。2015年、ODA大綱は「開発協力大綱」と名称を変更し、より一層強く「国益」の確保への姿勢を打ち出した。一方、政治的な要因で対台湾のODAは中止、経済的な要因で対韓国のODAは終了、急速に経済発展を遂げた中国へのODAも2018年度をもって終了した。複雑な問題が世界的に様々な影響を拡大させているなかで、「ODAを主体とする開発協力は日本の重要な政策ツールのひとつ」と位置づけられているが、これに関して総合的にレビューする必要もある。今まで日本の政策決定のプロセスや戦略意図についての論考が多かったが、本パネルは日本の対アジア主要国ODAのレビューに重点を置きたい。

パネリスト:
討論者兼総括 黄自進(中央研究院近代史研究所研究員)
報告者1 深川由起子(早稲田大学)
報告者2 金雄煕(仁荷大学)
報告者3 李恩民(桜美林大学)
報告者4兼討論 フェルディナンド・シー・マキト(フィリピン大学)

発表要旨:
【報告1】 深川 由起子(早稲田大学)
「日本の開発援助政策改革~韓国との比較から」

日本の政府開発援助(ODA)をめぐっては1990年代にその規模がピークに達すると、欧米から自国利益を拡大するための「商業主義」であるという批判を受けた。しかしながらその後、多くの研究によって誤解が解かれると共に、結果としてアジア各国が優れた経済発展を遂げることで、むしろ「商業的」なODAが民間企業の誘致や技術の波及に役立ったとする肯定的な評価が台頭した。アジアではODAには自国の発展経験の移転といった側面が強い。中国の「一帯一路」がさらに商業性を強めた「経済協力」として展開されるようになって以来、日本のODAもより経済権益に直結するインフラ輸出など「経済協力」として再編されつつある。これに対し、韓国はセマウル運動の移植や人材育成などより古典的なODAを展開している。北東アジアでは政治的障壁からドナー間の協力や対話が進んでいないが、潜在的には様々な補完性もあり、アフリカ支援協力などで具体的な協力を模索する時期に来ている。

【報告2】 金 雄煕(仁荷大学)
「日本の対韓国ODAの諸問題」

日本の対韓経済協力に対する研究は、その重要性にもかかわらず、いくつかの理由から客観的な分析が困難な状況である。1965年の日韓国交正常化を皮切りに実施された多くの協力案件は半世紀以上の歳月が経過してしまい、韓国経済において日本による資金協力や技術協力の痕跡を見出すことが容易ではない。また、請求権資金がもつ特殊性、すなわち、戦後処理的・賠償的性格と経済協力としての性格を併せ持つことから生じる複雑性がある。さらに最悪の日韓関係のなかで、日本が韓国に対し資金協力や技術協力を行ったことを公に議論することはかなりセンシティブでリスキーなことになっていることが上げられる。
韓国で請求権資金の性格や役割に対する評価は、一般的に日韓国交正常化に対する評価と密接につながっている。安保論理と経済論理が日韓の過去の歴史清算を圧倒する形で日韓国交正常化が進められ、肯定的な評価と否定的な評価が大きく分かれてしまった。請求権資金についても同じく評価が分かれているが、構造的な韓国の対日貿易不均衡などいくつかの問題はおこしたものの、請求権資金が韓国経済の初期発展過程で重要な役割を果たしたことは否定できないというのが一般論であるように思われる。本報告では、請求権資金を中心に日本の対韓経済協力についての相異なる評価や様々な論点を紹介する。日本の外務省が「日本の援助による繁栄」の象徴的事業としているソウル首都圏地下鉄事業と浦項製鉄所(現在のPOSCO)の建設事業についての異なる評価も取り上げつつ、より客観的に日本の対韓経済協力へのレビューを試みることにする。

【報告3】 李恩民(桜美林大学)
「日本の対中ODAの30年」

1979年、鄧小平が推進した改革開放政策は、経済発展を最優先にする新時代の幕明けであった。まさにこの年に、中国政府は日本の財界人の助言を受け、これまでの対外金融政策を改め、日本からODA(Official_development_Aid)を受け入れ、主要インフレと文化施設の建設に集中した。以来40年間、政府から民間まで日本側は円借款、無償資金提供、技術協力などを通して中国の経済発展・人材育成・格差の是正、環境保全等分野に大きく貢献してきた。中国側は日本のODAをどう活用し、どのような成果をもたらしたのか、一般の民衆はこれに対してどう認識・評価しているのか、本報告はフィールドワークお成果をもとにその詳細について考察してみたい。

【報告4】 フェルディナンド・シー・マキト(フィリピン大学)
「日本の共有型成長とそのODA:再考察」

日本のODAを次の観点から簡単に見直す。1)西洋のODAと比較し、その違いを強調しながら共有型成長に貢献しているかどうか、検討する。2)中国のODAと比較し、その類似性を強調しながら、ODA理念を検討する。

【東アジア日本研究者協議会の趣旨と歩み】
北米を中心としたAAS(アジア学会)、欧州を中心としたEAJS(欧州日本学会)が存在するのに対し、東アジア地域における日本研究者の集う場として2016年に発足された協議会。「東アジアにおける日本研究関連の学術と人的国際交流」を目的に毎年、東アジア各都市で国際学術大会が開催されている。

◇協議会趣旨
一、日本研究の質的な向上。
一、地域の境界に閉ざされた日本研究から脱し、より多様な観点と立場からの日本研究を志向。
一、東アジアの安定と平和への寄与。

◇国際学術大会の歩み
第1回は2016年韓国・仁川、第2回は2017年中国・天津、第3回は2018年日本・京都で開催。
第4回が本年11月に台湾・台北で開催される。

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【2】新刊紹介

SGRA会員で名古屋大学名誉教授の平川均先生から、新刊書をご寄贈いただきましたのでご紹介します。

◆「一帯一路の政治経済学:中国は新たなフロンティアを創出するか」

中国の提唱する「一帯一路」構想は参加国が70を超え、マレーシアは中止プロジェクトを再開し、EUからはイタリアが参加を決めた。だが「債務の罠」など強い批判もある。壮大な「一帯一路」構想の全体像を、ASEAN、南アジア、欧州、アフリカなどの沿線国の現状、課題を含めて総合的に把握する。新たなフロンティアであるインド太平洋構想も考察。

編著:平川均・町田一兵・真家陽一・石川幸一
発行:文眞堂
A5判並製 268頁 C3033
ISBN 978-4-8309-5046-9(4-8309-5046-3)
定価 3740円(本体 3400円+税)
2019年9月発行

詳細は下記リンクをご覧ください。
http://www.bunshin-do.co.jp/catalogue/book5046.html

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【3】「第13回SGRAチャイナ・フォーラム『国際日本学としてのアニメ研究』へのお誘い(最終)

下記の通りSGRAチャイナ・フォーラムを北京で開催いたします。
参加ご希望の方は直接会場へお越しください。

テーマ:「国際日本学としてのアニメ研究:メディアミックスとキャラクター共有の歴史的展開」
日 時:2019年10月19日(土)午後2時~5時
会 場:北京外国語大学北京日本学研究センター多目的室

主 催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)
共 催:北京外国語大学日本語学院、清華東亜文化講座
後 援:国際交流基金北京日本文化センター

お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] 03-3943-7612)

■フォーラムの趣旨
企業が主導して、複数の作家が同一のキャラクターや世界観(背景世界)を共有して創作物を同時多発的に生み出し、さらにそこにファンが二次創作やコスプレの形で創造的に参加する「メディアミックス」は、日本のアニメーションを中心とするコンテンツ産業の特徴的手法とされ、
Marc_Steinberg 『Anime’s_media_mix: Franchising_toys_and_characters_in_Japan』(2012)以降、アニメの学術研究の新しい領域として注目を集めている。本フォーラムではSteinbergの議論では不十分であったメディアミックスの東アジアでの歴史的な起源について中・日双方から検証したい。

■プログラム

【講演1】大塚英志(国際日本文化研究センター教授)
「『翼賛一家』とメディアミックスの日本ファシズム起源」

【講演2】秦剛(北京日本学研究センター教授)
「日本アニメにおける『西遊記』のアダプテーション:変異するキャラクター」

討論者:
古市雅子(北京大学マンガ図書館館長准教授)
陳エン(東京大学総合文化研究科博士課程)

※プログラムの詳細は、下記URLをご参照ください。

第13回SGRAチャイナ・フォーラム「国際日本学としてのアニメ研究」へのお誘い

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★☆★SGRAカレンダー
◇第13回SGRAチャイナ・フォーラム(2019年10月19日、北京)
「国際日本学としてのアニメ研究:メディアミックスとキャラクター共有の歴史的展開」

第13回SGRAチャイナ・フォーラム「国際日本学としてのアニメ研究」へのお誘い


◇第4回東アジア日本研究者協議会へのお誘い(2019年11月1日~3日、台北)
SGRA参加パネル
(1)「明治期の小説と口絵・挿絵―絵の役割―」

第4回東アジア日本研究者協議会へのお誘い(SGRAパネル#1「明治期の小説と口絵・挿絵」)


(2)「日本のODAとアジア:再評価の試み」

第4回東アジア日本研究者協議会へのお誘い(SGRAパネル#2「ODAとアジア」)


(3)「日本における女性ムスリムの現状:留学中に直面する課題と彼女らの挑戦」
◇第5回アジア未来会議(2020年1月9日~13日、マニラ近郊)
「持続的な共有型成長:みんなの故郷みんなの幸福」
※参加申し込み受け付け中。論文募集は締切りました。
http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/
アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。

★☆★お知らせ
◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)を開始!
SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。
https://kokushinewsletter.tumblr.com/

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