SGRAメールマガジン バックナンバー
Khin Maung Htwe “Support Activities for Victims of the Myanmar Earthquake (Part 2)”
2025年5月29日 12:58:57
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SGRAかわらばん1065号(2025年5月29日)
【1】SGRAエッセイ:キン・マウン・トウエ「ミャンマー大地震被災者支援活動(その2)」
【2】SGRAラーニング紹介:動画「『歴史大衆化』と東アジアの歴史学」
※SGRAの新規プロジェクトです!是非ご覧ください。
【3】第8回アジア未来会議(2026年8月、仙台)論文募集のお知らせ(再送)
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【1】SGRAエッセイ#793
◆キン・マウン・トウエ「ミャンマー大地震被災者支援活動(その2)」
2025年3月28日のミャンマー大地震から2カ月。マンダレーの町は瓦礫もだいぶ撤去され、生活も徐々に日常に戻ってきました。しかしあちこちで重機が作業をしており、交通機関にも影響が残っています。構造まで被害を受けた建物は取り壊して空き地になりますが、放置されている建物もたくさんあります。大半の建物は復旧していませんが、工事中でも開店する店があります。私が経営する居酒屋「秋籾」が入る「イビススタイルホテル」は大きな被害を受けなかったのですが、内装工事に時間がかかっており、来月に営業が再開出来ることを祈っています。
毎日余震があるので、建物の2階へ上がるのが怖いと言う人がたくさんいます。ミャンマーの新学年は6月に始まるため、学校の復旧が急がれています。私立の学校や病院はともかく、公立施設は予算的なこともあってか、なかなか工事が進んでいません。被害が大きかった首都ネピィドー管区では、政府が国会議事堂などの復旧に注力しています。
これまでに26カ国から災害支援活動の専門家、医療関係者が訪れ、ミャンマー政府を通して寄付金も届きました。非政府組織(NGO)や民間の仲介で外国の支援団体も来て活動しています。私もこの「SGRAかわらばん」を通して支援金を頂戴し、被害者の復興のためのお手伝いをすることができました。
前回のエッセイ(SGRAかわらばん1058号、2025年4月10日)で報告したように、地震直後はまず、私が経営するホテルに滞在していた時に自宅が被災した方々に対して一緒に話したり、無料で食事を提供したりしました。次に病院やお寺などで、お弁当と飲料水を配りました。家族を亡くした方々、家を無くした方々、自分の財産が大地震で無くなり、一瞬で生活基盤を失ってしまった方々に対して、お弁当一食だけでも心を休ませる大きな力があることを感じました。実は、お弁当より「応援していますよ!」という笑顔が、皆さんに大きな力を与えることができるのです。「これから、頑張ろう」「立ち直りましょう」と気力が湧いてきたようでした。私たちも「何か力になりたい」という気持ちで一杯になりました。
SGRAの皆様のお力をお借りしながら、夜は入院中の父親の世話をしながら、支援する場所や予算内で可能な支援物資を検討しました。その結果、震源地サガイー市の1か所と決めました。支援物資は、地震1ヵ月後に必要な医療品や米、食用油、塩、卵などとソーラーランプ250家族分を調達しました。
5月5日、私は家族とボランティアと一緒に、支援物資をお届けするためにサガイー市に向かいました。事前に知り合いのボランティア団体を通じて大きな被害を受けた方々に番号が書かれたクーポン券を配布してもらっており、券を持って来た方たちに直接物資を手渡しました。予算が限られているので、多くの被災者が押し寄せたら対応できないためです。
この日はとても暑く、大汗をかきながらも笑顔で対応しました。被災者のみなさんの喜ぶ顔が忘れられません。2007年にミャンマーを襲った「ナルギス大台風」から、私は子どもたちに「必要な時には人々に自分の力を貸す」「自分でできることを支援する」と教えてきたので、今回も家族は喜んで活動を手伝ってくれました。
サガイー市は有名な観光地です。多くのお寺や僧院、老人ホームなどがあり、大きな被害を受けました。活動の翌日、ある僧院に「復興のために使ってください」と、残りの支援予算を寄付しました。今回の復興支援活動の募金にご協力してくださった一人一人の皆様への感謝は、言葉で書き尽くせません。「地球の平和を考える地球市民の行動」であると心から敬意を表します。
これからは、単なる「復旧」ではなく、災害に強い街づくりを考えた「復興」を重視しなくてはならないでしょう。民間企業は建設基準を守り、政府は監督を厳しくすることが重要になるでしょう。地震に対応できる最新の建設技術や資材なども導入しなければならないでしょう。
4カ月間入院し、今回の地震も乗り切った父が5月15日に92歳で亡くなりました。9歳の時から聞かされ続けてきた「努力」「自分に頼らなければならない」「国民に出来ることは精一杯に」という「言葉の宝」を頭と心の中に据えて、ひとりの民間人として微力ながらも、ミャンマーのために出来ることを続けていくつもりです。
活動の写真
4月10日に配信したキン・マウン・トウエさんのエッセイ
<キン・マウン・トウエ Khin Maung Htwe>
ミャンマーで「小さな日本人村」と評価されている「ホテル秋籾(AKIMOMI)」の創設者、オーナー。マンダレー大学理学部応用物理学科を卒業後、1988年に日本へ留学、千葉大学工学部画像工学科研究生終了、東京工芸大学大学院工学研究科画像工学専攻修士、早稲田大学大学院理工学研究科物理学および応用物理学専攻博士、順天堂大学医学部眼科学科研究生終了、早稲田大学理工学部物理学および応用物理学科助手を経て、AKIMOMI_COMPANY_LTD.社長。「ホテル秋籾」「居酒屋秋籾」を経営。SGRA会員。
※4月10日にSGRAかわらばん1058号で配信したキン・マウン・トウエさんのエッセイで支援活動募金にご協力をお願いしたところ、16名と1団体より、目標額を超える総計417,000円のご寄付をいただきました。皆さんから寄せられた暖かいメッセージを添えて、バンコクに留学中の長女リサさんを通じて全額をキンさんにお届けしました。ご支援をありがとうございました。 SGRA代表 今西淳子
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【2】SGRAラーニング紹介
SGRAの新規プロジェクト「SGRAラーニング」は、SGRAレポートの内容をわかりやすく説明する10~20分の動画で、SGRAレポートのポイントを短くまとめた上で、それをめぐる多国籍の研究者による多様な議論を多言語で共有・紹介しています。高校生や大学生低学年を対象に授業の副教材として使っていただくことを想定していますが、どなたでも無料でご視聴いただけます。国史対話のレポートと動画は日本、中国、韓国の3言語で対応しています。
◆動画「『歴史大衆化』と東アジアの歴史学」
「『歴史の大衆化』と東アジアの歴史学」について考えてみましょう。
皆さんは、歴史学とは何だと思いますか? 歴史学者は何をする人でしょうか?
下記リンクよりご覧ください。
この動画は、2022年8月に開催された「第7回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」フォーラムの一部をまとめたものです。このフォーラムのレポートは日本語、韓国語、中国語で発行されていますので、興味のある方は各言語のレポートを下記リンクよりご覧ください。
SGRAラーニングの動画へのリンクは、SGRAホームページからアクセスしていただけますので、先生方はご授業等でご利用いただけますと幸いです。どなたでも無料で視聴いただけますので、広くご宣伝いただきますようお願いいたします。
https://www.aisf.or.jp/sgra/
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【3】第8回アジア未来会議論文募集のお知らせ(再送)
アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心のある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。アジア未来会議は、学際性を重視しており、グローバル化に伴う様々な課題を、科学技術の開発や経営分析だけでなく、環境、政治、教育、芸術、文化の課題も視野にいれた多面的な取り組みを奨励します。第8回アジア未来会議(AFC#8)は、論文、小論文の発表要旨を下記の通り募集します。
第8回アジア未来会議
テーマ「空間と距離:こえる、縮める、つくる」
会期: 2026年8月25日(火)~ 29日(土)(到着日、出発日を含む)
会場: 東北学院大学五橋キャンパス(仙台市)
発表要旨の投稿締切:
・奨学金/優秀賞に応募する場合 2025年9月20日(土)
・奨学金/優秀賞に応募しない場合 2026年2月28日(土)
募集要項は下記リンクをご覧ください。
画面上のタブで言語(英語、日本語)を選んでください。
皆様のご参加をお待ちしています。
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★☆★お知らせ
◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)
SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方はSGRA事務局にご連絡ください。
https://www.aisf.or.jp/kokushi/
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