SGRAメールマガジン バックナンバー

Emanuele Davide Giglio “My Nichiren (2): Nichiren’s Diversity”

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SGRAかわらばん722号(2018年5月3日)

【1】エッセイ:ジッリォ「私の日蓮(2):日蓮の多面性」

【2】第7回SGRAふくしまスタディツアーへのお誘い(5月25日~27日、飯舘村)
    「『ふるさと』に帰る…」<行って、見て、感じて、考える>

【3】第8回日台アジア未来フォーラムへのお誘い(5月25日~26日、台北)
    「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新たな可能性」
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【1】SGRAエッセイ#566

◆エマヌエーレ・ダヴィデ・ジッリォ「私の日蓮(2):日蓮の多面性」

数年前から鎌倉期の日蓮(1222~1282)の「写本遺文」(真蹟非現存、真偽未決、殆どが15世紀から文献として始めて歴史に登場)という資料を研究する機会をいただいている。その際に日蓮遺文の思想史的研究について色々思うことがあったので、この度はエッセイの形で発表させていただきたい。

日蓮遺文における特定の思想の全体像を、思想史の観点から明らかにしようとするとき、3つの問題に慎重にならなけなければならない。1つは日蓮の多面性である。2つ目は「思想史的研究」と「宗教的注釈」との違いである。3つ目はどのような主体性を前提に日蓮遺文の思想史的研究を行うべきかという問題である。「研究者の主体性」の価値を繰り返し強調している日蓮学者では現在、元早稲田大学教授の花野充道先生の存在が特に目立っている。筆者の場合はひとまず、「キリスト教の文化から仏教学研究へ」と、「生まれ育ちの文化環境から受け継いだ思想的なカテゴリーを乗り越えて」という道のりなので、今日蓮に対して存在するあらゆる伝統・解釈・カテゴリー・研究方法などを日本でひと通り学び、他方解体し乗り超えていこうとする主体性に必然的になっている。
 
●日蓮の多面性について

日蓮は臨機応変で、多面的な思想の持ち主であり、同類のテーマに関しても、時と場と人によって異類の視点を展開してゆき、遺文に見られる数々の思想は、多くの文献の中でばらばらになっており、情緒的で非体系的な形で説かれることがある。また、佐渡流罪(1271~1274)を契機に「法華行者」としての自己認識が増し、彼の中で大きな変化も起きる。一言で言えば、日蓮はこういうテーマについてこう考えていたと思えば、そうでもないと述べる文献が真蹟の中でも出てくる可能性が常にある。

例えば、羅什訳『法華経』「如来寿量品第十六」所伝の「久遠実成」の釈尊はこの娑婆世界の一切衆生の主師親にして本尊とすべしと述べる遺文は数多いのだが、「我等が己心所具」の釈尊を述べる遺文もある。他に、日蓮が己自身に対して主師親の三徳を授ける遺文があり、末法時代において釈尊ほどの仏よりも法華行者と称せられる日蓮とその弟子たちのほうが大事であり、供養に値すると述べられる遺文も見られる。さらに、『法華経』はそのまま釈尊の身体・力・命であるという「経仏同一説」が述べられる遺文があるが、『法華経』を「師」とし、仏を「弟子」とする遺文も見られる。

要するに、諸宗派と各教団はどれも、ある程度まとまった思想体系を紹介しているが、宗教思想史を見てみれば、それを立てるとき、宗祖の何かを選び、何かを無視し捨てなければならない。「体系」というものは、合理性を最重要と考え、経験の世界に何らかのコントロールを厳格に定めようとして始めて成立するものだからである。だが、日蓮ほどの多面性は日本仏教史のなかでも特殊な事例であり、簡単にコントロールできるものではない。ある意味で、諸宗派と各教団の思想体系や日蓮を首尾一貫した解釈に閉じ込めようとする試みは、どれも一つ残さず彼の実際のあり方から逸する要素を必然的に含んでしまう。そのときはむしろ、日蓮をより柔軟に受け止められる自由な思想史的研究の価値が明らかになってくるのではないかと考えている。

問題は、日蓮をどのような存在として考え、それを前提に彼の遺文をどのように扱うかである。この点で、「思想史的研究」と「宗教的注釈」との違いを考える必要性が出てくる。(つづく)

<エマヌエーレ・ダヴィデ・ジッリォ☆Emanuele_Davide_Giglio>
渥美国際交流財団2015年度奨学生。トリノ大学外国語学部・東洋言語学科を主席卒業。産業同盟賞を受賞。2008年4月から日本文科省の奨学生として東京大学大学院・インド哲学仏教学研究室に在籍。2012年3月に修士号を取得。現在は博士後期課程所定の単位を修得のうえ満期退学。博士論文を修正中。身延山大学・東洋文化研究所研究員。

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【2】行って、見て、感じて、考える―第7回SGRAふくしまスタディツアーへのお誘い

SGRAでは2012年から毎年、福島第一原発事故の被災地である福島県飯舘村でのスタディツアーを行ってきました。そのスタディツアーでの体験や考察をもとにしてSGRAワークショップ、SGRAフォーラム、SGRAカフェなど、さまざまな催しを展開してきました。
今年も第7回目の「SGRAふくしまスタディツアー」を行います。
参加ご希望の方は、SGRA事務局へご連絡ください。

テーマ:「「ふるさと」に帰る…」
日 程:2018年5月25日(金)、26日(土)、27日(日)
人 数:10~15人程度
宿 泊:「ふくしま再生の会-霊山(りょうぜん)センター」
参加費:一般参加者は新幹線往復費用+12,000円(ラクーン会会員には補助が出ます)
申込み締切:5月10日(木)
申込み・問合せ:SGRA事務局 角田
E-mail: [email protected]  Tel:03-3943-7612

プログラムの詳細は下記リンクをご覧ください。
http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2018/04/FukushimaStudyTour7.pdf

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【3】第8回日台アジア未来フォーラムへのお誘い

下記の通り第8回日台アジア未来フォーラム 並びに 東呉大学マンガ・アニメ文化国際シンポジウムを台北市で開催します。参加ご希望の方はSGRA事務局へご連絡ください。

◆テーマ:「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新たな可能性:コミュニケーションツールとして共有・共感する映像文化論から学際的なメディアコンテンツ学の構築に向けて」

開催日:2018年5月25日(金)午後3時~26日(土)終日
会場:東呉大学外双渓キャンパス第一教学研究棟普仁堂(大講堂)

●申込み・問い合わせ
※日本:SGRA事務局 [email protected]
※台湾:東呉大学日文系 [email protected]

●プログラム

◇2018年5月25日(金)第一部(15:00~受付開始)

【特別講演】15:30~17:20
弘兼憲史先生(漫画家、『島耕作』シリーズ作者)
テーマ:「漫画から学んできたこと」

◇2018年5月26日(土)第二部(8:00~受付開始)

【招請講演1】8:40~9:25
表智之 (日本北九州市漫画ミュージアム専門研究員)
テーマ:「研究者のネットワーク化とマンガ研究の進展-学会・地域・ミュージアム-」

【招請講演2】9:25~10:10
宣政佑 (韓国 Comicpop_Entertainment_President)
テーマ:「韓国ではアジア漫画をどう見てきたか 」

【招請講演3】10:10~10:55
秦 剛 (北京外国語大学北京日本学研究センター教授)
テーマ:「戦後日本最初の長編アニメーション『白蛇伝』における「中国」表象と「東洋」幻想」

【パネルディスカッション】11:10~12:10
テーマ:「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新たな可能性」

【招請講演4】A会場 13:20-14:05
梁世佑(台湾U-ACG/旭傳媒科技(股)創弁人)
テーマ:「台湾のオタクにみる日本アニメの受容と変化:作品の鑑賞、収集と行動」

【招請講演5】B会場 13:20-14:05
黄瀛洲(台灣動漫畫評論團體「?呼?同盟」召集人)
テーマ:「未来を見据えた台湾アニメの発展」

【論文発表】14:10~17:10 各会場にて3本ずつ計18本論文発表を予定
【第1セクション】14:10~15:30  A1/B1/C1 会場にて論文発表
【第2セクション】15:50~17:10  A2/B2/C2 会場にて論文発表

詳細は下記リンクをご参照ください。

第8回日台アジア未来フォーラム・東呉大学マンガ・アニメ文化国際シンポジウム「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新たな可能性」へのお誘い

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★☆★SGRAカレンダー
◇第7回SGRAふくしまスタディツアー(2018年5月25日~27日、飯舘村)
「『ふるさと』に帰る…」<参加者募集中>

第7回ふくしまスタディツアーへのお誘い


◇第8回日台アジア未来フォーラム(2018年5月25日~26日、台北市)
「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新た可能性」<参加者募集中>

第8回日台アジア未来フォーラム・東呉大学マンガ・アニメ文化国際シンポジウム「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新たな可能性」へのお誘い


◇第4回アジア未来会議「平和、繁栄、そしてダイナミックな未来」
(2018年8月24日~8月28日、ソウル市)
論文募集は終了しました。<オブザーバー参加者募集中>
http://www.aisf.or.jp/AFC/2018/
☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。

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http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11

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