理事長講演会と真夏のBBQパーティ(8月例会)
2025年7月19日(土)、連日の猛暑の中、渥美財団の奨学生たちは、今西常務理事のご自宅で開催された講演会とBBQ交流会に集いました。これまでにも財団主催のイベントには参加してきましたが、今回はご自宅という特別な空間での開催とあって、ひときわ温かく落ち着いた雰囲気に包まれた、心に残る一日となりました。玄関先での挨拶の時点からすでに和やかな空気が漂い、初対面の参加者同士も自然に会話を交わし、早くも場が打ち解けていたのが印象的でした。
まず、リビングで行われたのは渥美理事長による講演です。ぬくもりを感じる室内には、先月の韮崎ワークショップで奨学生たちが協力して完成させた絵が飾られており、その光景に深い感動を覚えました。例年であれば、先輩の奨学生たちの参加も可能とのことですが、今回はスペースの都合により、主に今年度の奨学生およびその家族が対象となったようです。
理事長の講演では、鹿島建設の歩みと、その背景にある立社の精神について丁寧に語られました。江戸後期に創業された同社が、明治、大正、昭和、そして現代へと、時代の要請に応えながら常に革新を追求してきたこと、そして、それを可能にしてきたのが、人材育成と技術への真摯な投資であることが、ストレートに伝わってきました。建物を足元から静かに解体する「カットアンドダウン工法」から、宇宙空間における居住拠点の建設といった未来志向のプロジェクトまで、理事長は具体的な事例を挙げながら、鹿島が描くビジョンの広がりと深さを共有してくださいました。
講演後の質疑応答では、「鹿島がいかに技術革新へのモチベーションを保ち続けているのか」や、「建築以外の分野への進出予定はあるのか」といった、経営戦略にかかわる鋭い質問が出されました。理事長のご回答からは、技術を単なる手段としてではなく、人間の価値や文化と共にあるべきものとして捉える視点を学ぶことができました。これは、学問を志す私にも大きな示唆を与えるものでした。
講演終了後は、お待ちかねのBBQ交流会が始まりました。今回はプロのケータリングによって、焼き加減の絶妙なお肉や野菜が次々と提供され、その美味しさに、誰もが顔をほころばせていました。さらにスイカ割りのセッションも設けられ、歓声が上がるなど、一層の盛り上がりを見せました。
食事を通じた交流は、公式な場では得がたい気づきやつながりをもたらしてくれます。あまり構えすぎず、会話に身を委ねてみれば、互いの研究テーマやキャリア、関心について自然と話が深まり、多くの学びが得られました。とりわけ印象的だったのは、同じく近世日本思想史を専門とする先輩の奨学生に初めてご挨拶できたことです。これまでは論文を通してしか接点がなかった方でしたが、思いがけずこうした場でじっくり話すことができ、渥美財団が生み出すつながりの力をあらためて実感しました。
また、博士号取得後の進路に関する不安や悩みについても、先輩の奨学生の皆さんが惜しみなくアドバイスをくださったことは、大変心強く、有意義な体験でした。専門分野や立場が異なっても、共通する課題に向き合っている仲間がいること、そしてそれを乗り越えてきた先達の声にじかに耳を傾けられることーそれ自体が、未来に向かうための大きな支えとなります。
そうこうして歓談しているうちに、日は次第に暮れていきました。楽しい時間は、いつもあっという間に過ぎてしまうものです。名残惜しさを感じつつも、今後の渥美ファミリーとのさらなる交流の機会を楽しみにしながら、帰途につきました。あらためて、財団のおかげでこのようなかけがえのない時間を共有できたことに、深い感謝の気持ちを抱いています。
文責:廖 嘉祈(2025年度奨学生)
当日の写真
