工事現場見学会(11月例会)報告


2023年11月10日(金)の午後、2023年度渥美奨学生たちは鹿島建設が現在施工中の建築工事現場見学のため、東京都港区にある工事事務所の会議室に集まりました。

見学の前に、渥美直紀理事長と松嶋潤東京建築支店長からご挨拶があり、その後、現場の池田所長、鹿濱副所長(工事担当)から当日見学する浜松町二丁目C地区市街地再開発工事(地上46階、高さ185.49m)の工事概要について説明がありました。 複雑な都心部での市街地再開発工事は、計画から完成までの事業自体が長期間である上に、13棟にのぼる古いビルの解体だけでなく、新築工事においても品質・コスト・工期・安全・環境配慮など、様々な事項をクリアする必要があり、非常に難易度の高い複雑な過程があることが伝わりました。また、今回の工事では、1階から12階までをS造(CFT柱)+制震装置とし、13階からはRC造という複合的な工法を積極的に取り入れることで耐震性と居住性を確保していることがよくわかりました。

建設現場は事務所からそれほど遠くないところにありました。 普通なら工事関係者以外は入ることのできない現場の見学は、初めての経験でした。 建物の外部に取り付けられた工事用エレベーターと階段で見学当日時点の最高階である35階まで上がった後、建物のPC部材や鉄筋構造を見て、翌日の床のコンクリート打設がどのように進むのか等について具体的な説明を伺い理解できました。 小雨が降る中、渥美理事長や現場の皆さんと一緒に記念写真を撮った後、1階ずつ下がりながら、建物の内装工事が始まっている住戸を見学し、私たちが想像するような部屋の形が作られていく過程の説明も受けました。建設技術が私たちの生活にどのように関わっているのか、そして私たちが当然だと思う成果物に、どれほど多くの方々の知恵と努力と経験が隠れているのかを知る貴重な機会でした。

個人的には、人口減少傾向に対してロボットによる対策を講じる研究者の立場から、建設現場では現在どのようにロボットが使われており、将来どのように使用できるのかと言う疑問について、今回の見学を通じて深く理解することができました。 建設現場の中でも、障害物がない空間での作業は十分にロボットの導入が可能であることが分かりましたが、現場でのロボットの導入に困難を来たしているところは、やはり段差などの障害物が存在する空間であることもわかりました。 これは現在ロボティクスの産学界で最優先に扱っている課題でもあり、近いうちに建設現場でのロボット使用が非常に増えると期待されます。

最後に、2023年度奨学生の皆さんに代わって、ご多忙の中お時間を割いてくださった渥美理事長、松嶋支店長、そして、現場のご案内と質疑応答を行ってくださった鹿島建設関係者の皆様に深く感謝申し上げます。 今回の見学会は私たち奨学生の皆に大切な経験として残るでしょう。特に博士課程では経験しにくい建設現場のお話を聞くことができたことは、私にとって博士課程に進学した当初の目的を喚起させてくれた非常に良い機会となりました。

文責:金 希哲(2023年度奨学生)

当日の写真