理事長講演会とBBQ会(8月例会)


 2023年7月15日(土)の午後、渥美財団の奨学生たちは渥美財団ホールで行われた理事長の講演とBBQ会に集まりました。今回の例会のハイライトは渥美直紀理事長による「鹿島建設の歴史」についての講演でした。理事長は鹿島建設がどのように成長し、時代とともに進化してきたのか、そしてそれが我々の生活や社会にどのように貢献してきたのかといった深遠なテーマについて、熱意に満ちた話を展開されました。
 理事長は、特に鹿島建設の持続的な進化と技術の蓄積について熱く語られました。その始まりは「洋館の鹿島」として洋風建築の専門知識を身につけ、それを日本に広めることで評価を得ました。続いて、そのノウハウを活かし、一歩を踏み出して「鉄道の鹿島」へと進化し、鉄道建設の分野でも名を馳せました。さらにダム技術における挑戦を開始し、「ダムの鹿島」へと変身しました。その後、「臨海・原子力の鹿島」として、港湾や原子力施設の建設にも積極的に取り組みました。そして日本初の超高層ビルである霞が関ビルを建設することで「超高層の鹿島」へと躍進しました。
 これらの進化の過程を通して、鹿島建設が過去の技術・知識を捨てずに、新たな挑戦を積極的に行い、どんどん成長していったのが感じられます。これを鹿島建設では「進取の精神」と呼ぶそうです。それぞれのフェーズが次のステップへの足がかりとなり、絶え間なく進化を続ける同社の強みとなっています。特に彼らが「宇宙の鹿島」としての新たなフェーズへと突入したことは、鹿島建設が常に新しい挑戦を続け、過去の技術と知識を活かし、その卓越した技術力を継承しながら社会への深い貢献を実現してきた証左です。
 その成果は、我々が日常生活で見ることのできる建築物やインフラに反映されています。それらは鹿島建設の技術力の証であり、またその知識と経験が一つ一つのプロジェクトにどのように生かされ、社会へと貢献しているかを具体的に示しています。なお、理事長は私の出身国である台湾への鹿島建設の貢献についても触れられました。日月潭ダムや台湾の鉄道路線など、台湾の社会インフラにおける鹿島建設の役割は大きく、それによって私たちの生活も豊かになっています。

 講演の後は、奨学生であるエンフアムガラン オノンさんがアレンジしたモンゴル式BBQが待っていました。その風味豊かな料理は皆に大変好評で、異文化交流の一環としても貴重な体験となりました。そして、会の中では、渥美財団の先輩方も多数参加され、彼らの豊かな経験と知識を私たち後輩とシェアしてくれました。それは、まるで鹿島建設の歴史と技術の継承を見るような感じでした。先輩方から経験を学び、それを我々後輩が引き継ぎ、活用するという流れは、鹿島建設の進化と成長の過程を繰り返しているかのようです。
 そして例会の最後には、渥美財団の原田さんから「三本締め」の儀式について学ぶ機会を得ました。掛け声とともに参加者全員が「パパパン パパパン パパパン パン」と3回手を叩き、その深い意味を共有することができました。原田さんから教えて頂いたところによると、「三本締め」は一本締めのリズムを3回繰り返すことで、会を仕切っている人、参加者、神様の3者それぞれに感謝を伝えるという意味を表しているとのことでした。
 これらの経験を通じて、私たちは日本の伝統や文化に深く触れるだけでなく、その背景やそれがどのように使われるべきかということについて理解を深めることができました。これらの教えを胸に、我々はこれからの活動に生かしていく所存です。今回の例会は、奨学生たちにとって貴重な体験と学びの機会となり、これからの学問と人間関係に多大な影響を与えるでしょう。

文責:黄若翔(2023年度奨学生)

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