韮崎ワークショップ2023「 ジェンダー 」を開催しました



ワークショップ初日、渥美財団の皆さんは朝8時45分に新宿センタービル前に集合し、大型観光バスで会場となる山梨県韮崎市のシャトレーゼホテルへ向かった。気温は暑くもなくちょうど良かった。この日の天気予報では昼過ぎから雨であったが、モンゴルでは「運が良い人には雨は降る」という諺があり、何かを始める際に雨が降っていたら縁起が良いとされている。コロナ渦後の初めてのワークショップということで私も縁起が良かったと思った。ホテル到着後、美味しい昼食を済ませ、午後は二つのグループに分かれ、農業の講義と美術館の見学をした。

第一グループは、田んぼで除草の農業体験をする予定であったものの、予報どおりの天気の影響でホテルの研修室で農業に関する講義を聞くことになった。お話をしてくださった方々は内藤さんと高橋さんで、内藤さんは「野生動物の社会行動学の研究」で修士論文をお書きになり、特に野生のサルの行動研究をなさった。修士課程を卒業後、実家の農業を引継ぎ「パディーフィールド社」を設立した。現在は、お米の生産に携わる傍ら、地域の獣害対策にも力を入れている。さらに、内藤さんは日本のお米作りの作り方や種類、お米の生産に必要な機械の種類などそれぞれの特徴といった普段は耳にすることのできない面白いお話をしてくださった。高橋さんは、内藤さんの下でインターンをし、韮崎市の「地域おこし協力隊」のお仕事もされている。内藤さんは「地域おこし協力隊」のお仕事の特徴や、どのような獣害があるか、どのように獣害対策をしていらっしゃるかについて語っていただいた。第一グループの質疑応答の時間が足りないほど、皆さんからの質問はたくさんあった。内藤さんと高橋さんの講義はとても楽しく、生産者から見たお米作り、消費者から見たお米作りなど様々な角度から知ることができた講義であった。さらに、お米作りには一見、「獣害」といわれる野生動物についての内藤さんの一言が心に残った。それは「畑に動物がいる/寄って来るということはそれだけ新鮮で、農薬を使っていないという証拠である。」とおっしゃったことであった。

第二グループは、韮崎大村美術館を見学した。韮崎市出身の大村智博士 (2015年ノーベル医学・生理学賞受賞)が長年収集されたコレクションをもとに2007年に開館された。美術館の一階には、日本を代表する女性美術作家の作品を展示している。大村智記念室では、当館館長大村智博士の少年時代を辿る品々や、研究関係の資料、趣味でお集めになった美術品の多数を展示している。二階には、鈴木信太郎記念室があり、戦前から戦後にかけて活躍された洋画家・鈴木信太郎の作品が展示されている。当日は偶然にも大村智博士が在館されておられたことから、記念の集合写真に入っていただくことができた。

夕食後は、ウォームアップとして行ったことがある国の数で並ぶ、韓国ドラマを見る頻度で並ぶ、生まれた月日で並ぶなどのアクティビティがあった。その後は、研修室で自由時間となり、皆さんはお酒などを飲みながらお話をして楽しんだ。


今回のワークショップのテーマは「ジェンダー」であった。セッション1は「ジェンダーと私」、セッション2は「もっと深くジェンダーについて考えよう(1), (2)」、セッション3は「メディアとジェンダー」であった。ご担当してくださったのは、元渥美奨学生のソンヤさんとマグダレナさんとミヤさんと加藤さんだった。セッションごとの特徴としては、ジェンダーについてのスピーチと各グループに分けられてポスターでジェンダーを表現した。映画の二つの作品(人形の家、お茶と同情)からひとつを選び、ジェンダーを深く考える演技をグループで行ったことも印象的だった。私のグループは人間とロポットの恋愛について演技をした。他のグループの皆さんも積極的に演技に取り組んでいる様子であって、面白かった。

「もし男性が女性に/女性が男性に生まれていたら今のキャリア、今の家族構成、今の学歴でいたか」についてグループに分かれてデスカッションをした。その後、デスカッションした内容についてグループごとの代表が発表した。さらに、友人に赤ちゃんができたとして、性別を自分から訊く/友人が言うのを待つ/聞かないと選択が3つある場合、どれを選ぶかについて各グループで意見を交わした。ここで私が新しく知ったことは、中国では妊娠中の女性のおなかの中の赤ちゃんの性別をお医者さんだけが知ることが可能で、お母さんにも知らせないという法律があるようだ。

最後に、1年後の自分に対する手紙を書き、自宅住所を書いた封筒に入れて、財団スタッフに預けた。1年後に投函してくれると言う。1年後の私達はそれぞれどうしているだろうか?

2日めの夜は、テニスコートのテントの下でBBQをした。雨は少し降っていたが、参加者、財団の皆さんは雨を気にすることもなく、楽しくBBQをして、楽しくお話をしていた様子が思い浮かぶ。焼きそば、お肉、貝、お野菜など美味しいご馳走がたくさん並んでいた。BBQを終えた後、ホテルに戻り、前日と同様お話会をして財団の皆さんはより交流を深め、楽しく思い出に残る時間を過ごした。

今回の韮崎ワークショップは渥美財団の皆様とラクーンの皆様、2023年度の奨学生の皆様とご一緒に参加することができてとても嬉しく思っております。今回のメインテーマである「ジェンダー」についても深く理解することができ、アクティビティでは楽しくグループで活動することができ、お食事の時も美味しいご馳走を頂きながらお話をした。これらの素晴らしい機会をくださった、渥美国際交流財団の皆様に深くお礼を申し上げます。


文責:エンフアムガラン オノン(2023年度奨学生)

当日の写真