蓼科ワークショップ2022@東京・レポート


世界を大きく変えたパンデミックは、未だ私たちの生活に影響を与え続けている。そんな中、毎年蓼科にておこなわれていたというワークショップは、残念ながら今年も東京での半日開催となった。

事前に送られたプログラムにはワークショップでの議論のテーマが書かれていた。
「”More than meets the eye:目に見えないもの”−(架空の大学である)渥美国際交流大学に、4つの学部が新設されることになりました。来るオープンキャンパスにて、志望者やその家族に対してそれぞれの学部の面白さや存在意義、魅力=“目に見えないもの”を自分たちの言葉で伝えてください!」。

一体どういう意味だろう?具体的なイメージも湧かないまま、当日を迎える。財団本部では財団スタッフ・先輩ラクーンの皆さんがこの日のために前々から準備をして下さっていた。奨学生同期も会場参加者・オンライン参加者と揃い、まずは改めて自己紹介から。

財団での自己紹介には毎度お題があり、密かにそれが楽しみだったりする。お題付きの自己紹介は自己を見つめ直すいい機会だと思うからだ。今回は「私はいつも〇〇しています」、そして「実は〇〇がわからない/〇〇が見えていない」というもの。
自分は日頃からの悩みでもある「実は左右がよくわからない」という話をしたけれど、他の皆さんから出てきた疑問は、宇宙の始まりから人間と動物の境界線、喧嘩の対応の仕方、料理の作り方まで・・・実に幅広い。こうしてみると、確かに世の中はわからない/見えていないことだらけだ(あるいは、見えていると思い込んでいるだけなのかもしれない)。

自己紹介を終えて本題へ。納豆を食べる量を基準に、4つのグループに分かれた。各グループには奨学生3人と、ファシリテーターとして先輩ラクーンが1人加わり、4人でのグループディスカッションが始まった。持ち時間は1時間だ。

もし自分が志望者だったらどんな学部に入りたいか?子供を支える親の視点は?なるほど、意見を交わしているうちに、だんだんイメージが湧いてくる。
我々のグループは学科名を「22世紀越境学科」と決めた。気候危機、国際紛争、パンデミック…様々な社会問題を抱えるこの時代において、国家・学問分野・アイディアなど線引きをすることなく自由に超えていく柔軟な思考力・行動力を養い、未来のための学びを深められる学部を目指して。
では、グループメンバーを講師とすると、どんな学びを提供できるか?自分がこれまで学んできたことの魅力とは?異なる専門を融合することによって、どんな可能性を生み出せるだろう?制限時間ギリギリまで真剣に話し合い、プレゼン準備に取り組んだ。

さぁいよいよ、本番!プレゼンでは各グループから次々と個性豊かなアイディアが飛び出す。「学年制度の廃止、メンター制度の導入など、自分との対話を深められるような学びの場を提供する」、「社会学×医学×文学の融合を通じて、人間について深く学ぶ」、「身体性を活かしつつアカデミックライティングにおける表現力を育てていく」・・・どれもとても創造性にあふれていて、魅力的な提案だ。プレゼンを通じて自ずと発表者のこれまでの学びの姿勢や想いも伝わってきた。異分野の研究者とこんなにも真剣に意見を交わす機会は滅多にない。なんとも刺激的で、わくわくする時間だった。

白熱のプレゼン大会の後は懇親会。美味しいお弁当を頂きながら談笑した。例会での経験を活力に、一層研究を深めていけるよう邁進したい。

(文責:廣田千恵子)

当日の写真