2021年蓼科ワークショップ@東京報告


例年蓼科で開催する2泊3日のワークショップは、コロナの影響を受けて、残念ながら昨年に引き続き、東京での半日ワークショップに変更となった。
7月2日(金)の雨が降っていた午後、私たちは渥美財団ホールに集まった。

まずは理事長退任の件を知らせて頂き、新任理事長からご挨拶頂いた。そして、講師として来場した先輩ラクーンのシム・チュン・キャット先生、ミヤ・ドゥイ・ロスティカ先生、沈雨香先生及びマグダレナ・コウオジエイ先生が自己紹介した。

次に、シム先生が司会を務め、アイスブレイキングを行った。その場にいらっしゃった皆さんが各々「びっくり、がっかり、ひっそり」したことをテーマにして近況を話した。一見変わったテーマであるが、実際様々なユーモアな話が出て、小さな秘密を交わすような雰囲気になり、アイスブレイキングとしては非常に良いテーマだったと思う。

続いてこのワークショップの本題に入った。シム先生が「ダイバーシテイ:〜あなたは多様性をどこまで許すか〜」というテーマを紹介し、様々な点から「多様性」及びそれと衝突したものについて考えさせた。

グループディスカションの時間になり、zoom参加者を加えて、奨学生全員三つのグループに分けられた。ディスカッションは先輩ラクーンの方々にサポートしていただきながら、自由に各々のグループの議論を聞いたり、意見を交換して、スムースに行うことができた。

その後はプレゼンテーションと質疑問答の時間である。第三グループは「学校で着る制服の多様性」について、正否両論をあげ、「学生それぞれの個性やアイデンティティを尊重する」必要があることに辿り着いた。そしてミヤ先生から、「私服は経済状況を表す一方、制服は外見の平等性を促進する」という観点が提供され、議論はさらに熱くになった。

第二グループはシム先生が紹介した「アメリカにあるケーキ屋さんがゲイカップルのウェディングケーキの制作を拒否した」事例に即し、グループメンバー各自の考え、及びその延長線上にある「多様性はどこまで尊重すべきか」という問題への答えを発表した。その中、「どこまで許すか」を考える代わりに、むしろ「多様性」・「マイノリティー」の概念を考え直すべきだと主張する方もいた。

第一グループは理系出身のメンバーが多いため、理系の観点から「日本にいる外国人の多様性」について論じた。また、「多様性が存在することこそ自然な状態だから、日本も多様性を持っている外国人を多く招くのはよいではないか」と結論付けた。

最後に前理事長の温かいコメントをまとめとして、ワークショップは終わった。「多様性」を巡って、様々な知的な交流ができ、「一見オピニオンを共有しても、実はその中身や認める範囲は人それぞれだ」ということを改めて実感し、極めて有意義な時間を過ごした。

(文責:蒋薫誼)

当日の写真