SGRAメールマガジン バックナンバー
Khin Maung Htwe “Myanmar Earthquake Experience”
2025年4月10日 13:58:20
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SGRAかわらばん1058号(2025年4月10日)
【1】SGRAエッセイとご支援のお願い:キン・マウン・トウエ「ミャンマー大地震の経験」
【2】第75回SGRAフォーラム・第45回持続的な共有型成長セミナーへのお誘い(4月12日、東京+オンライン)(最終案内)
「東アジア地域市民の対話:国境を超える地方自治体・地域コミュニティ連携構想(LLABS)の可能性を探る」
【3】第76回SGRAフォーラムへのお誘い(5月2日、トルコ・チャナッカレ+オンライン)(再送)
「中近東・東南アジアからみる日本と暮らす日本:それぞれの視点で考える」
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【1】SGRAエッセイ#787とご支援のお願い
※「ミャンマー大地震復興支援活動のための募金」を応援していただける方は、下記リンクのフォームにご記入の上指定口座にお振込みください。ご寄付の全額をキンさんにお届けします。
https://forms.gle/qdqAzYyxgjdkZEYv5
◆キン・マウン・トウエ「ミャンマー大地震の経験」
2025年3月28日午後12時50分(日本時間:15時20分)、ミャンマーの中心部にあるマンダレー市の近くサガイーを震源にマグニチュード7.7の大地震が発生した。地震の経験が少ないミャンマーの人々にとっては、瞬時に自分が生き残れるかが決まる一生忘れられない出来事だった。予測もしていなかったし経験もないから、地震直後は困難なことがたくさんあった。
「サガイー断層(Sagaing_Fault)」と呼ばれる1200キロ以上もある長い断層がミャンマーを南北に縦断していることは、1930年ごろから専門家によって指摘されていた。今回の大地震を引き起こした動きは「ストライクスリップ」であり、2つのブロックがお互いに水平に動いた。実は、サガイー断層プレートを中心とした大地震が100年後(現在)に起きるとも予測されていた。
ミャンマーの首都ネピィドー管区、マンダレー管区、サガイー管区、南シャン州に大きな被害が起きて多くの建物が潰れた。4月1日に死亡者2719人、負傷者4521人、行方不明441人と発表があり、その後も増加し続けている。
多くの高層ビル(例えば11階建て1000室以上のスカイヴィラ高級マンション)が潰れ、たくさんの命が失われた。地震の後、マンダレーの街に出てみると、家を失ってホームレス生活をしている人々がたくさん居た。命が残されても食料や水、寝る場所、仕事場がなくなり、夢を失い、心の傷を負っている。階段を見るだけで怖い、家は残ったが戻るのが怖い。一瞬のうちにホームレス生活になった友人たちを見て、支える言葉も出ない。40度以上の暑さは被災者の健康をむしばむ。5月になれば雨季に入り、テント生活もできなくなる。被災者のために心が痛む。
自分に命が残されたのは幸せなことだった。地震が起きた時、マンダレー市にある市民病院に2カ月半前から入院している91歳の父親のところに居た。父を背負って4階から階段で運び出した。父はこの混乱によるショックで危機的な状態に陥ったが、病院スタッフのみなさんのおかげで助かった。
地震が発生した時、家族はばらばらだった。幸いにも病院のインターネットがまだ使える状態だったので、バンコク留学中の娘から連絡があり、お互いの無事を確認した。マンダレーの学校に通っている次女は潰れた校舎から抜け出し、先生たちと避難したとの連絡があり安堵した。6階の自宅に居た妻と息子に連絡が取れなくて心配したが、2時間後に私が経営する居酒屋のスタッフと避難したとの連絡を受け、やっと全員の無事が確認できた。「イビススタイルホテル」内にある「居酒屋秋籾(AKIMOMI)」は大きな被害を受け、日本から苦労して輸入した大事な食器や飾り物が壊れてしまった。ただ、マンダレーから車で1時間ほど離れた避暑地ピンウーリンで経営する「ホテル秋籾」は、日本人の設計と監督によって建設されたこともあってか、大地震の影響はほぼない。
今回の大地震によって、家族とスタッフ全員の命に影響が無かったのは幸せだった。そこで、被災者のために私ができることをしようと考えて支援活動を始めた。まず、「ホテル秋籾」に滞在しているマンダレーからの被災者(多くは、年配の方たちと子供たち)に心の傷を短時間でも忘れてもらうために、特別な夕食を無料で提供して皆さんに美味しく、楽しく過ごしていただいた。部屋代の割引やできる限りのサービスを行った。ホテルに滞在している100人ぐらいの被災者しか支援できないので、お弁当も作って病院に差し入れた。
今、私の力ではお弁当や飲み水を配布することしかできない。これから必要になる医薬品やドライフード、ソーラー電気関係やテント、寝具など被災者支援のための募金を始めた。このエッセイを読まれる皆様にも「ミャンマー大地震復興支援活動のための募金」にご協力を願いしたい。
※地震被害の状況や支援活動の写真を下記リンクよりご覧いただけます。
<キン・マウン・トウエ Khin Maung Htwe>
ミャンマーで「小さな日本人村」と評価されている「ホテル秋籾(AKIMOMI)」の創設者、オーナー。マンダレー大学理学部応用物理学科を卒業後、1988年に日本へ留学、千葉大学工学部画像工学科研究生終了、東京工芸大学大学院工学研究科画像工学専攻修士、早稲田大学大学院理工学研究科物理学および応用物理学専攻博士、順天堂大学医学部眼科学科研究生終了、早稲田大学理工学部物理学および応用物理学科助手、Ocean_Resources_Production社長を経て「ホテル秋籾」を創設。SGRA会員。
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【2】第75回SGRAフォーラム・第45回持続的な共有型成長セミナーへのお誘い(最終案内)
下記の通り第75回SGRAフォーラム・第45回持続的な共有型成長セミナー「東アジア地域市民の対話」を対面とオンラインのハイブリットで開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。
テーマ:「東アジア地域市民の対話 国境を超える地方自治体・地域コミュニティ連携構想(LLABS)の可能性を探る」
日 時:2025年4月12 日(土)午後2時~午後5時(日本時間)
方 法:会場参加とオンライン参加(Zoomウェビナーによる)のハイブリット開催
会 場:桜美林大学新宿キャンパス創新館(南館)JS302号室
https://www.obirin.ac.jp/access/shinjuku/
言 語:日本語・英語(同時通訳)
申 込:参加申込(参加には事前登録が必要です)
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_6rSMRrVaRw-wmMhl6Cc3RQ#/registration
お問い合わせ:SGRA事務局([email protected])
◆フォーラムの趣旨
地理学的にいえば、「東アジア」は、北東アジア(日本、中国、韓国)と東南アジア(ASEAN加盟国)の双方から構成され、「多様性の中の調和」原則の現出ともいえる「東アジア統合」というASEAN+3(日中韓)のビジョンを共有している。東アジアはこのビジョンに向けて大きな前進を遂げたが、近年中国が関わる出来事がビジョンに向けた地域の進歩を頓挫させていることも否定できない。
国境を超える地方自治体・地域コミュニティ連携構想(Local-to-Local-Across-Border-Schemes、以下LLABS)は、渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)とフィリピン大学ロスバニョス校(UPLB)経営開発学部(CPAf)のさまざまなコラボレーションとして、フェルディナンド・C・マキト博士が主導する「持続可能な共有成長セミナー」を通じて生まれた。UPLBチームは、フィリピン内務省の地方政府アカデミーと地方自治省のためにLLABS研究プロジェクトを実施した。
本フォーラムでは、桜美林大学グローバル・コミュニケーション学群とSGRAの協力によって、これまで主にフィリピンで検討されてきたLLABS構想について、北東アジアの研究者と一緒に議論し、実現の可能性について探る。
会場とオンラインのハイブリッド形式で開催し、共催のフィリピン大学オープンユニバーシティ(UPOU)を通じて広くオンライン参加者を募る。
◆プログラム
◇基調講演
「国境を超える地方自治体・地域コミュニティ連携構想(LLABS)の概要と意義」
フェルディナンド・マキト(フィリピン大学オープンユニバーシティ(UPOU)講師)
◇討論1<ASEAN+3と日本。LLABSの可能性>
「コミュニティ連携:成長のトライアングル、中華街、「カレー移民」に見る教訓」
佐藤考一(桜美林大学リベラルアーツ学群教授)
◇討論2<ASEAN+3と中国。LLABSの可能性>
「中国および東北アジア地域における越境開発協力と地方自治体国際協力の枠組み」
李鋼哲(INAF研究所代表理事・所長)
◇討論3<ASEAN+3と韓国。LLABSの可能性>
「韓国地方政府の国際レジーム形成の取り組み:日中韓地方政府交流会議を事例として」
南基正(ソウル大学日本研究所所長)
◇討論4<ASEAN+3と台湾。LLABSの可能性>
「政治的制約を超える台湾と東南アジアの「非政府間」の強い結びつき」
林泉忠(東京大学東洋文化研究所特任研究員)
◇自由討論
フィリピン市民の意見 … ジョアン・セラノ(フィリピン大学オープンユニバーシティ教授)
インドネシア市民の意見 … ジャクファル・イドルス(国士舘大学21世紀学部専任講師)
タイ市民の意見 … モトキ・ラクスミワタナ(早稲田大学アジア太平洋研究科)
◇総括 平川均(名古屋大学名誉教授)
詳細は下記リンクをご覧ください。
※プログラム
https://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2025/01/SGRAForum75Program.pdf
※英語版プログラム
75th SGRA Forum/45th Sustainable Shared Growth Seminar “East Asia Citizens Dialogue”
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【3】第76回SGRAフォーラム「中近東・東南アジアからみる日本と暮らす日本」へのお誘い(再送)
下記の通り第76回SGRAフォーラム「中近東・東南アジアからみる日本と暮らす日本:それぞれの視点で考える」を対面とオンラインのハイブリットで開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。
テーマ:「中近東・東南アジアからみる日本と暮らす日本:それぞれの視点で考える」
日 時:2025年5月2日(金)10:00~15:00(トルコ時間)/16:00~21:00(日本時間)
方 法:会場参加とオンライン参加(Zoomウェビナーによる)のハイブリット開催
会 場:チャナッカレ・オンセキ・マルト大学(COMU)アナファルタラル・キャンパス
教育学部4階セミナーホール
言 語:日本語
申 込:参加申込(参加には事前登録が必要です)
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_riLvAnD5RwKdQVoGTNrPNA#/registration
お問い合わせ:SGRA事務局([email protected])
◆フォーラムの趣旨
中近東や東南アジアでアニメ・マンガなど日本のポップカルチャーへの関心が急上昇している。日本語学習のきっかけとなることも多い。トルコ語に翻訳された日本のアニメや漫画が飛躍的に増えているように、日本ポップカルチャーはブームだ。日本研究においても、これらの地域でなぜ日本文化の受容が広がっているのか、なぜ若者が日本語に特別な関心を持つようになったのかをもっと議論すべきであろう。
一方、日本には中近東や東南アジアの国々から来た多くのイスラム教の移住者がいるが、日本語や文化、教育の環境に順応しようとしながら生活する中で、さまざまな困難に直面している。まずは言語の壁や文化的な違いによる摩擦が大きな課題だ。また、日本で生まれ育った子どもたちにとっては、自らのルーツに基づくアイデンティティーや宗教教育に関する問題も浮上している。
フォーラムでは、こうした課題に焦点を当て、第1部では中近東の日本語教育と日本研究を考える。第2部では、日本文化の受容と日本語教育を内側から議論をするために日本社会と共生する外国人コミュニティー、特に、イスラム文化圏から来た移民が直面する問題を深く掘り下げ、具体的な努力や解決策を模索する場としたい。
中近東や東南アジア地域における日本文化の需要を外側と内側からとらえることにより、今日の世界における日本のソフトパワーの位置づけが可能になるだろう。
◆プログラム
【第1部】中近東の若者にとっての日本語学習と日本文化
◇「トルコに於ける日本語教育と学習者の最初の混乱:カタカナ」
Levent_TOKSOZ(Tekirdag_Namik_Kemal_University・NKU)
◇「トルコの若者のアニメとマンガ関心:現実逃避、別世界とアイデンティティー」
Melek_CELIK(COMU)
◇「イランの若者と日本語・日本文化:メディア、教育、就職、そして未来展望」
Ayat_HOSSEINI(テヘラン大学)
◇討論「中近東の日本語・日本文化イメージを再考察する」
Jianjun_SUN(北京大学)、Miyuki_ICHIMURA(COMU)、Shorina_DARIYAGUL(筑波大学)
【第2部】日本におけるイスラムコミュニティーの日本文化受容と日本語教育
◇「在日の中東出身者における日本語習得過程の変容と影響要因に関する考察」
Akbari_HOURIEH(神田外国語大学)
◇「在日インドネシアコミュニティーと多文化共生:イスラム教育を中心に」
Mya_Dwi_ROSTIKA(大東文化大学)
◇【討論】「日本の国際化の中の外国人コミュニティーを再考察する」
Zeynep_GENCER_BALOGLU(Pamukkale_University・PAU)、Murat_CAKIR(関西外国語大学)
詳細は下記リンクをご参照ください。
※プログラム
https://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2025/04/forum76program.pdf
※ポスター
https://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2025/04/76_SGRA_ForumV8-scaled.jpg
皆さまのご参加をお待ちしております。
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