SGRAメールマガジン バックナンバー

DALE Sonja “Asian Future Conference Attended from Home”

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SGRAかわらばん946号(2022年11月24日)

【1】SGRAエッセイ:デール・ソンヤ「家から参加したアジア未来会議」

【2】国史エッセイ紹介:南基正「歴史と私―冷戦史研究者としての志を忘れない―」

【3】催事紹介:国際シンポジウム「遊牧帝国の文明と現代社会」(12月10日、東京)
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【1】SGRAエッセイ#724

◆デール・ソンヤ「家から参加したアジア未来会議」

2年に1度開催されるアジア未来会議(AFC)を、いつもとても楽しみにしている。興味深い発表やディスカッションはもちろんだが、それより、世界中の「ラクーン(元渥美奨学生)」との再会や新しい出会いの機会でもある。自分にとってのAFCは、とても賑やかな笑いと笑顔がたっぷりのイベントだ。コロナの影響で1年延長され、ハイブリッド形式で開催されることになったが、私を含めてほとんどの参加者が家からオンラインで参加した。台湾に行けなかったことは残念だが、今回はこのユニークなオンラインAFC体験について書く。

自分が担当したAsian_Cultural_Dialogues(ACD)の円卓会議の他に、セッションの座長およびクロージングセレモニーの司会として関わった。ACDは角田さん(渥美財団事務局長)の発案により作られたネットワークおよび対談のフォーラムであり、今年は初めて私が担当した。コロナの影響で当初の企画より少し短めのプログラムになった。テーマは、「アジアにおけるメンタルヘルス、トラウマと疲労」にした。その理由は、やはりコロナ時代において感じる日常的なストレスおよび社会的な変化だ。インドネシア、フィリピン、日本からの発表の後には、インド、タイ、ミャンマーにいる、または専門にしているコメンテーターからの意見をいただき、ディスカッションした。

コロナは世界中で共通している経験だが、それぞれの国の対応・状況は異なる。その違いや対策などについて知り、話すことはとても面白かった。フィリピンのMaria_Lourdes_Rosanna_E_de_Guzman先生の発表で、活動家の長い闘いと成果のおかげで、政府もしっかりとメンタルヘルスの支援をするようになったと聞いて感動した。日本のVickie_Skorjiさんの話から、ジェンダー不平等とメンタルヘルスの関係性を改めて考えさせられ、多様な立場にいる人々を想像し、適切に対応する重要性を感じた。また、インドネシアのHari_Setyowibowo先生の発表から、「コロナの影響で新しく生まれてくる可能性」という、前向きな視点も与えられた。

コメンテーターは、以前のACD円卓会議に関わってくれたCarine_JacquetさんとラクーンのRanjana_Mukhopadhyaya先生、ACD円卓会議に参加してくれた方の紹介で新しく関わってくださったKritaya_Sreesunpagiさんであった。それぞれのコメントからコロナの深い影響を感じ、コロナの政治的な問題および争いの関係性について学び、考えることができた。コメンテーターの参加により、ACDネットワークの連続性および絆を感じることができて、角田さんおよび最初からずっとACDに参加してくださっている皆さんに敬意を表したい。充実したディスカッション後には、Kritayaさんの指導で10分ぐらいの瞑想があり、すっきりした気持ちでセッションを終えた。世の中に大変な事がたくさんあっても、自分にやるべき事が山ほどあるとしても、ひとまず自分のケアをしっかりする必要性を感じた。参加者の皆さん、本当にありがとうございました!

AFCの魅力は、自分の分野以外の研究者と触れ合うことだ。私が座長をしたパネルは専門と全く関係のない工学関係の発表が多かったが、興味津々で発表を聞くことができた。会場でやるときより視聴者が少なく寂しかったが、それなりに楽しくできたと思う。

クロージングセレモニーではオンラインながらも皆さんの笑顔が見られて、とても楽しい気持ちになった。知っている人に声を出して「元気!?最近どう!?」と、言いたかったけど、司会として真面目にしなくてはいけないね、とがまんした。次のAFCの会場がバンコクと発表され、とても良い盛り上がった雰囲気の中で会議を終えた。

オンラインだけのAFCは、正直少し寂しかったが、何よりこの状況の中で開催できたことは素晴らしかった。皆さんとの再会、本当に楽しみにしている。またバンコクで会おう、乾杯しようね!

<デール・ソンヤ DALE_Sonja>
ウォリック大学哲学部学士、オーフス大学ヨーロッパ・スタディーズ修士を経て上智大学グローバル・スタディーズ研究科にて博士号取得。現在、インディペンデントリサーチャー。専門分野はジェンダー・セクシュアリティ、クィア理論、社会的なマイノリティおよび社会的な排除のプロセス。2012年度渥美国際交流財団奨学生。

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【2】国史対話エッセイのご紹介

11月30日に配信した国史対話メールマガジン第45号のエッセイをご紹介します。

◆南基正(ソウル大学)「歴史と私―冷戦史研究者としての志を忘れない―」

戦後東北アジア冷戦の文脈から日本の政治外交の展開を追跡し分析すること。いつからかよく覚えていないが、自分の研究領域を説明するときに使う決まり文句である。日本の政治外交が専門であるが、冷戦の展開に関心があることを強調したい気持ちを込めている。時間に余裕があり、歴史的手法を重視していることを伝えたいときには、「外交文書などの史料を使って」という言葉を付け加えている。
日本研究所というところで仕事をする日本地域研究者として、韓国社会のニーズに応えて日本の政治外交に関することなら「ほぼ何でも」研究するようになったが、「冷戦史」研究を志した初心を忘れないでいたい、その覚悟を込めて自分に言い聞かせている言葉でもある。ときに不思議に思う。なぜ私は「冷戦史の中の日本」を研究しているのか。振り返れば、高校1年生の初秋にその出発点があった。

続きは下記リンクをご覧ください。
https://www.aisf.or.jp/sgra/kokushi/J_Kokushi2022NamKijeongEssay.pdf

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【3】催事紹介

SGRA会員で昭和女子大学教授のボルジギン・フスレさんから国際シンポジウムのご案内をいただきましたのでご紹介します。

◆国際シンポジウム「遊牧帝国の文明と現代社会」

日時:2022年12月10日(土)9:30~18:30(9:00会場、入場無料)
会場:昭和女子大学8号館6階オーロラホール

ユーラシアの横軸をなしている地域には、モンゴル人を始め、さまざまな遊牧民族が居住しています。13世紀、チンギス・ハーンとその子・孫が率いる騎馬軍団はユーラシアをまたぐ空前絶後のモンゴル帝国を築きあげると同時に、遊牧民族の豊かな文化をさらに発展させました。モンゴル帝国の輝かしい遊牧文化には、スキタイや匈奴、突厥といった遊牧民族の文化的要素が含まれています。2022年は、世界史上最大の版図を誇ったモンゴル帝国の創始者チンギス・ハーンの生誕860周年にあたります。この記念すべき年を迎えるにあたって、昭和女子大学国際学部国際学科の学術研究と対外交流活動の一環として、昭和女子大学で国際シンポジウム「遊牧帝国の文明と現代社会」を開催します。本シンポジウムは、日本、モンゴル、中国などの国からの研究者を招き、近年の研究の歩みをふりかえり、歴史、考古、文化などの諸分野の最新の研究成果と課題を総括し、遊牧帝国の文明とその遺産を再評価しながら、創造的な議論を展開することを目的としています。皆さまの奮ってのご参加を、心からお待ちしております。

詳細は下記リンクをご覧ください。
https://ja-ms.org/img/Sympojium-Showa-20221210.pdf

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