SGRAメールマガジン バックナンバー

Xie Zhihai “Encouragement of Fixed-point Observation”

**********************************************
SGRAかわらばん741号(2018年9月20日)

【1】エッセイ:謝志海「定点観測のすすめ」

【2】催事案内:APYLP ジョイント・セッション
  「アジアのジャーナリズム」(10月14日、東京)

【3】第61回SGRAフォーラムへのお誘い(再送)
  「日本の高等教育のグローバル化!?」(10月13日、東京)
**********************************************

【1】SGRAエッセイ#578

◆謝志海「定点観測のすすめ」

インターネットとスマートフォンが当たり前にある昨今、この2つがあればどこにいても一瞬にして大量の情報を得られるようになった。一方で情報の質と正確さも問われるようになり、我々は溢れかえった情報から本物で質の高い情報を集めることが大切になってきた。そこで思うのは、やはり自分の身体を動かし自分の目と耳で情報を集めること。国際関係を専門とする私にとっては、身体を使ってとなるといろんな国を飛び回ることになる。それはどう考えても難しいのだが、やってのけている人もいるのだ。

その方は一言では肩書きを説明しきれないのだが、多摩大学の学長を務める寺島実郎氏である。彼のインタビューや彼の本を読むと繰り返し出てくる言葉がある――「定点観測」。テレビでよく見かける方なので、正直私は世界を飛び回っているイメージが無かったのだが、彼はアメリカ、イギリス、中東などの国々と都市を毎年同じ時期に訪ね、その場所にいる友人やキーマンから直接話を聞いている。現地で自身が見たもの聞いたもの感じたものこそがまさに「本物」の情報であり、東京でスマートフォン片手に情報検索して、この情報は信憑性があるのか?誰が書いたのか?など検証している時間よりもずっと早くて有意義なのではないかという気がしてくるのだ。

私も今年の春、かつて生活していた北京へ6年振りに行ったのだが、あいた口がふさがらないとはこのことで、変わり果てていた。日本に居てテレビでよく目にする最近の中国と言えば、例えば池上彰氏が教える中国では、すべてをスマートフォンで決済している街の人たち、車のライドシェアやレンタルサイクルといったシェアエコノミー、そして電気自動車の発達と、もしかしたら日本より進んだテクノロジーで便利な暮らしに見えるかもしれない。その実はというと、街は混沌としていた。私が住んでいた時よりも随分と伸びた地下鉄の駅も地上に上がれば、シェアサイクルの自転車が乱雑に積み上げられていて、歩道を占領している。まだ日本には進出していないライドシェアが一般的になっている割には一日中ひどい渋滞。

タクシーの運転手が言うには、スマートフォンを使ってどこでも配車手配が出来るようになったはいいが、ドライバーと手配した人との場所の行き違いなどもあり、余計な混雑を起こしているケースもあるそうだ。シェアエコノミーが発達しているようで、経済の発展により増えている車。中国では車の所有、特に輸入車に乗ることはまだまだ富の象徴であるのだ。北京の交通渋滞は日本でも有名だが、スマートフォンアプリで何でも出来るという便利さに都市の秩序が追いついていないのではないか?上海には年に一度は仕事で訪れていたのだが、北京という街には大層驚き、中国に関しては年に一度の定点観測では見逃しが多いということと、一つの都市だけを訪れるだけではいけないことを痛感したのであった。

そして現在、群馬県に住む私は東京へは、週に一度の講義や学会などで度々足を運ぶのだが、2020年のオリンピックへ向けて刻々と変わってゆく東京を体感することができる。タクシーが変わる、都心のバスにはオリンピックのキャラクター。そして何より、街中は英語に加え中国語(しかも簡体字と繁体字の両方!)と韓国語の表示が増え国際都市へ一途に向かっているなあと思うのである。東京に住んでいたままだったらあまり感じなかった事なのだろうか?

私は出来る限り自分が専門とする分野に関係する場所、興味がある場所には自分で行き、歴史が変わる様、潮目の変わりを見逃すことのないようにしたいと思う。「定点観測」というと、この有名なスピーチを思い出さずにはいられない。おそらくすでに星の数ほど引用されているであろう、故スティーブ・ジョブズのスタンフォード大学における2005年の卒業式でのスピーチの後半:「先を見て点をつなぐことはできない。振り返ってそれらをつなぐことしかできない。だからあなた自身が将来なにかしらの形で点がつながると信じること。何かを信じること。」自分が信じた点へ赴き、点を増やし、今後の研究や授業に活かしたいと強く思うのだ。

<謝志海(しゃ・しかい)Xie Zhihai>
共愛学園前橋国際大学准教授。北京大学と早稲田大学のダブル・ディグリープログラムで2007年10月来日。2010年9月に早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程単位取得退学、2011年7月に北京大学の博士号(国際関係論)取得。日本国際交流基金研究フェロー、アジア開発銀行研究所リサーチ・アソシエイト、共愛学園前橋国際大学専任講師を経て、2017年4月より現職。ジャパンタイムズ、朝日新聞AJWフォーラムにも論説が掲載されている。

-・-・-・-・-・-・-・-

【2】催事紹介:APYLPジョイント・セッション「アジアのジャーナリズム」

渥美財団SGRAは、2018年3月に国際文化会館に発足したアジア太平洋地域の未来を担う次世代リーダーたちのためのコミュニティー「アジア・パシフィック・ヤング・リーダーズ・プログラム(APYLP)」に参画することになりました。APYLPは、アジア太平洋地域の未来を担うさまざまなリーダーシップ・プログラムを繋ぎ継続的な研鑚の機会を提供することで、フェローたちがプログラムの垣根を越えて新たな取り組みを生み出すことを目指しています。
その第1回ジョイント・セッションが、下記の通り実施されますのでご案内します。参加ご希望の方は、直接国際文化会館にお申込みください。

日 時:2018年10月14日(日)1:00~3:00pm(開場:12:30pm)
会 場:国際文化会館講堂
共同主催:APYLP、アジア・リーダーシップ・フェロー・プログラム(ALFP)
共催助成:国際交流基金アジアセンター、米日財団、MRAハウス
言 語:日本語/英語(同時通訳つき)
参加費:無料(要予約:定員120名)
詳細・お申込みは下記リンクから。
https://www.i-house.or.jp/programs/apylp_jointsession181014_2/

ALFP 講演会シリーズ/APYLP ジョイント・セッション
◆テーマ:「アジアのジャーナリズム~第一線で闘うジャーナリストに聞く~」

〇スピーカー:
クンダ・ディクシット(Nepali_Times紙編集者・発行人)
サバ・ナクヴィ(フリージャーナリスト)
コン・リッディ(バンコクポスト紙編集者)

〇司会:
水野孝昭(神田外語大学教授、元朝日新聞ニューヨーク支局長)

-・-・-・-・-・-・-・-

【3】第61回SGRAフォーラムへのお誘い(再送)

下記の通りSGRAフォーラムを開催いたします。参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。

◆「日本の高等教育のグローバル化!?」
~グローバル人材育成とはなんだろうか~

日時:2018年10月13日(土)午後1時30分~4時30分 その後懇親会

会場:早稲田大学 国際会議場第一会議室
http://www.color-science.jp/zenkoku2013/img/kokusaikaigijou.pdf

参加費:フォーラム・懇親会ともに無料

お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局(sgra-office@aisf.or.jp, 03-3943-7612)

◇フォーラムの趣旨

2012年に日本再生戦略の中で若者の海外留学の促進とグローバル人材育成が謳われ、5年が経過した。グローバル人材の育成には、多方面かつグローバルな観点での議論と政策が不可欠であるが、現在の諸政策は外国語能力の向上と異文化理解の体得を推進するに留まっている。例えば、TOEFL・TOEICを利用した英語習得及び評価や英語での授業展開を中心としたものや、海外留学の推奨など日本から海外に出る方向に集中していることが挙げられる。また、その対象が日本人に限られている点など、現時点におけるグローバル人材育成の方針は一方面かつローカルな視点から進められているようにとれる。

一方、教育の受け手であり、育成される対象である若者がこのような現状をどのように受け止め行動しているのかはあまり議論されず取り残されたままである。今後スーパーグローバル大学(SGU)から全国の大学にグローバル人材育成教育の政策がさらに促進・拡大されることを踏まえると、今一度現状を振り返る必要がある。

そこで本フォーラムでは、高等教育のグローバル化をめぐる大学と学生の実態を明らかにし、同様の施策をとる他国との比較を通して同政策の意義を再検討する。さらに日本に住み教鞭を執る外国人研究者が中心となって発表することで本テーマに新たな視点をもたらすことが期待される。

◇プログラム

総合司会:張建(東京電機大学特任教授)

【問題提起】
沈雨香(早稲田大学助手)
「スーパーグローバル大学(SGU)の現状と若者の受け止め方:早稲田大学を例として」

【講演1】
吉田文(早稲田大学教授)
「日本の高等教育のグローバル化、その現状と今後の方向について」

【講演2】
シン・ジョンチョル(ソウル大学教授) *逐次通訳付
「韓国人大学生の海外留学の現状とその原因の分析」

【事例報告】
・関沢和泉(東日本国際大学准教授)「内向き志向なのか――地方小規模私立大学における《留学》」
・ムラット・チャクル(関西外国語大学講師)「関西外国語大学におけるグローバル人材育成の現状」
・金範洙(東京学芸大学特命教授)「日本の高等教育のグローバル展開を支えるサブプログラム事例」

【フリーディスカッション】「日本の高等教育のグローバル化!?」
-討論者を交えたディスカッションとフロアとの質疑応答-
モデレーター:シム・チュンキャット(昭和女子大学准教授)

※プログラムの詳細は下記リンクよりご覧いただけます。
http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2018/09/SGRAForum61Program.rev2_.pdf

※ポスターは下記リンクよりダウンロードしていただけます。

第61回SGRAフォーラム「日本の高等教育のグローバル化!?」へのお誘い

*********************************************
★☆★SGRAカレンダー
◇第61回SGRAフォーラム(2018年10月13日、東京)
「日本の高等教育のグローバル化!?」<参加者募集中>

第61回SGRAフォーラム「日本の高等教育のグローバル化!?」へのお誘い

●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。
●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。

無料メール会員登録


●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。
●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。
●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/
●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRA の事業はまずます発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。

寄付について

関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局
〒112-0014
東京都文京区関口3-5-8
(公財)渥美国際交流財団事務局内
電話:03-3943-7612
FAX:03-3943-1512
Email:sgra-office@aisf.or.jp
Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/
**************************************************