SGRAメールマガジン バックナンバー

Invitation to SGRA Fukushima Study Tour #5

**************************************************************************
SGRAかわらばん610号(2016年3月10日)

【1】第5回ふくしまスタディツアーへのお誘い(5月13~15日)  
   「《帰還に挑む》~何ができるのか、何を目指すのか~」

【2】第20回日比共有型成長セミナー報告
   「人間環境学と持続可能な共有型成長」

【3】新刊紹介:「ASEAN経済新時代と日本:各国経済と地域の新展開」
**************************************************************************

【1】第5回SGRAスタディツアーへのお誘い

関口グローバル研究会(SGRA)では2012年から毎年、福島第一原発事故の被災地である福島県飯舘村でのスタディツアーを行ってきました。その体験や考察をもとにしてSGRAワークショップ、SGRAフォーラム、SGRAカフェなど、さまざまな催しを展開してきました。
今年は初夏に第5回目の「SGRAふくしまスタディツアー」を行います。
参加ご希望の方は、SGRA事務局へご連絡ください。

第5回ふくしまスタディツアー
◆「《帰還に挑む》~何ができるのか、何を目指すのか~」

日 程:2016年5月13日(金)、14日(土)、15日(日)
人 数:10人程度
宿 泊:「ふくしま再生の会-霊山(りょうぜん)センター」
参加費:一般参加者は新幹線往復費用+1万2千円
    (ラクーン会会員には補助あり)
申込み締切:2016年4月30日(土)
申込み・問合せ:SGRA事務局 角田
E-mail:[email protected]
Tel:03-3943-7612

【2】第20回日比共有型成長セミナー報告

◆マックス・マキト「第20回日比共有型成長セミナー『人間環境学と持続可能な共有型成長』報告」

「土は土に、灰は灰に、塵は塵に」(earth_to_earth、ashes_to_ashes、dust_to_dust)という言葉を信者に思い出させる、カトリック教会の祝日である「灰の水曜日(Ash_Wednesday)」(2016年2月10日)に、SGRAの20回目の共有型成長セミナーが、マニラ市にあるカトリックの名門アテネオ・デ・マニラ大学で開催された。今回のセミナーは企画の段階から、実行委員たちの提案で、今まで以上に宗教色が増していた。それもそのはずである。昨年、カトリックの教皇様がフィリピンを訪問された後、回勅(encyclical)を出されたことが、委員たちの心を動かしたのである。灰の水曜日に開催されたのは偶然だったが、セミナーのテーマ「人間環境学と持続可能な共有型成長」(Human_Ecology_and_Sustainable_Shared_Growth)に相応しいと思った。

グローバル市場経済が世界を席巻する今日、東南アジア諸国、特に中所得の罠(Middle_Income_Trap)に落ちてしまったフィリピンは、経済発展をとげる一方で社会的格差が増大し、環境破壊も止めどなく進行し、人権侵害や地域・民族間の紛争も解決の糸口さえ見えない状態に陥っている。植民地支配のくびきから解放され、国民国家形成の過程で、多様な民族、宗教、文化の統合に苦慮してきた東南アジア各国では、グローバリゼーションのもとでの社会環境の変化に対して、宗教的な価値観、倫理観に基づく批判や反発が生まれてきている。

教皇様が発したのは、貧富の格差の拡大や環境破壊を厳しく批判し、社会的公正と倫理の回復を求める強いメッセージであった。公正と倫理の回復を求めるメッセージには、人間環境学(Human_Ecology)という概念が取り上げられているが、このセミナーを通してこの概念の意味や意義などを理解し、さらにはフィリピンのSGRAプロジェクトが追究している持続可能な共有型成長との関連性を考えることが、本セミナーの目的であった。

セミナーはフィリピンの国歌斉唱、アテネオ・デ・マニラ大学の経済学部長のクリスティナ・バウティスタ氏と今西淳子SGRA代表の開会挨拶から始まった。午前中は、下記の通り、フィリピン各地から集まった講師による発表が行われた。

発表1「スペインの哲学者レオナルド・ポロによる環境の概念や共存:持続可能性教育への含意」
発表者:Dr._Aliza_Racelis_(University_of_the_Philippines)

発表2「防災力(レジリエンス)と持続可能性のためのメトロ・マニラの都市計画」
発表者:Arch/EnP._Sylvia_Clemente_(University_of_Sto._Tomas)

発表3「パサイ市の旧干拓エリアにおける都市の衰退と貧困の指標との関係の評価」
発表者:Arch._Regina_Billiones

発表4「ベンゲット州(フィリピン)の主要民族部族のペドペド喫煙」
発表者:Ms._Girlie_Gayle_Toribio_(Benguet_State_University)

発表5「カガヤン・デ・オロ河川の流域の家庭における使用・非使用便益の仮想的市場評価手法による推定」
発表者:Dr._Rosalina_Palanca-Tan_(ADMU)、Ms._Marichu_Obedencio、_and_Ms._Caroline_Serenas_(Xavier_University_Ateneo_de_Cagayan)

発表6「生物濃縮:プラスチックのゴミの悲劇」
発表者:EnP._Grace_Sapuay_(Solid_Waste_Management_Association_of_the_Philippines)

発表7「気候変動を理解する」、「高潮」
発表者:Mr._Erik_Pinaroc_(University_of_Sto._Tomas)、Mr._Gerardo_Santiago_III_(University_of_Sto._Tomas)

発表8「スペインの植民地資本主義と福音伝道を超えて、フィリピンの教会遺産の評価へ」
発表者:Arch_Mynn_Alfonso_(University_of_Sto_Tomas)

このセミナーには100人を超える参加者が集まった。アジアで最も古く、カトリック最大の大学とも言えるサント・トマス大学の学部生とその先生たちが大勢来てくださった。灰の水曜日に合わせるかのように、午前中の発表は、宗教的な課題(カトリックの哲学者について)から始まり、宗教的な課題(スペイン植民時代の教会について)で終わった。その日は本来断食の日でもあるので、軽いランチを挟んで、午後は発表者の円卓会議が行われ、発表とテーマとの関係の理解を深めようとした。そのまとめは下記のリンクからご覧ください。

「人間環境学」と「持続可能共有型成長」の視点から見た各発表のまとめ(英語)
http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/network/2016/6429/

共有型成長セミナーは、以前から専門分野や国籍の壁を超えて実施されてきたが、今回は、初めて世代の壁をも超え、実行委員から推薦された学部生の発表を3本も入れてみた。日比共有型セミナーは12年間に20回開催してきたが、今回も手伝ってくれた甥のアランは、セミナー後の懇親会で、感想を聞かせてくれた。「僕はマキト家の中で、このセミナーの出席率が一番いいと思う。何しろ最初は11歳だったのでちゃんと聞いていなかった。でも、今日は、僕と同世代の熱意ある発表を聞いて、やっとセミナーの意義がわかった」と。今後も「世代間の壁」を突破する試みを続けようと励まされた。

当日の写真は下記リンクよりご覧ください。
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/photo-gallery/2016/6375/

<マックス・マキト☆Max_Maquito>
SGRA日比共有型成長セミナー担当研究員。SGRAフィリピン代表。フィリピン大学機械工学部学士、Center_for_Research_and_Communication(CRC:現アジア太平洋大学)産業経済学修士、東京大学経済学研究科博士、アジア太平洋大学にあるCRCの研究顧問。テンプル大学ジャパン講師。

【3】新刊紹介

SGRA会員のマキトさんより、共著書をご寄贈いただきましたのでご紹介します。

◆トラン・ヴァン・トゥ編著「ASEAN経済新時代と日本:各国経済と地域の新展開」

ASEAN経済共同体(AEC)創設、加盟各国が中所得以上に発展したASEAN新時代が到来。高所得国シンガポール、高位中所得国マレーシアとタイ、低位中所得国インドネシア、フィリピン、ベトナムとラオス、低位中所得国の仲間に入りつつあるカンボジアとミャンマーの現段階と持続的発展の条件を分析し、AEC、対中・対日関係、メコン河流域開発、平和環境の今後を展望。

編著者:トラン・ヴァン・トゥ
発行所:文眞堂
A5判:387頁
ISBN:978-4-8309-4897-8(4-8309-4897-3)
定価:3024円(本体 2800+税)
発行日:2016年2月

詳細は下記リンクをご覧ください。
http://www.bunshin-do.co.jp/catalogue/book4897.html

**************************************************
★☆★SGRAカレンダー
◇第9回SGRAカフェ(2016年4月2日東京)
「難民を助ける~民と官を経験して~」<参加者募集中>
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2016/6365/
◇第5回SGRAふくしまスタディツアー(2016年5月13~15日)
「帰還に挑む:何ができるのか、何を目指すのか」<参加者募集中>
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2016/6409/
◇第6回日台アジア未来フォーラム(2016年5月21日高雄)
「東アジアにおける知の交流―越境・記憶・共生―」<ご予定ください>
http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/taiwan/2015/4439/
◇第3回アジア未来会議「環境と共生」<参加者募集中>
(2016年9月29日~10月3日、北九州市)
http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/
<発表論文(要旨)の募集は締め切りました。参加登録受付中>
☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。

●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。
●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。

無料メール会員登録


●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。
●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。
●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。
●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。
http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2015/?cat=11

関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局
〒112-0014
東京都文京区関口3-5-8
渥美国際交流財団事務局内
電話:03-3943-7612
FAX:03-3943-1512
Email: [email protected]
Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/
**************************************************