SGRAメールマガジン バックナンバー

Miyuki Ota “Telephone Booth”

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SGRAかわらばん587号(2015年9月24日)

(1)エッセイ:太田美行「電話ボックス」

(2)SGRAカフェへのお誘い(10月24日東京)(再送)
 「女子大は、要る?~『女』、『男』と大学について考えよう~」

(3)SGRAフォーラムin北九州へのお誘い(11月14日北九州)
 「青空、水、くらし~環境と女性と未来に向けて~」(再送)
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(1)SGRAエッセイ#468

◆太田美行「電話ボックス」

近頃日々困っている。「これでいいのかニッポン」とつぶやきたくなるくらいだ。何かというと公衆電話の話である。携帯電話の普及による公衆電話の減少は著しく、平成14年度の584,162台から25年度には195,514台にまで減っている(出典:総務省『情報通信白書』)。公衆電話が減っているという事は電話ボックスも減っているはずで、ある程度はやむを得まい。しかし私は電話ボックスを減らさないでほしいと思う類の人間だ。いや、それどころか増やしてほしいとすら思っている。それは災害時や高齢者のためだけでなく、もっと現代的な理由からだ。

LINEの利用が増えたとしても電話をかける機会は明らかに増えている。それに伴い、私たちが騒音に対していっそう鈍感になったように思えてならない。街中で、建物の中で、電話はいつでもかかってくるし、またかけてもいる。「電車内での通話はご遠慮下さい」とよく聞くが、では代わりの場所は用意されているのだろうか。騒々しい駅のホームではもちろん無理だ。道の真ん中で?いや端でだってうるさくて無理だろう。街中でなくても、住宅街の道でも、危険はある。今度は静か過ぎるから辺りに話の内容が筒抜けなのだ。電話だと対面の会話と違って声が大きくなるためで、自宅にいて通行人の携帯電話の会話をうるさく感じることもしばしばだ。

では建物の中では?ビルのロビーは音がよく響く。そんな所で何かの予約や、商品の取り置き依頼をしたり(最近は美容院であろうがデパートであろうが、ほぼ確実に「ではお名前をフルネームで仰って下さい」と言われる)、自分の携帯電話の番号やクレームを言ったりはしたくないのである。周囲の人にも迷惑だ。だからといって建物の人気がない所は危険だ。このご時世、警備員が出てきたりしかねない。そもそも「関係者以外の立ち入りを禁じます」とある中にどうして入ることができよう(入ってるけど)。そんな時こそ電話ボックスは、その秘めたる価値を顕わにする。

騒音は一定程度遮られ、透明で周囲の様子もわかる電話用の個室。そこで電話をしても何ら怪しい事はない。そういう訳で私は公衆電話でなく、携帯電話で話すために電話ボックスをよく利用している。傍から見るとおかしいらしく、道行く人に笑われたこともある。しかしそれが何だというのであろう。電話のための空間で電話をする。何も間違ってはいない。笑う人たちは音のマナーに鈍感なのだ。ああ気の毒に。

昔の映画によく登場する、また今でも高級ホテルのロビーで見かける電話室。そのために電話ボックスを増やしたい。電話ボックス復活は今やマナー改善、ひいては人間尊重につながる大事な手段なのである。

<太田美行(おおた・みゆき)>
東京都出身。中央大学大学院 総合政策研究科修士課程修了。シンクタンク、日本語教育、流通、コンサルティングなどを経て2012年より渥美国際交流財団に勤務。著書に「多文化社会に向けたハードとソフトの動き」桂木隆夫(編)『ことばと共生』第8章(三元社)2003年。

(2)第8回SGRAカフェへのお誘い

SGRAでは、良き地球市民の実現をめざす(首都圏在住の)みなさんに気軽にお集まりいただき、講師のお話を伺う<場>として、SGRAカフェを開催しています。今回は、「性別やジェンダー(「女」「男」であること等)について、考えるきっかけをつくる」ことをめざし、シンガポール出身のシム_チュンキャットさん、ノルウェー出身のデール_ソンヤさんのお二人を中心とした座談会を開催します。
準備の都合がありますので、参加ご希望の方は、事前に、SGRA事務局へお名前、ご所属、連絡用メールアドレスをご連絡ください。

◆「女子大は、要る?~『女』、『男』と大学について考えよう~」

日時:2015年10月24日(土)14時~17時
会場:渥美国際交流財団ホール
   http://www.aisf.or.jp/jp/map.php
会費:無料
お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局([email protected]

講師からのメッセージ:

日本には、女子大学というものがまだ存在しています。男女平等という話題が盛り上がっている現在において、女性しか通えない大学は要らないと思っている人は多いかもしれません。男子大学はないし、男女平等の社会だったら、性別に関わらず誰でもどのスペースでも利用できるはずでしょう。

このカフェは、性別やジェンダー(「女」「男」であること等)について、考えるきっかけにしていただけたらと思います。大学というテーマを中心に、「女」である、または「男」であることと、その社会的な妥当性について考えましょう。

女子大や、大学でジェンダーの勉強することについての発表の後、このテーマについて話し合う場をつくりたいと思っています。このカフェは講演会ではなく、ディスカッションのためのカフェです。皆さんの積極的な参加をお待ちしています!

<シム_チュンキャット_Sim_ChoonKiat_沈_俊傑>
シンガポール教育省・技術教育局の政策企画官などを経て、2008年東京大学教育学研究科博士課程修了、博士号(教育学)を取得。昭和女子大学人間社会学部・現代教養学科准教授。SGRA研究員。

<デール、ソンヤ_Sonja_Dale>
2014年上智大学グローバル・スタディーズ研究科博士課号取得。東海大学他非常勤講師。ウォリック大学哲学部学士、オーフス大学ヨーロッパ・スタディーズ修士。2012年度渥美奨学生。

(3)第50回SGRAフォーラムin北九州のご案内

下記のとおり第50回SGRAフォーラムを開催いたします。
参加ご希望の方は、SGRA事務局にご連絡ください。

◆「青空、水、くらし-環境と女性と未来に向けて-」

日時:2015年11月14日(土)午後1時~5時
会場:北九州市立大学北方キャンパス_本館2階C-202教室
    http://www.kitakyu-u.ac.jp/access/kitagata.html
参加費:フォーラム/無料
    フォーラム終了後の交流会/一般1000円、学生500円を予定

お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局宛に事前にお名前、ご所属、連絡先をご連絡の上、参加申込みをしてください。
SGRA事務局([email protected]

フォーラムの概要:

北九州市は大気汚染や水質汚濁など1950年代、60年代の経済成長に伴ってもたらされた深刻な公害を克服し、今日では国から「環境未来都市」に選定されるなど「世界の環境首都」を目指したまちづくりを行っています。

その礎を築いたのは、当時、子どもの健康を心配した母親たちでした。母親たちは「青空が欲しい」というスローガンを掲げ、「反対運動」や「告発」ではなく、母親たち自らの活動により、企業や行政に改善を求める運動を起こし、それが公害克服と環境再生の原点となったと同時に女性(母親)の社会参加の象徴ともなったのです。

今回のフォーラムは《青空、水、くらし-環境と女性と未来に向けて-》と題して、北九州市のみならず、中国、韓国などの事例をもとに、深刻化する環境問題に直面する女性や母親の意識の変化や社会参加の試みについて議論します。

プログラム:

総合司会:高_偉俊(北九州市立大学国際環境工学部教授/SGRAメンバー)

13:00~14:30【事例発表】

開会の挨拶
今西淳子(渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA代表))
近藤倫明(北九州市立大学学長)

事例発表1(日本)
「『青空がほしい』運動に学ぶ-現在に問いかけるもの-」
神﨑智子(アジア女性交流・研究フォーラム主席研究員)

事例発表2(中国)
「変わるのか、母親の意識-中国の母親の環境意識の変化と活動-」
斉藤淳子(北京在住フリージャーナリスト)

事例発表3(韓国)
「絶え間ない歩み-韓国YWCAの環境活動と女性の社会参加-」
李ユンスク(韓国YWCA運動局部長)

14:45~17:00 【オープンフォーラム】
モデレーター 田村慶子(北九州市立大学法学部教授)
神﨑智子(アジア女性交流・研究フォーラム主席研究員)
斉藤淳子(北京在住フリージャーナリスト)
李ユンスク(韓国YWCA運動局部長)
小林直子(特定非営利活動法人里山を考える会)

閉会の挨拶と第3回アジア未来会議に向けた展開 高_偉俊

17:00~18:30【交流会】
希望者のみ(会費:一般1,500円、学生500円を予定)

◇プログラムの詳細は、下記のURLをご覧ください。
http://goo.gl/mYBk0g

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★☆★SGRAカレンダー
◇第4回SGRAスタディツアーin福島
「飯館村:帰還に向けて」(2015年10月2日~4日福島)
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2015/4363/
◇第8回SGRAカフェ<参加者募集中>
「女子大は、要る?~『女』、『男』と大学について考えよう~」
(2015年10月24日東京)
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2015/4990/
◇第50回SGRAフォーラム<参加者募集中>
「青空、水、くらし-環境と女性と未来に向けて」
(2015年11月14日北九州市)
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2015/4961/
◇第9回SGRAチャイナフォーラム<ご予定ください>
「日中200年―文化史からの再検討」
(2015年11月20日フフホト、22日北京)
★☆★論文(要旨)募集中
◇第6回日台アジア未来フォーラム(2016年5月21日高雄)<発表要旨募集中>
「東アジアにおける知の交流―越境・記憶・共生―」
http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/taiwan/2015/4439/
投稿締め切りは2015年9月20日です。
◇第3回アジア未来会議「環境と共生」<発表要旨募集中>
(2016年9月29日~10月3日、北九州市)
http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/
一般の論文・小論文・ポスター(要旨)の投稿締め切りは2016年2月28日です。
☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。

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FAX:03-3943-1512
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