SGRAメールマガジン バックナンバー

[SGRA_Kawaraban] Kim Taehee “Changes in Japan-Korea Relationship”

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SGRAかわらばん572号(2015年6月12日)

【1】エッセイ: 金 兌希「日韓関係の変化について」

【2】第7回SGRAカフェへのお誘い(7月11日東京)(再送)
「中国台頭時代の台湾・香港の若者のアイデンティティ」

【3】第49回SGRAフォーラムへのお誘い(7月18日東京)(再送)
「日本研究の新しいパラダイムを求めて」
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【1】SGRAエッセイ#461

■ 金 兌希「日韓関係の変化について」

2012年8月、イ・ミョンバク前大統領の竹島訪問があった一週間を私はとてもよく憶
えています。この時期、三つの出来事がありました。イ・ミョンバク前大統領の竹島
訪問と天皇への謝罪要求発言、そしてロンドンオリンピックにおける男子サッカーの
日韓戦で韓国の選手が「竹島は韓国の領土である」と記載されたプラカードを掲げた
事件です。そしてこの時を境に、韓国に対する日本の報道、そして世論が大きく変
わったと感じました。その変わりようがあまりにも早くて、非常に驚いたのを今でも
よく憶えています。その後、日韓関係は急速に冷え込み、今日に至っています。

よく、イ・ミョンバク前大統領の竹島訪問などの一連の出来事がなかったら、日韓関
係は今のようにはならなかったのではと尋ねられることがありますが、私の考えは違
います。私は日韓が今日抱えている問題の根本的な原因はずっと前から存在していた
もので、イ・ミョンバク前大統領の竹島訪問は一つの契機に過ぎなかったと思ってい
ます。また、それぞれの国に対する世論において、より大きく変化したのは韓国では
なく、日本であるように思います。

なぜならば、韓国の世論が歴史問題で日本政府に対して批判的な態度をとってきたの
は、大韓民国の建国以来続いてきたことであり、近年に始まったことではありませ
ん。ただ、日本で韓流ブームが始まる前は、日本における韓国のプレゼンスはそれほ
ど大きくなく、韓国内の情報もそれほど日本のメディアに流れることはありませんで
した。1990年代まで、韓国はNIES諸国と呼ばれ、IMF経済危機まで経験し、経済的に
も影響力が弱かったのです。

しかし、2000年代に入って、韓流ブーム、サムソンなどの企業の国際的台頭、イン
ターネットメディアの発達により状況は変わりました。経済レベルでも、民間レベル
でも、韓国に対する関心は大きく高まり、同時に韓国に対する情報量も一挙に増えま
した。経済的・文化的交流が大幅に増え、韓国のプレゼンスが日本国内で高まった時
期だったように思います。

その結果、韓国世論がどれほど歴史問題について対立的な態度をとっているか、改め
て多くの人が知ることになりました。日本は既に「戦後70年」ですが、韓国では戦前
の植民地時代の問題が解決していないと認識している割合が高いように思います。こ
のような両国内の歴史問題に対する「時差」は、日韓両国の関係が深まるにつれ、い
ずれは衝突を起こす潜在的な要因だったのです。

両国の対韓・対日感情を改善するためには、色々な方策が考えられます。例えば政府
レベルでの外交関係を改善する、経済レベルでの協力を緊密にする、民間レベルの交
流を増やすなどがあります。しかし、それらは必ずしも世論を改善することにはつな
がりません。根本的な改善のためには、互いの交流以前に両国内で歴史問題や両国関
係に関する成熟した議論が必要ではないかと思います。

韓国では、日韓問題について、国内の議論が成熟していない部分があります。特に歴
史問題は非常にデリケートで、多様な議論が充分満足に行われているとは言い難いの
ではないかと思います。そのため、どうすれば歴史問題を終結させ日韓関係を改善す
ることができるのか、という議論も明確にまとまっていないように思います。例え
ば、日本に対する要求に関しても(謝罪など)、具体的な中身については韓国国内で
すら意見の食い違いがみられます。まず韓国では、日韓問題について多様な議論を自
由に行える土台を作る必要があります。また歴史問題の解決を日本の出方に任せるの
ではなく、どうすれば歴史問題を終結させることができるのか、韓国は自らが主体と
なって冷静に議論し答えを出していく努力が必要です。

一方で、日本は、韓国が歴史問題をどのように認識しているのか、どのような「時
差」が日韓の間に生じているのか、理解する必要があるのではないかと思います。ま
た、今日の日本では、憲法改正の可能性も高まっており、安全保障の問題において歴
史的な変化の時期を迎えようとしています。同時に、歴史に対する見方、外交政策の
方針などにおいても変化の時期に入っているように思います。これらが今後の国の在
り方を決めるにあたって、基礎となる非常に重要な問題であることは言うまでもない
ことです。これらの議論を政治レベルに一任するのではなく、市民レベルにおいても
十分な議論を行う必要があるのではないかと思います。また、韓国との関係が悪化し
たことで、嫌韓デモや在日韓国人に対するヘイトスピーチなどが行われることがあり
ました。これは、日韓の外交問題が契機となって表面化したことかも知れませんが、
あくまで日本国内の問題です。国籍や人種をもとにした差別や暴力は、韓国に対して
だけでなく、他のマイノリティーにも今後広がる可能性は十分にあります。国際化の
推進や、海外からの労働力導入を検討している今、多様化した社会で起こりうる差別
とどう向き合っていくか、考えていく必要があるのではないかと思います。

*対韓国意識の変化については、内閣府世論調査などをご参照ください。
http://survey.gov-online.go.jp/h25/h25-gaiko/2-1.html

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金 兌希(きむ・てひ)Kim Taehee
慶應義塾大学法学研究科助教。延世大学政治外交学科卒、慶應義塾大学大学院法学研
究科修士課程修了、同大学院博士課程単位取得退学(2015 年)。現在博士論文の提
出を準備中。専門は、投票行動、政治参加、市民意識の国際比較など。
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【2】第7回SGRAカフェへのお誘い(再送)

SGRAでは、良き地球市民の実現をめざす(首都圏在住の)みなさんに気軽にお集まり
いただき、講師のお話を伺う<場>として、SGRAカフェを開催しています。今回は、
「SGRAメンバーと話して世界をもっと知ろう」という主旨で、台湾から来日する林泉
忠さんのお話を伺います。準備の都合がありますので、参加ご希望の方は、事前に、
SGRA事務局へお名前、ご所属、連絡用メールアドレスをご連絡ください。

■ 林 泉忠「中国台頭時代の台湾・香港の若者のアイデンティティ」
      〜『ひまわり』と『あまがさ』の現場から〜

日時:2015年7月11日(土)14時〜17時

会場:寺島文庫Cafe「みねるばの森」
http://terashima-bunko.com/bunko-cafe/access.html

会費:無料

お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局  sgra-office@aisf.or.jp

講師からのメッセージ:

2001年、私は、近現代における「中心⇔辺境」関係の変遷に着目し、共に「帰属変
更」という特殊な経験をもつ台湾、香港、沖縄において出現したアイデンティティの
ダイナミズムに、「辺境東アジア」という概念を提出して説明した。興味深いこと
に、この3つの「辺境」地域はいずれも2014年において「中心」に対して再び激しい
反発とアイデンティティの躍動を見せている。今回のSGRAカフェでは、「中国の台
頭」という新しい時代を迎えるなか、なぜ台湾と香港では「ひまわり」と「あまが
さ」という若者中心の市民運動がそれぞれ起きたのか、変化する台湾と香港の若者の
アイデンティティと彼らの新しい中国観についてお話しします。
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<林 泉忠 John Chuan-Tiong LIM>
台湾中央研究院近代史研究所副研究員、国際政治学専攻。2002年東京大学より博士号
(法学)を取得、琉球大学法文学部准教授、またハーバード大学フェアバンク・セン
ター客員研究員などを歴任。2012年より現職。著作に『「辺境東アジア」のアイデン
ティティ・ポリティクス:沖縄・台湾・香港』(単著、明石書店、2005年)。
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【3】第49回SGRAフォーラムへのお誘い(再送)

下記の通りSGRAフォーラムを開催いたします。参加ご希望の方は、事前にお名前・ご
所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。SGRAフォーラムはどなたにもご参
加いただけますので、ご所属のメーリングリスト等でご宣伝いただけますと幸いで
す。

テーマ:「日本研究の新しいパラダイムを求めて」

日時:2015年7月18日(土)午前9時30分〜午後5時

会場:早稲田大学大隈会館 (N棟2階 201、202号室)
   http://www.waseda.jp/somu-d2/kaigishitsu/#link7

参加費:無料
使用言語:日本語
お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局  sgra-office@aisf.or.jp

◇フォーラムの趣旨

渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)は、2014年8月にインドネシア・バ
リ島で開催した第2回アジア未来会議において、円卓会議「これからの日本研究:学
術共同体の夢に向かって」を開催した。この円卓会議に参加したアジア各国の日本研
究者、特にこれまで「日本研究」の中心的役割を担ってきた東アジアの研究者から
「日本研究」の衰退と研究環境の悪化を危惧する報告が相次いだ。

こうした状況の外的要因として、アジア・世界における日本の国際プレゼンスの低下
と、近隣諸国との政治外交関係の悪化が指摘されている。一方では東アジアの日本研
究が日本語研究からスタートし、日本語や日本文学・歴史の研究が「日本研究」の主
流となってきたことにより、現代の要請に見合った学際的・統合的な「日本研究」の
基盤が創成されていないこと、また各国で日本研究に関する学会が乱立し、国内のみ
ならず国際的な連携を図りづらいこと、などが内的要因として指摘されている。

今回のフォーラムでは、下記の4つのテーマを柱とした議論を行い、東アジアの「日
本研究」の現状を検討するとともに「日本研究の新しいパラダイム」を切り開く契機
としたい。

1.東アジアの「日本研究」の現状と課題、問題点などの考察
2.アジアで共有できる「公共知」としての「日本研究」の位置づけ及び「アジア研
究」の枠組みの中での再構築
3.「アジアの公共知としての日本研究」を創成するための基盤づくりと知の共有の
ための基盤づくり、国際研究ネットワーク/情報インフラの整備等の構想
4.日本の研究者、学識者との連携と日本の関係諸機関の協力と支援の重要性

詳細は下記リンクをご覧ください。
http://goo.gl/5xYAie

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● SGRAカレンダー
○第4回SGRAワークショップin蓼科
(2015年7月4日〜5日)<参加者募集中>
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2015/3137/
○第7回SGRAカフェ
「中国台頭時代の台湾・香港の若者のアイデンティティ」
(2015年7月11日東京)<参加者募集中>
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2015/3240/
○第49回SGRAフォーラム
「日本研究の新しいパラダイムを求めて」
(2015年7月18日東京)<参加者募集中>
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2015/3144/
★☆★第3回アジア未来会議 
(2016年9月29日〜10月3日、北九州市)<論文(要旨)募集中>
http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/
奨学金・優秀論文賞の対象となる論文(要旨)の投稿締め切りは2015年8月31日で
す。
一般の論文・小論文・ポスター(要旨)の投稿締め切りは2016年2月28日です。
☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来に
ついて語る<場>を提供します。

●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員
のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読
いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。
●自動登録および配信解除は下記リンクから行えます。
http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/mailing_form/
● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。
● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務
局より著者へ転送します。
● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。
● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ
けます。
http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2015/?cat=11

関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局
〒112-0014
東京都文京区関口3−5−8
渥美国際交流財団事務局内
電話:03−3943−7612
FAX:03−3943−1512
Email: sgra-office@aisf.or.jp
Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/
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