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[SGRA_Kawaraban] Invitation to SGRA Cafe 7 (July 11, Tokyo)

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SGRAかわらばん571号(2015年6月5日)

【1】第7回SGRAカフェへのお誘い(7月11日東京)
「中国台頭時代の台湾・香港の若者のアイデンティティ」

【2】第5回日台アジア未来フォーラム報告
   「日本研究から見た日台交流120年」

【3】第49回SGRAフォーラムへのお誘い(7月18日東京)
「日本研究の新しいパラダイムを求めて」(再送)
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【1】第7回SGRAカフェへのお誘い

SGRAでは、良き地球市民の実現をめざす(首都圏在住の)みなさんに気軽にお集まり
いただき、講師のお話を伺う<場>として、SGRAカフェを開催しています。今回は、
「SGRAメンバーと話して世界をもっと知ろう」という主旨で、台湾から来日する林泉
忠さんのお話を伺います。準備の都合がありますので、参加ご希望の方は、事前に、
SGRA事務局へお名前、ご所属、連絡用メールアドレスをご連絡ください。

■ 林 泉忠「中国台頭時代の台湾・香港の若者のアイデンティティ」
      〜『ひまわり』と『あまがさ』の現場から〜

日時:2015年7月11日(土)14時〜17時

会場:寺島文庫Cafe「みねるばの森」
http://terashima-bunko.com/bunko-cafe/access.html

会費:無料

お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局  [email protected]

講師からのメッセージ:

2001年、私は、近現代における「中心⇔辺境」関係の変遷に着目し、共に「帰属変
更」という特殊な経験をもつ台湾、香港、沖縄において出現したアイデンティティの
ダイナミズムに、「辺境東アジア」という概念を提出して説明した。興味深いこと
に、この3つの「辺境」地域はいずれも2014年において「中心」に対して再び激しい
反発とアイデンティティの躍動を見せている。
今回のSGRAカフェでは、「中国の台頭」という新しい時代を迎えるなか、なぜ台湾と
香港では「ひまわり」と「あまがさ」という若者中心の市民運動がそれぞれ起きたの
か、変化する台湾と香港の若者のアイデンティティと彼らの新しい中国観についてお
話しします。
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<林 泉忠 John Chuan-Tiong LIM>
台湾中央研究院近代史研究所副研究員、国際政治学専攻。2002年東京大学より博士号
(法学)を取得、琉球大学法文学部准教授、またハーバード大学フェアバンク・セン
ター客員研究員などを歴任。2012年より現職。著作に『「辺境東アジア」のアイデン
ティティ・ポリティクス:沖縄・台湾・香港』(単著、明石書店、2005年)。
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【2】第5回日台アジア未来フォーラム報告

■林 泉忠「第5回日台アジア未来フォーラム『日本研究から見た日台交流120年』報
告」

2015年5月8日、第5回日台アジア未来フォーラム「日本研究から見た日台交流120年」
が国立台湾大学で開催された。過去120年間の日台関係を振り返り、戦前の経験はい
かなる遺産としていかに再認識すべきか、戦後東アジアが新たな秩序を模索するな
か、台湾と日本との関係は様々な困難を乗り越えて再構築されたが、そのプロセスは
如何なる特徴を有しているのか、そして、次の120年の日台関係を展望するには如何
なるキーワードを念頭にいれる必要があるのか、という問題意識に基づき13の講演・
論文発表と活発な議論が展開された。李嘉進・亜東関係協会会長と沼田幹夫・日本交
流協会代表にご挨拶をいただき、200名の参加者を得て大盛会であった。

フォーラムは、「国際関係」、「語学と文学」そして「社会変容」という3つのセッ
ションから構成され、台湾、日本、韓国、中国から第一線で活躍する学者を招き、斬
新な視点から鋭い議論が展開された。

基調講演は、東京大学東洋文化研究所教授の松田康博氏が「日本と台湾の120年:
『二重構造』の特徴と変遷」という演題で行った。松田教授は、冒頭で、最初の50年
は宗主国と植民地の関係であり、後の70年は外国同士の関係であることに触れ、台湾
の主体性の顕現という観点から見ると、日本と台湾との関係はほぼ一貫して「二重
性」という特徴を有していたと指摘した。植民地期の日本と台湾の関係は、「中央政
府と総督府」および「日本社会と台湾社会」という二重性であり、数年の過渡期を経
て、1952年以降のそれはいわば「政府当局間の日華関係」と「社会間の日台関係」に
なったと力説した。最後に、今後、中国の台頭は日台関係にどのような影響を及ぼす
であろうか、またそれは、台湾住民が台湾の主体性をどのようにとらえるかが鍵とな
るだろうと語り、基調講演を終えた。

第1セッションは、国立台湾大学歴史学系兼任教授の呉密察氏を座長に迎え、「政治
環境・国際関係の変容から見た日台関係」というテーマで、台湾、日本、そして中国
という3つの視点から「日台関係120年」を議論した。発表された3本の論文は、国立
成功大学台湾文学科の李承機副教授による「『植民母国』から『国際関係』へ—台湾
の文化主体論の変容と日台関係—」、東京大学総合文化研究科の川島真教授による
「戦後初期台湾の日本研究/日本の台湾研究 」、そして中国社会科学院近代史研究
所の王鍵研究員による「中国の視点から見た台日関係120年」(代読) という、いず
れも刺激的な内容ばかりであったし、日中台の学者が一堂に会して「日台関係」を語
ることも画期的であった。

第2セッションは、「日本研究の回顧と展望—言語と文学—」というテーマであった
が、A「文学・文化」、B「言語・語学」に分けられた。前者の座長を務めたのは、国
立台湾大学日本語文学科長の范淑文教授、また発表された3本の論文は、?翠娥・輔仁
大学外語学部副部長による「台湾における日本近代文学研究」、曹景惠・国立台湾大
学日本語文学科副教授による「台湾における日本古典文学研究の過去、現在と未
来」、藍弘岳・国立交通大学社会与文化科学研究所副教授による「台湾における日本
研究—思想、文化、歴史をめぐって—」であった。「時間軸」で台湾の日本文学を古
代から近代まで検討すると同時に、「分野軸」で 台湾の日本研究を纏めるという実
に多彩な内容だった。

Bは、林立萍・国立台湾大学日本語文学科教授が座長を務め、「言語・語学」という
テーマで賴錦雀・東呉大学日本語文学科教授、外国語文学部長による「データから見
た台湾における日本語学研究」、葉淑華・国立高雄第一科技大学外語学部長よる「台
湾における日本語教育研究の現状と展望—国際シンポジウムを中心に—」(データ、
シンポジウムをキーワードとして日本語学および日本語教育の現状を考察)、申忠
均・韓国全北大学日語日文学科教授による「韓国における日本語教育の歴史—朝鮮時
代の倭学、そして現在—」という興味深い報告が行われた。

第3セッションの「日台社会の変容と交流の諸相」では、文字通り、日台交流史にお
ける「社会の変容」と「交流の諸相」に焦点をあてた。張啓雄・中央研究院近代史研
究所研究員が座長を務め、3本の論文が発表された。まず経済の視点からの佐藤幸人
教授による「日台企業間の信頼と協力の再生産」では、日台企業間の協力関係につい
て、複数の事例からアプローチし、その再生産のダイナミズムを明らかにした。また
鍾淑敏・中央研究院台湾史研究所副研究員がアイデンティティの視点から「根を下ろ
せし異郷、故郷となれり」という興味深いタイトルで、台湾生まれの日本人と台湾社
会との交流を再検討した。そして、中央研究院台湾史研究所副研究員の呉叡人氏は歴
史社会学の視点から、現実主義者の歴史的イデオロギーの操作による日台右翼民族主
義者の結合現象を分析した。

最後の総合討論では、「21世紀の日台関係を展望する」というテーマで、座長の徐興
慶・国立台湾大学日本語文学系教授兼日本研究センター主任のもとで、各分野を代表
する6人の学者、すなわち范淑文、辻本雅史、 松田康博、川島真、呉叡人、そして筆
者が、これまで120年の日台関係および日本研究のあり方や特徴をそれぞれ語り、今
後の方向性を提示した。

今回のフォーラムを「ハイレベルだった」と評してくださった基調講演の松田康博教
授をはじめ、多くの参加者が高く評価してくださった。今回の議論を通して新たな
「日台関係論」の構築に資したいと思う。

アンケートの集計結果は下記リンクをご覧ください。
http://goo.gl/Qx0Ccq

当日の写真は下記リンクをご覧ください。
http://www.aisf.or.jp/sgra/photo-gallery/2015/3236/

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<林 泉忠(リン・センチュウ)☆ John Chuan-Tiong Lim>
国際政治専攻。2002年東京大学より博士号を取得(法学博士)。同年より琉球大学法
文学部准教授。2008年より2年間ハーバード大学客員研究員、2010年夏台湾大学客員
研究員。2012年より台湾中央研究院近代史研究所副研究員、2014年より国立台湾大学
兼任副教授。著作に『「辺境東アジア」のアイデンティティ・ポリティクス:沖縄・
台湾・香港』(単著、明石書店、2005年)。
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【3】第49回SGRAフォーラム「日本研究の新しいパラダイムを求めて」へのお誘い
(再送)

下記の通りSGRAフォーラムを開催いたします。参加ご希望の方は、事前にお名前・ご
所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。SGRAフォーラムはどなたにもご参
加いただけますので、ご所属のメーリングリスト等でご宣伝いただけますと幸いで
す。

テーマ:「日本研究の新しいパラダイムを求めて」

日時:2015年7月18日(土)午前9時30分〜午後5時

会場:早稲田大学大隈会館 (N棟2階 201、202号室)
   http://www.waseda.jp/somu-d2/kaigishitsu/#link7

参加費:無料
使用言語:日本語
お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局  [email protected]

◇フォーラムの趣旨

渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)は、2014年8月にインドネシア・バ
リ島で開催した第2回アジア未来会議において、円卓会議「これからの日本研究:学
術共同体の夢に向かって」を開催した。この円卓会議に参加したアジア各国の日本研
究者、特にこれまで「日本研究」の中心的役割を担ってきた東アジアの研究者から
「日本研究」の衰退と研究環境の悪化を危惧する報告が相次いだ。

こうした状況の外的要因として、アジア・世界における日本の国際プレゼンスの低下
と、近隣諸国との政治外交関係の悪化が指摘されている。一方では東アジアの日本研
究が日本語研究からスタートし、日本語や日本文学・歴史の研究が「日本研究」の主
流となってきたことにより、現代の要請に見合った学際的・統合的な「日本研究」の
基盤が創成されていないこと、また各国で日本研究に関する学会が乱立し、国内のみ
ならず国際的な連携を図りづらいこと、などが内的要因として指摘されている。

今回のフォーラムでは、下記の4つのテーマを柱とした議論を行い、東アジアの「日
本研究」の現状を検討するとともに「日本研究の新しいパラダイム」を切り開く契機
としたい。

1.東アジアの「日本研究」の現状と課題、問題点などの考察
2.アジアで共有できる「公共知」としての「日本研究」の位置づけ及び「アジア研
究」の枠組みの中での再構築
3.「アジアの公共知としての日本研究」を創成するための基盤づくりと知の共有の
ための基盤づくり、国際研究ネットワーク/情報インフラの整備等の構想
4.日本の研究者、学識者との連携と日本の関係諸機関の協力と支援の重要性

詳細は下記リンクをご覧ください。
http://goo.gl/5xYAie

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● SGRAカレンダー
○第4回SGRAワークショップin蓼科
(2015年7月4日〜5日)<参加者募集中>
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2015/3137/
○第7回SGRAカフェ
「中国台頭時代の台湾・香港の若者のアイデンティティ」
(2015年7月11日東京)<参加者募集中>
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2015/3240/
○第49回SGRAフォーラム
「日本研究の新しいパラダイムを求めて」
(2015年7月18日東京)<参加者募集中>
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2015/3144/
★☆★第3回アジア未来会議 
(2016年9月29日〜10月3日、北九州市)<論文(要旨)募集中>
http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/
奨学金・優秀論文賞の対象となる論文(要旨)の投稿締め切りは2015年8月31日で
す。
一般の論文・小論文・ポスター(要旨)の投稿締め切りは2016年2月28日です。
☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来に
ついて語る<場>を提供します。

●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員
のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読
いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた
だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。
http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/mailing_form/
● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く
ださい。
● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。
● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務
局より著者へ転送します。
● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。
● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ
けます。
http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2015/?cat=11

関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局
〒112-0014
東京都文京区関口3−5−8
渥美国際交流財団事務局内
電話:03−3943−7612
FAX:03−3943−1512
Email: [email protected]
Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/
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