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[SGRA_Kawaraban] Husel ”Trip to Moscow and Kazan”

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SGRAかわらばん564号(2015年4月17日)

【1】エッセイ:フスレ「モスクワ・カザフへの旅」

【2】第5回日台アジア未来フォーラムへのお誘い(再送)
  「日本研究から見た日台交流120年」
  (2015年5月8日台北)

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【1】SGRAエッセイ#456

■ ボルジギン・フスレ「モスクワ、カザンへの旅(その1)」

2014年9月14日から26日までK先生と一緒にモスクワとカザンに行った。今回は、主に
資料調査であったため、出発4ヶ月前に、ロシアに行く度に利用してきた旅行社のH社
長に、交通が便利で、文書館に近いホテルの手配などをお願いした。H社長は、私が
送った文書館のリストをみて、1ヶ月かけて調整し、モスクワとカザンのホテルを手
配してくれた。

最初に泊まったホテルはモスクワの地下鉄クロポトキンスカヤ駅とパールク・クリ
トゥールイ駅の間に位置する。そこは国立ロシア連邦文書館や古文書館に近く、歩い
て20分程度の距離だったし、ロシア連邦外交政策文書館にも近く非常に便利だった。
ホテルの朝食は豊富で美味しかった。ホテルの近くにはトルストイ博物館やモスクワ
博物館、ピョートル大帝記念碑、トレチャコフ美術館などの観光の名所が林立してい
る。また音楽学校もあって、ホテルを出ると、楽器を背負った生徒たちの姿をよく目
にした。

モスクワに到着した翌日、国立ロシア連邦文書館と古文書館に行った。帰り道、ある
公園をとおった時に、ベンチに座ってひそかにビールを飲んでいるロシア人の青年に
出会った。通行人がくると、その青年はすぐビールを新聞の中に隠す。目のいいK先
生は遠いところからその青年を見て、「あいつはビールを飲んでいるよ」と言いなが
ら、青年に近づいて声をかけベンチに座った。青年はハバロフスクから観光にきたそ
うである。K先生は青年にプーチン大統領のことについて尋ねた。青年は「すばらし
いじゃないか」と答えた。「新聞の中になにか隠していない?」とK先生は青年に聞
いた。青年は少し迷ったが、「よかったらどうぞ」と言いながら、新聞の中に隠して
いたビールを出した。結局、K先生はその青年と一緒にビールを飲み始めた。

「プーチンがお酒に関するへんな政策を作ったから、あなたはこのようにビールを隠
したんだね。ロシアの国民にお酒を飲ませない大統領が悪いんじゃないか」とK先生
が言った。青年は、「いいえ」と、プーチン大統領を大いにたたえた。…話が長くな
りそうだったで、私は2人から離れて、公園を散策することにした。私が離れて行っ
てしまうことを心配したのか、しばらくして、K先生が追いかけてきた。

その日の夜、K先生と一緒にアルバ—ト通りに行った。アルバ—ト通りは詩・歌・芸
術の街として有名であり、歩行者天国である。また、カフェやレストラン、みやげ物
屋も多い。私たちはここで夕食をとった。

私が初めてロシアに行ったのは2011年の春だった。モスクワのクレムリンや赤の広
場、サンクトベテルブルクのエルミタージュ美術館や人類学・民族博物館などを見学
したほか、バレエやオペラなども鑑賞したが、ロシアは大帝国であることと、「多民
族・多文化国家」であるということが印象に残った。今回は、歴史と文化に培われた
ロシアの時空をあじわった。宿泊したホテルから駅までの間の建築物のほとんどはロ
シアの歴史文化財になっている。私たちが宿泊したホテルからクロポトキンスカヤ
駅、或いはパールク・クリトゥールイ駅までは、本来、歩いていずれも10分程度の距
離であるが、K先生と一緒に行くと、1時間もかかってしまう。というのは、毎日、文
書館から帰りの道で、K先生は、いつも各建物の壁にかざってある案内版をみなが
ら、その建物の歴史、あるいはその建物とかかわる歴史人物のことをかたりつづけた
からである。私にとっては、よい勉強になった。

クロポトキンスカヤ駅周辺にはエンゲルス像やゴーゴリ並木通り、プーシキン博物
館、救世主キリスト聖堂などがある。初めてクロポトキンスカヤ駅に行ったとき、エ
ンゲルス像をみたK先生は、「エンゲルス像をここに立たせるのは相応しくない」と
不満げに言った。理由を聞いたら、返事はなかった。パールク・クリトゥールイ駅の
なかの壁には、ゴーリキー像が刻まれている。それをみたK先生は非常にうれしそう
に、「これは面白いんだ」と、ゴーリキーのことをかたりつづけた。

モスクワでのもう一つの発見は、キックスクーターである。本来、キックスクーター
は子供たちの玩具だと思ったが、モスクワでは、本物の交通道具として大人たちに使
われている。街では、キックスクーターで走っている人の姿をよく目にした。
(つづく)

旅の写真を下記リンクよりご覧ください。
http://www.aisf.or.jp/sgra/info/Essay456Photos.pdf

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<ボルジギン・フスレ Borjigin Husel>
昭和女子大学人間文化学部国際学科准教授。北京大学哲学部卒。1998年来日。2006年
東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程修了、博士(学術)。昭和女子大学
非常勤講師、東京大学大学院総合文化研究科・日本学術振興会外国人特別研究員をへ
て、現職。主な著書に『中国共産党・国民党の対内モンゴル政策(1945〜49年)——民
族主義運動と国家建設との相克』(風響社、2011年)、共編『ノモンハン事件(ハルハ
河会戦)70周年——2009年ウランバートル国際シンポジウム報告論文集』(風響社、
2010年)、『内モンゴル西部地域民間土地・寺院関係資料集』(風響社、2011年)、
『20世紀におけるモンゴル諸族の歴史と文化——2011年ウランバートル国際シンポジ
ウム報告論文集』(風響社、2012年)、『ハルハ河・ノモンハン戦争と国際関係』(三
元社、2013年)他。
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【2】第5 回日台アジア未来フォーラムへのお誘い(再送)

下記の通り第5回日台アジア未来フォーラムを開催します。参加ご希望の方は、事前
にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。

■テーマ:「日本研究から見た日台研究120年」

日時:2015年5月8日(金)午前9時00分〜午後6時30分

会場:国立台湾大学文学院演講庁20番教室/会議室

お申込み・問合せ:SGRA事務局
電話:03-3943-7612
Email:sgra-office@aisf.or.jp

●詳細は下記リンクよりご覧ください。
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/5120.php

○フォーラムの趣旨

日清戦争の帰結としての「下関条約」によって台湾が日本に割譲されるまで、台湾と
日本の関係は薄かった。しかしそれ以降「最初の植民地」としての台湾と宗主国の日
本との関係は急に緊密になった。戦前50年間の植民地の歴史は台湾社会のみならず、
日本と台湾の文壇や文学創作方向、また日本語教育にも多大な影響を与えた。戦後に
なると、台湾は中華民国に復帰し新たな時代を経験してきた。中華民国政府は1972年
まで日本と近い友好国の関係を維持し、またその後国交はないものの、互いに親近感
の濃厚な「民間交流」関係が築かれ、今日に至っている。

そうした日台関係の「大還暦」を迎える2015年という大きな節目に、日台交流の諸相
に言及する際、さまざまな視点より語ることができる。戦前の経験はいかなる遺産と
していかに再認識すべきか、また戦後東アジアが新たな秩序を模索する中、台湾と日
本との関係は様々な困難を乗り越えて再構築されるプロセスにおいて如何なる特徴を
有しているのか。一方、日本文学研究や日本語學・日本語教育の研究は日台交流の状
況につれ、如何に変わってきたかなどの問題も見つめ直さねばならない。さらに、
120年の経験を踏まえ、次の120年の日台関係を展望するには如何なるキーワードを念
頭にいれる必要があるのか。本フォーラムはこのような問題意識をもって議論を展開
し「日台関係120年」の実像に迫る。

フォーラムは「語学と文学」、「国際関係」そして「社会変容」という三つのセッ
ションから構成され、台湾、日本、中国などからの第一線で活躍されている学者を招
き、斬新な視点より鋭い議論を通して新たな「日台関係論」の構築に資したい。今回
も、過去の実績を踏まえ、渥美国際交流財団関口グローバル研究会と国立台湾大学が
共催する。日中同時通訳付き。

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● SGRAカレンダー
○第5回日台アジア未来フォーラム(2015年5月8日台北)
「日本研究から見た日台交流120年」
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/5120.php
○第4回SGRAワークショップin蓼科
(2015年7月3日〜5日)
○第49回SGRAフォーラム
「日本研究の新しいパラダイム」
(2015年7月18日東京)<ご予定ください>

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