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[SGRA_Kawaraban] Li Kotetsu “Chinas Dream of Going West, and the Future of Asia (Part 2)”

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SGRAかわらばん559号(2015年3月18日)

【1】エッセイ:李 鋼哲「西に向かう『中国の夢』と未来のアジア(その2)」

【2】新刊紹介:今西淳子編「アジアの未来へ—私の提案 Vol.2」

【3】催事紹介:中日韓朝言語文化比較研究国際シンポジウム
       (2015年8月18日〜21日 中国・延辺大学)
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【1】SGRAエッセイ#452

■李 鋼哲「西に向かう『中国の夢』と未来のアジア(その2)」

そうしたなか、アジアでは中国とインドの台頭が世界的に注目されている。IMFは昨
年(2014年)10月7日に発表した報告書『世界経済の見通し』のなかで、購買力平価
(PPP)ベースでみた中国のGDPは2014年末に17兆6,000億ドルに達し、アメリカの17
兆4,000億ドルを上回り、世界一の経済大国になると予測した。同じくPPPベースで、
新興経済国G7(BRICs4カ国、インドネシア、メキシコ、トルコ)のGDP合計(37兆
8,000億ドル)が、先進G7(米英仏独伊日加)のGDP合計(34兆5,000億ドル)を上回
るという見通しである。

その中国は、潤沢な外貨準備高を利用し、BRICS開発銀行(資本金500億ドル、2016年
発足)、BRICS外貨準備基金(資本金1,000億ドル、2015年発足)、アジア・インフラ
投資銀行(AIIB、資本金500億ドル、26か国参加、今年6月発足)などの構想を打ち出
し、既存のアメリカ主導のIMF、世界銀行のドル体制を脅かしている。

その中でも注目されるのが中国とインドの急接近である。かつて「犬猿の仲」であっ
た両国は、今では手を携えてアジアの未来を共同で構築するという方向で動いてい
る。習近平主席は「中国の夢」を実現すべく、「シルクロード経済帯」と「21世紀海
上シルクロード」という「一帯一路」構想を周辺外交の方針とし、昨年9月14日から9
日間にわたってタジキスタン、モルジブ、スリランカ、インドの4ヵ国を歴訪した
が、その訪問を「一帯一路構想を実現する旅」と位置づけていた。

特に、インド訪問は中国の対インド政策の180度転換を印象づけた。9月17日、習主席
はインドのグジャラート州のアーメダバード空港に降り立ち、そこでモディ首相と首
脳会談を行い、以後2泊3日の全行程にモディ首相が同行した。モディ首相は、「イン
ドの第一歩を、私の故郷に降り立ってくれて嬉しい。今年の7月にブラジルで初めて
お目にかかった時、私はインドと中国は『二つの身体、一つの精神』であると述べ
た。INDIAとCHINAの頭文字を取れば、INCHではないか。われわれはインチの距離にあ
る関係であり、マイルの距離まで関係を発展させるのだ」と述べた。

習近平主席の回答は、次の通りだ。「グジャラート州は、唐代の高僧・玄奨が立ち
寄った場所で、中印交流の記念の地だ。両国は共に古代からの文明国であり、発展途
上にある大国だ。今回の私の訪問は、友誼の旅であり、提携の旅だ…。『世界の工
場』と『世界のオフィス』が組めば、怖いものはない。アジアの両大国が、『中国の
能力』と『インドの知恵』によって牽引していくのだ。両国は手を携えて、バングラ
デシュ・中国・インド・ミャンマーの経済回廊の建設、シルクロード経済ベルト、21
世紀の海上シルクロードを進めていこうではないか。モディ首相が唱える『二つの身
体、一つの精神』に賛同する。『中国龍』と『インド象』が組めば、国際社会に大き
く貢献できる」と述べた。

つまり、中国は「アジア未来の夢」を実現する最有力パートナーとしてインドを選ん
だのである。言い換えれば、今まで東アジアで言われていた、日中両国(または日中
韓3国)が協力して「アジア共同体」をリードするという考え方からすると、大きな
方針転換である。

これにより私がSGRAフォーラムで発表した「アジア・ハイウェイ」構想は西に向けて
一歩前進するだろうが、東の日本と朝鮮半島の位置づけが変わることは間違いない。

*筆者は「アジア・ハイウェイ」の旅を夢見ており、その第一歩を今年5月2日に東京
からスタートし、博多で対馬海峡をフェリーで渡り、プサンからソウル、そして板門
店、中国経由でベトナム、カンボジア、ラオスまで走破する計画。SGRAからの参加者
を募集中!

「西に向かう『中国の夢』と未来のアジア(その1)」は下記リンクからお読みいた
だけます。
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/post_527.php

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<李 鋼哲(り・こうてつ)Li Kotetsu>
1985年中央民族学院(中国)哲学科卒業。91年来日、立教大学経済学部博士課程修
了。東北アジア地域経済を専門に政策研究に従事し、東京財団、名古屋大学などで研
究、総合研究開発機構(NIRA)主任研究員を経て、現在、北陸大学教授。日中韓3カ
国を舞台に国際的な研究交流活動の架け橋の役割を果たしている。SGRA研究員。著書
に『東アジア共同体に向けて——新しいアジア人意識の確立』(2005日本講演)、そ
の他論文やコラム多数。
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【2】新刊紹介: 沸騰するアジアの声を世界へ!

■「アジアの未来へ——私の提案 Vol.2」
  Toward the Future of Asia: My Proposal
  第2回アジア未来会議優秀論文集

驚異的な発展を遂げながらも、さまざまな問題と直面するアジアの国々。渥美国際交
流財団関口グローバル研究会(SGRA)は、このような問題を語り会う場を提供するた
めに「アジア未来会議」を開催しています。第2回目の会場となったのは、2014年8
月のバリ島(インドネシア)。本書はこの会議において発表された優秀論文18本と記
念講演3本を集めたものです。

編者:今西淳子(渥美国際交流財団)
判型:A4変形
定価:本体3500円+税
ISBN978-4-902928-13-6
出版:ジャパンブック

購入ご希望の方は、amazon.co.jp あるいはお近くの書店でご注文いただくか、アジ
ア未来会議事務局へご連絡ください。

ジャパンブック 
http://www.japanbook.co.jp

ちらし 
http://www.aisf.or.jp/sgra/info/AFC3Book_Chirashi.pdf

【3】催事紹介

エッセイ執筆者の李鋼哲さんから、下記国際シンポジウムのご案内をいただきました
ので、ご紹介します。

■ 第四回中日韓朝言語文化比較研究国際シンポジウム

昨今、中日間で領土問題をめぐって不愉快なイシュが多発し、不協和音が続いていま
すが、だからこそ、国家的・民族的・政治的な障壁を乗り越え、東アジア諸国を視野
に入れた、このような国際的・学際的シンポジウムを開催する必要があるのではない
か、と思慮されます。したがって、今回も2009年度、2011年度、2013年度のシンポジ
ウムに劣らず、ぜひ国内外の大勢の方々にご参加いただき、シンポジウムの主題をめ
ぐる活発なご発表がありますことを、心より期待しております。

1.参加資格

日本研究を中心とした東アジア人文社会系の研究、特に比較・対照研究に興味のある
方ならどなたでも参加できます。

2.大会日程と会場

◆会場:中国・延辺大学
8月18日(火) 受付
8月19日(水)〜20日(木) 開会式・基調報告・分野別の特別セッション・分科会
発表・閉会式

◆8月21日(木)〜国内・国外旅行(長白山(日帰り)、防川・図門(日帰り)、ロ
シア・ウラジヴォストーク(2泊)、北朝鮮・羅先市(2泊)予定。自由参加(諸費用
は自己負担)、但し、中国人以外は北朝鮮旅行は不可。なお、中国人以外の方がロシ
ア旅行希望の際は、自国内においてビザを取得すること。

3.シンポジウムの主題

■東アジアにおける日本学研究の新しい視点(暫定)(言語、文化、文学、教育、社
会、経済、法律等)

(1)日本研究を中心とした中・日・韓・朝人文系の比較・対照研究と一般研究
(2)東アジアにおける日本研究の現状と展望
(3)多言語の共存と言語教育
(4)異文化の対話と価値観の多様性
(5)中国少数民族地域における教育
(6)偽満州国(旧満州国)をめぐる日本研究

4.お申し込み
参加希望者は申込書に必要事項をご記入後、日本語の要旨(800−1000字、必ず規定
を守ること)とともに、2015年5月30日まで下記のシンポジウム準備委員会に送って
ください。

詳細は下記リンクよりご覧ください。
http://www.aisf.or.jp/sgra/info/Symposium_Announcement.pdf

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● SGRAカレンダー
○第5回日台アジア未来フォーラム
「日本研究から見た日台交流120年」
(2015年5月8日台北)<ご予定ください>
○第4回SGRAワークショップin蓼科
(2015年7月3日〜5日蓼科)
○第49回SGRAフォーラム
「日本研究の新しいパラダイム」
(2015年7月18日東京)<ご予定ください>

●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員
のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読
いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた
だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。
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ださい。
● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。
● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務
局より著者へ転送いたします。
● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。
● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ
けます。
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/

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