SGRAメールマガジン バックナンバー

[SGRA_Kawaraban] Yeh Wenchang “Xenophobic Expulsion”

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SGRAかわらばん553号(2015年1月28日)

【1】エッセイ:葉 文昌「遂客令」

【2】SGRAフォーラムへのお誘い(2月7日 東京)再送
  「アジア経済のダイナミズム—物流を中心に」

【3】日比共有型成長セミナーへのお誘い(2月10日マニラ)
  「都会・地方の格差と持続可能共有型成長」
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【1】SGRAエッセイ#446

■ 葉 文昌「遂客令」

歴史は繰り返すとよく言われます。なかにはスケール等を変えて繰り返されることも
あります。グローバル化は、同質(なかま)の中に異質(よそ者)を取り込んで、より進
化して多様化された新たな同質を作る過程だと思いますが、それはつい最近始まった
ものではなく、どの国でも内部で多くの邦に分れていた時期に幾度か経験しているは
ずです。

これから紹介するのは、2250年前の中国で、秦がまだ中国を統一していなかった戦国
時代の出来事です。当時の中国は多くの国がひしめき合っていました。一部の国では
技術や政治戦略の専門家を外国から招へいしていました。ある人材が持つ技術が高度
であるほど、代替性はなくなり、一部の人材は国境を跨いで仕事していたことは想像
に難しくありません。

ある日、灌漑工事の技術指導で秦に招へいされていた韓国人の鄭氏が、秦の財政を疲
弊させるような工事をしている疑いをかけられました。それから秦の政界で「外国人
を追い出そう (逐客令)」という運動が始まりました。現代のネオナチ又はヘイトス
ピーチのようなものでしょう。そこへ出てきたのが、李斯でした。彼も外国人で、こ
のまま「外国人出て行け」運動が発展すれば自分も追い出されることになります。そ
こで彼は「諌逐客書」という有名な諌言書を秦王に出しました。内容は今見てもとて
も斬新なもので、これが2250年前に書かれたことには驚かされます。今回はこの書を
翻訳して皆さんに紹介することにします。

* * * *

「外国人を駆逐すると聞いておりますが、私が思うにそれは過ちであります。

その昔、秦の穆公(ぼくこう)は人材を得るために、西からは戎国の由余を求め、東か
らは宛国から百里奚を求め、宋国から蹇叔(けんしゅく)を迎え、ヒ豹(ひひょう)や公
孫支を招き入れました。この5名は秦の出身ではないものの、穆公は重用し、それで
二十の国を併合し、西戎を支配しました。

また孝公は外国の商鞅(しょうおう)の法制を取り入れたことにより、社会気風と習わ
しを変え、国民は栄え、国は豊かになり、民は自ら進んで国に仕え、諸侯は感服し、
楚と魏の兵を下して千里の領土を得て現在に至っております。

惠王は張儀の謀略を使って三川を攻略し、西に巴と蜀(しょく)を併合し、北に上郡を
収め、南に漢中を取りました。更に九夷(きゅうい)の地を併合し、焉(えん)、郢(い
ん)を取り、東に成皋(せいこう)の要塞を占拠し、肥沃な土地を収め、六国連合を瓦
解させ、秦国に臣服させて利益は今日まで続いています。

秦昭王は范ショ(はんしょ)を得て、穣侯(じょうこう)を罷免して華陽君を駆逐し、中
央統治者の権力を増強させ、その他即得権益者や彊土を蚕食する諸侯を途絶させ、秦
の帝業を成就させました。

この4名の君主の成功は、外来人材の貢献に依る所が大きかったのです。従って外来
人材は秦に対して負い目はありません。もしこの4名の君主が外来人材を排除してい
たならば、秦はここまで豊かな実益も強大な威名もなかったはずです。

今日陛下は昆山の玉石、隨侯(ずいこう)の明珠、卞和(べんか)の宝玉を得て、差すの
は太阿(たいあ)の名剣、乗るのは繊離の駿馬、掲げるのは翠鳳(すいほう)の旗、使う
のは鰐(わに)の太鼓です。これらの中で秦に産するものは一つもありませんが、なぜ
に陛下はこれらを好むのでしょうか?秦のものしか使わないとするならば、夜光の玉
壁は朝廷には飾らず、犀角(さいかく)象牙の器は使わず、鄭や衛の美女は後宮にせ
ず、駿馬は馬屋におかず、江南の金錫は使わず、西蜀の顔料は使わずとなりましょ
う。

後宮の妾からすべての装飾や楽しませてくれるものは秦のものでないと駄目ならば、
宛珠(わんしゅ)の簪(かんざし)、傅キ(ふき)の耳飾り、阿縞(あこう)の衣、錦繍の飾
り等は陛下には献上できません。今風で雅、艶めかしく窈窕な趙の女も傍にはいない
でしょう。甕缶を叩き、竹箏を弾き、太ももを敲いてリズムを取ってわいわい騒いで
楽しむ、それこそが秦の本来の音楽であります。鄭・衛・桑間や、韶虞(しょうぐ)・
武象などは、異国の音楽です。甕缶叩きをやめて鄭衛の音楽にし、竹箏弾きをやめて
韶虞にしたのはなぜでしょう?それが面白いからです。

しかし陛下の任官はそうではなく、能力を問わず、実直かも問わず、秦出身でなけれ
ば追い出す。これは即ち重んじる所は色気音楽珠玉、軽んじる所は人民になります。
これは海内を跨いで諸侯を制する術ではありません。

土地が広がれば育つ粟(あわ)は多くなり、国が大きければ人も多くなり、軍が強けれ
ば兵士も勇ましくなると聞きます。太山はあらゆる土壌を受け入れたからこそ、いま
ある大きさになり得ました。海はあらゆる細流を選ばないからこそ、その深さになり
得ました。王たるものは衆人を退けないからこそ、仁徳は広まります。土地は東南西
北を隔てない、人民は本国他国を区別しない、そうすれば一年四季は充実し、鬼神も
降臨して福をもたらすでしょう。これこそが五帝三王が無敵である所以であります。

今日陛下は庶民を棄てて敵国に資させ、賓客を駆逐して他国に尽くさせており、その
為天下の人材の秦への入国を憚らせております。これは糧食を強盗に与えて武器を敵
に貸し出すことと同じではないでしょうか。物は秦の産出ではないが宝となるものは
多いです。人材も秦の産出ではないが秦に忠心を尽くす者も多いです。外国人を駆逐
して敵国に資し、人口を減らして敵国の実力を増長し、この結果自国は弱体化される
上に外国人の恨みを買って敵国に尽くす人を増やす、これで国が危険にさらされない
訳がないでしょう。」

これを以って秦王は外国人駆逐命令を廃除し、李斯の官位を回復させました。

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<葉 文昌(よう・ぶんしょう) ☆ Yeh Wenchang>
SGRA「環境とエネルギー」研究チーム研究員。2001年に東京工業大学を卒業後、台湾
へ帰国。2001年、国立雲林科技大学助理教授、2002年、台湾科技大学助理教授、副教
授。2010年4月より島根大学総合理工学研究科機械電気電子領域准教授。
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【2】SGRAフォーラムへのお誘い(再送)

■「アジア経済のダイナミズム—物流を中心に」

下記の通り第14回日韓アジア未来フォーラム/第48回SGRAフォーラムを開催します。
参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡くださ
い。

日時:2015年2月7日(土)午後1時30分〜午後4時30分

会場:国立オリンピック記念青少年総合センター国際交流棟 国際会議室
http://nyc.niye.go.jp/category/access/

申込み・問合せ:SGRA事務局
電話:03-3943-7612
Email:sgra-office@aisf.or.jp

<プログラム>

【基調講演】「アジア経済のダイナミズム」
榊原英資(さかきばら えいすけ:インド経済研究所理事長・青山学院大学教授)

【報 告 1】「北東アジアの多国間地域開発と物流協力」
安 秉民(アン・ビョンミン:韓国交通研究院北韓・東北亜交通研究室長)

【報 告 2】「GMS(グレーター・メコン・サブリージョン)における物流ネットワー
クの現状と課題」
ド・マン・ホーン (桜美林大学経済・経営学系准教授)

【休  憩】 

【自由討論】
進行及び総括:金雄煕(キム・ウンヒ、仁荷大学国際通商学部教授)
討論者:上記発表者、指定討論者(渥美財団SGRA及び未来人力研究院の関連研究
者)、一般参加者

ミニ報告:「アジア・ハイウェイの現状と課題について」
  李鋼哲(リ・コウテツ、北陸大学未来創造学部教授)

*詳細は、下記リンクをご覧ください。
ちらし
http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/nikkan14chirashi.pdf
プログラム
http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/nikkan14programJ.pdf

【2】第19 回日比共有型成長セミナーへのお誘い

■「都会・地方の格差と持続可能共有型成長」
“The Urban-Rural Gap and Sustainable Shared Growth ”

下記の通り第19回日比共有型成長セミナーをマニラ市で開催します。
参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡くださ
い。

日時:2015年2月10日(火)午前8時30分〜午後5時30分

会場: マニラ市フィリピン大学都市・地方計画研究科
    http://surp.ph/

言語:英語

申込み・問合せ:SGRAフィリピン Ms. Lenie M. Miro
        Email:sgraphil@gmail.com

○セミナーの概要

フィリピンマニラ市で「持続可能な共有型成長」をテーマに開催される19回目のセミ
ナー。本セミナーの基本的な狙いは、いわゆるKKK(効率、公平、環境)の調和ある
発展である。これはあらゆる学問、社会部門、そして国境を跨いで実施している活動
である。
 
今回はフィリピンの3つの大学が会場を提供してくれたが、準備の都合や企画委員会
での圧倒的な存在を占めることから、フィリピン大学で再度開催することが決定さし
た。次回は、このセミナーをさらに広げるために、別の大学で開催する予定である。
今回のセッションで座長を務める先生たちは、昨年8月にバリ島で開催した第2回アジ
ア未来会議に参加し、引き続きSGRAフィリピンの活動にご協力いただいている。

○プログラム

本セミナーは6つのセッションに分かれているが、学祭的な交流を促すために、平行
セッションを意図的に避けられている。

第1セッション「開会の趣旨と問題提起」
座長:F. マキト(SGRAフィリピンの代表/テンプル大学)

第2セッション「持続可能農業について」
座長:J. トリビオ(フィリピン土地改革省)

第3セッション「農業と製造業に関して」
座長:J. ダナカイ(フィリピン アジア太平洋大学)

第4セッション「再生可能エネルギーに関して」
座長:G. サプアイ(フィリピン 廃棄物管理協会)

第5・6セッション「被災地における計画や設計の構想」
座長:S. ギッレス、M. トメルダン(フィリピン大学建築学部)

総合司会:A. ラセリス(フィリピン大学経営学部)

*詳細は、下記リンクをご覧ください。
プログラム(英文)
http://www.aisf.or.jp/sgra/info/ManilaSeminar19Program.pdf
インフォグラフィック(英文)
http://www.aisf.or.jp/sgra/info/ManilaSeminar19Infographic.pdf
申込用紙(英文)
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/19.php
ポスター(英文)
http://www.aisf.or.jp/sgra/info/ManilaSeminar19Poster.pdf

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● SGRAカレンダー
○第14回日韓アジア未来フォーラム・第48回SGRAフォーラム
「ダイナミックなアジア経済—物流を中心に」
(2015年2月7日東京)<参加者募集中>
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/14_2.php
○第19回日比共有型成長セミナー
「都会・地方の格差と持続可能共有型成長」
(2015年2月10日マニラ)<参加者募集中>
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/19.php
○第5回日台アジア未来フォーラム
「日本研究から見た日台交流120年」
(2015年5月8日台北)<ご予定ください>

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● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。
● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務
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● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。
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http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/

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