SGRAメールマガジン バックナンバー

[SGRA_Kawaraban] Chang Kuei-E “Go Back Home Again to Iitate Village”

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SGRAかわらばん545号(2014年11月26日)

【1】エッセイ:張 桂娥「ゴー ホーム アゲイン ふたたび飯舘村に」

【2】特別寄稿:奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生(その4)」

【3】SGRAレポート第69号「紛争の海から平和の海へ」紹介

【4】第6回SGRAカフェへのお誘い(再送)
  「アラブ/イスラームをもっと知ろう」(12月20日東京)
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【1】SGRAエッセイ#435

■ 張 桂娥「ゴー ホーム アゲイン、ふたたび飯舘村に〜再生への長い道のり〜故
郷とともに生きる勇者たちに寄せて」

あの日から3年半も過ぎて、避難先で眠れぬ夜を耐えてきた多くの帰還困難区域に住
んでいた元住民たちを目の前にして、心から応援しているから復興に向けてがんばろ
うと軽々しく口にするのは、どんなに無責任な綺麗ごとだろうかと、思い知らされた
2泊3日の飯舘村スタディツアーでした。

そもそも、今回の飯舘村スタディツアーにはるばる台湾から参加しようと決心した動
機は、原発事故による放射能汚染被害の現状を台湾の大学生や国民たちに知ってもら
い、被害者たちの未だに癒えぬ心の痛みを少しでも分かち合おうという漠然とした大
義名分でした。実際現地入りして目の当たりにした<景色>といえば、整然とした風
格ある町並みの中に立ち並ぶ立派な空き家の群れ、色づき始める里山に囲まれた田舎
の綺麗な佇まいに不気味な影を落としている黒い袋の山、早秋の乾いた青空に聳える
はずだったのに無造作に置き去りにされている屋敷林居久根(いぐね)の切り株、が
らんとした牛舎に張り巡らされた蜘蛛の糸に引っかかった虫の死骸など、留学時代に
何度も足を運んでいた麗しき東北地方とは大きくかけ離れ、変わり果てた、見るも無
残な光景でした。

かつて観光客として訪ねた福島の在りし日の面影を偲んでみたいという期待を胸に
やって来た、この地域とは縁もゆかりもない私でさえ、目の前に繰り広げられた殺風
景なシーンに心が痛んでやまないのに、何百年も前からこの地域に住み着き、先祖か
ら受け継がれた土地を守り続け、鬱蒼と繁る山林をこよなく愛してきた元住民たち—
—あまりにも理不尽な形で未来の子孫に誇るべき故郷を根こそぎ奪われてしまった元
住民たちの悲痛な心中を察すると、慰める言葉が見つかるはずもありませんでした。
ただただ圧倒され、何もできなかった自分の浅はかな思い上がりを悔やんだり、いっ
たい何をしに来たのかと自分を責めたりしていました。

そんな中、自己嫌悪の渦に飲み込まれそうな私に、まぶしい光をいっぱい差し込んで
くれる勇者たちと出会いました。

飽くなきチャレンジ精神で時代を先駆けるハイテクで放射能汚染と真っ向勝負に出る
田尾陽一さんを始めとする<ふくしま再生の会>のメンバーたち、全く収束の見通し
がつかない現状に苛立ちを感じながらも冷静沈着な判断力と圧倒的な行動力でコミュ
ニティ再生活動を牽引する菅野宗夫さん、グローバルなネットワークを築き風化しつ
つある放射能汚染問題を世界中に向けて発信するためメディアの第一線を走り続ける
ジャーナリストの寺島秀弥さん、相馬地域に根ざした<真手(までぃ)>の信条を貫
き惜しまぬ情熱で周りの人をあたたかく包み込む大石ユイ子さん、時に心が折れても
故郷を思う気持ちを挫かない若者魂に光る佐藤健太さん、そして今でも足繁く通い続
け、50年先、100年先にふくしまを故郷として誇れる若者のために、汚染された地域
の再生という挑戦を命がけで続けているボランティアの人々たち。

弱音を吐く代わりに、淡々とやるべきことに全力を尽くし、機敏なフットワークでプ
ロジェクトをこなしている彼らの後ろ姿を見ているうちに、自分にできることが何か
を考え始めました。なんて不思議なことでしょう。どんなに絶望的な災難に直面して
も諦めずに己の恐怖と戦いながら苦難に立ち向かう人間の尊い姿を見ると、周りにい
る人間は誰でもおのずと逞しくなり、みんなの輪に加わり一緒についていきたい気持
ちがわいてくるのだと、気づかされたのです。

思い返せば、情に流されて何もわからないままにこのツアーに参加したのかもしれま
せんが、そこで出会った人々の真摯なる振る舞いと勇気ある行動に触れ、どこか放射
能汚染に怯えていることを素直に認められない自分の心の弱さと向き合う機会を手に
しました。その弱さを乗り越えないと、飯舘村の再生プロジェクトに何らかの力にな
れないと、大きな課題を手土産に持ち帰りました。まだ具体的に何ができるかを明言
するのは難しいのですが、台湾に戻ってから機会さえあれば、飯舘村スタディツアー
で見たことや体験したことを大学生に話したり、意見を交わした住民たちの考え方や
再生活動の関連情報を周りの人たちに共有したりしております。

ふくしま相馬地域や飯舘村の住民たちの痛みを分かち合える日まで、まだ長い道のり
です。ただ、諦めてしまってはいけません。ふくしま被害者の心の叫びを世界へ向け
て発信するのも非常に有意義なことですが、うわべだけの理想論で終わりがちの復興
支援ではなく、もっと地に足の着いた現実味のある活動に視野を移さねばならないと
痛感した今回のツアーでした。私を含めて、スタディツアーに参加した一人ひとりの
意識のささやかな変化をきっかけに、一日も早く実効ある行動に繋がればと考えてお
ります。

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<張 桂娥(チョウ・ケイガ)☆ Chang Kuei-E>
台湾花蓮出身、台北在住。2008年に東京学芸大学連合学校教育学研究科より博士号
(教育学)取得。専門分野は児童文学、日本近現代文学、翻訳論。現在、東呉大学日本
語学科助理教授。授業と研究の傍ら日本児童文学作品の翻訳出版にも取り組んでい
る。SGRA会員。
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SGRAふくしまスタディツアーの報告は下記URLよりお読みください。
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/news/3sgra3.php

【2】特別寄稿

SGRAエッセイ#434

■ 奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生(その4)」

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SGRAでは、会員の奇錦峰さんのエッセイ「中国の大学の現状」を2007年にかわらばん
で配信し、「われら地球市民」(ジャパンブック、2010年)に収録しましたが、2014
年8月にバリ島で開催した第2回アジア未来会議でさらなる報告がありましたので、数
回に分けてご紹介しています。
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4. 政治的には勇ましいが人柄は最悪

今のほとんどの大学生たちは、現実のことに無関心(例えば職場の汚職、腐敗した役
人、災害救援、慈善活動など)だが、他方、信じられないほどの「愛国心」及び「ナ
ショナリズム」への情熱を持っている。他人の政治的な話を疑うことなしに信用す
る。所謂“風に沿う”と言う中国の伝統を完璧に伝承している。例えば、無差別に反
米であり、日本を憎悪し、インド、ベトナム、フィリピンを非難し、狂信的な(大漢
民族)5000 年の輝かしさ、中華大統一などの不思議な思想を単純に信用し、主張す
る。

さらに科学技術のコピー式進歩をオーバーに宣伝する。中国の伝統的な素晴らしい文
化を活かすなどの名目を挙げて、臆面もなく詐欺的な文化、習慣を提唱したり、促進
したりする。また当局の外交政策などを軍人と同じように無条件で支持する一方、
「中国は『ノー』と言うことができる」(アメリカに対するある本の題名)というよ
うな過激な作品を大勢で熱心に読み返す。2001年の9*11のアメリカへのテロ攻撃を、
テロリストと同じように祝杯をあげた大学生もいた。2012 年に中国本土で連続的に
発生した若者たちが日本車を燃やした事件、日本風のレストランなどを攻撃した事件
の中には、怒った顔をした大学生もいた。また、一部の大学生は、武力行使で台湾を
「解放」しようと純血的な扇動をするが、彼らに軍服を着用させ、戦いに行かせるの
は絶対に不可能であろう。彼らが、やらなければならないならば何でもやるというこ
とはあり得ないと思う。はっきり言って、責任感、信頼性は皆無であろう。

5. アカデミックスピリットの喪失

今日の中国の大学生たちの小、中、特に高校時代の勉学は、世界でも稀な猛勉であ
る。長年の強制的な試験指向教育が、彼らに精神的拷問や無慈悲的な心理破壊を与え
たと思う。ある意味では、彼らこそ、中国で最も痛みを感じる社会階層の一つであ
る。高校を卒業するまで歯を食いしばって我慢した彼らが入試を経て大学に入ると、
直ちに解放感が生まれ、しかもこの国の国民的英雄のように自らを誇示する。残念な
がら多くの親たちも彼らと呼応し、褒め称える。愚かにも、人生は大学に受かること
だけのように考え、大学生活を人生の楽しさ、幸せなどを謳歌するものだと思ってい
るようだ。

つづきは下記URLよりお読みください。
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/post_513.php

【3】SGRAレポート第69号「紛争の海から平和の海へ」紹介

SGRAレポートを発行いたしましたのでご紹介します。PDF版は下記リンクよりご覧い
ただけます。SGRA賛助会員と特別会員のみなさまには冊子をお届けします。会員外の
方で冊子の送付をご希望の方は事務局へご連絡ください。

第45回SGRAフォーラム講演録(2014年10月20日発行)

■「紛争の海から平和の海へ:東アジア海洋秩序の現状と展望」

SGRAレポート69号(本文)
http://www.aisf.or.jp/sgra/member/peace/report/SGRAreport69.pdf

SGRAレポート69号(表紙)
http://www.aisf.or.jp/sgra/member/peace/report/SGRAreport69Cover.pdf

(ダウンロードに少し時間がかかります)

<もくじ>
【基調講演】
「東アジアの海と領土—国際法の視点から— 」
村瀬信也(むらせ・しんや)上智大学法学部教授

【報告1】< 韓国の立場>
「東アジア型国際社会の出現—日韓漁業協定(1965)への過程を振り返る— 」
南 基正(ナム・キジョン)ソウル大学日本研究所副教授

【報告2】< 中国の立場>
「東アジア国際秩序の現状と展望—中国内における「新型大国関係」の議論を中心に
— 」
李 成日(リ・チェンル)中国社会科学院亜太与戦略研究院助理研究員

【報告3】< 台湾の立場>
「『琉球地位未定論』の再燃で尖閣紛争の解決に役立つのか—中国と台湾の議論を中
心に— 」
林 泉忠(リム・チュアンティオン)台湾中央研究院副研究員

【報告4】< 日本の立場>
「竹島/独島をめぐる海の一断面」
福原裕二(ふくはら・ゆうじ)島根県立大学准教授

【報告5】
「北極海の開放と韓国・日本・中国の海洋協力の可能性」
朴 栄濬(パク・ヨンジュン)韓国国防大学校安全保障大学院教授
 
【パネルディスカッション】
司会: 李 恩民
総括:明石 康(国際文化会館理事長)
パネリスト:上記発表者

【4】第6回SGRAカフェへのお誘い(再送)

■「アラブ/イスラームをもっと知ろう:シリア、スーダン、そしてイスラーム国」

SGRAでは、良き地球市民の実現をめざす(首都圏在住の)みなさんに気軽にお集まり
いただき、講師のお話を伺う<場>として、SGRAカフェを開催しています。今回は、
「SGRAメンバーと話して世界をもっと知ろう」という主旨で、シリア出身のダル
ウィッシュ ホサムさんと、スーダン出身のアブディン モハメド オマルさんを囲ん
で座談会を開催します。

参加ご希望の方は、事前にSGRA事務局宛て、お名前・ご所属と連絡先をお知らせくだ
さい。
sgra-office@aisf.or.jp

日時:2014 年12月20日(土)14時〜17時
会場:鹿島新館/渥美財団ホール(東京都文京区関口3-5-8)
http://www.aisf.or.jp/jp/map.php
会費:無料

詳細は下記リンクをご覧ください。
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/6sgra.php

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● SGRAカレンダー
【1】第6回SGRAカフェ<参加者募集中>
「アラブ/イスラームをもっと知ろう」(2014年12月20日東京)
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/6sgra.php
【2】第14回日韓アジア未来フォーラム・第48回SGRAフォーラム
「ダイナミックなアジア経済—物流を中心に」
(2015年2月7日東京)<ご予定ください>

●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員
のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読
いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた
だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。
http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/
● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く
ださい。
● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。
● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務
局より著者へ転送いたします。
● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。
● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ
けます。
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/

関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局
〒112-0014
東京都文京区関口3−5−8
渥美国際交流財団事務局内
電話:03−3943−7612
FAX:03−3943−1512
Email: sgra-office@aisf.or.jp
Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/
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