SGRAメールマガジン バックナンバー

[SGRA_Kawaraban] Goginashvili “Till When Shall Our Hearts be Torn

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SGRAかわらばん544号(2014年11月20日)

【1】エッセイ:ゴギナシュヴィリ「心の戦いはいつまで続くのか」
   —SGRAふくしまスタディツアー参加報告—

【2】第3回SGRA福島スタディツアー報告

【3】特別寄稿:奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生(その3)」

【4】催事案内:国際シンポジウム(2014年11月22日東京)
  「国際的視野のなかのハルハ河・ノモンハン戦争」

【5】第8回SGRAチャイナフォーラムへのお誘い(最終案内)
  「近代日本美術史と近代中国」(11月22/23日 北京)
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【1】SGRAエッセイ#433

■ダヴィド ゴギナシュヴィリ「心の戦いはいつまで続くのか—SGRAふくしまスタ
ディツアー参加報告—」

2泊3日のふくしまスタディツアーに参加して、飯舘村の村民やボランティアの方々と
の交流、そして協働作業を通じて村民の思いや現状を肌で感じ取ることができた。そ
して飯舘村のエコロジー、経済、人口に関する情勢について学問的な観点からの話も
聞けた。

最初の訪問先であった松川仮設住宅で避難住民と話してから、ずっと自分でもよく理
解できなかった既視感を覚えていた。その後に、希望の光を見いだそうとしている
人々、未だに光が見えない状況の中でも生活できる環境を再生するために、涙ぐまし
い努力を払っている住民、ボランティア、学者、そして芸術を通じて福島のイメージ
改善を目指している若者などと交流していた時、その既視感がさらに強まった。

この感覚は1990年代初頭のグルジアで同じような状況に陥り、そして同じような感情
に溢れた人たちを見た時に感じたものと類似していたのだ。当時のグルジアにも、家
から追い出された難民、死ぬ覚悟で失われた故郷を取り戻すために戦い続けていた住
民、そして人にこの悲劇をつかの間でも忘れさせようと活動していた芸能人が多くい
たが、そういう状況を生み出した原因は自然現象がもたらした原発事故ではなく、人
が始めた戦争であった。

現在、グルジア領土の一部が外国の軍隊によって占領されているのと同様に、福島県
の一部は放射性物質という「目に見えない敵」によって占領されている。

飯舘村村民との話の中で「村に帰るための戦い」、「放射能との戦い」、「心との戦
い」という言葉がしばしば聞かれ、福島は「戦いの最中」だという印象がさらに強
まった。しかし、私がグルジアで見た戦争と違って、福島の「戦い」では「見えない
敵」との関係を緩和するための交渉、ディプロマシーなどの手法は役に立たない。問
題解決の唯一の手段は「見えない敵」を完全に排除すること、つまり、放射能を排除
しないかぎり村を再生することはできない。

あらゆる戦いのなかで心との戦いが最も難しく、心が負けたら放射能との戦いにも負
けてしまうという苦しみもしばしば聞いたが、その一方で、飯舘村村民が自分の心と
戦っているそもそもの原因は、放射能との闘い方がわからないことであり、放射能を
排除する方法を見つけない限り、結局のところ、心との戦いで敗北するのも時間の問
題だという悪循環のような状態であるといえるだろう。

このツアーで明らかになった大きな問題点は、日本の政府は被災地の住民との繋がり
に乏しいということである。政府が実施している除染作業のスケールは、その内容を
知らない人にとって一見非常に印象的にみえるが、飯舘村の状況に関する詳細な説明
を受けた私は除染作業がいかに効果性に欠けているかがわかった。

もちろん、政府側の説明を聞かないことには客観的な判断ができないという意見もあ
るだろう。しかし、たとえ専門家ではなくても、地面から剥ぎ取られた汚染土を入れ
た黒いビニール袋が未だに村中に積み上げられているのを見たら、除染作業の効果性
に対する疑問が生じるのは当然であろう。しかも、このビニール袋が家の入り口周
辺、または畑などに積み上げられているという現状では、村民の間で、政府が行って
いる除染作業のそもそもの目的を問う声が高まるのは当然であろう。飯舘村村民が、
除染作業を監視、あるいは作業政策・計画決定過程に参加できる正式な仕組みが存在
しないことは上述のような問題の主要な原因の一つだと考える。自分たちの土地に降
り注いだ放射能を、自分の手で除染できない現実、住民が作業を監視する仕組みがな
いことは極めて不合理で不自然だと思える。

政府と国民の間にできたこのギャップを埋めるべく取り組んでいる団体の一つが被災
地の住民、ボランティアや様々な分野の科学者から構成されている「ふくしま再生の
会」という非政府団体である。団体のメンバーは安心と安全は同じではないとよく理
解したうえで、汚染データの収集と分析、農地や山林の除染、農業の再生などのプロ
ジェクトを実施している。現時点では、全ての取り組みが成功しているとは言えない
ものの、村民の絶望との戦いに大きく貢献していることは確かである。

日本政府による除染作業、政府・国民間関係、汚染問題に対する人々の意識、原発そ
のものの必要性、建設や稼働の可否といったツアー中に議論していたテーマに対し
て、疑問点が未だに多くあるが、このツアーから戻った私は、希望のない状態でも絶
望してはいけないということだけは、さらに強く実感するとともに確信を深めること
ができた。

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<ダヴィッド ゴギナシュビリ David Goginashvili>
渥美国際交流財団2014年度奨学生 グルジア出身。慶応義塾大学大学院政策・メディ
ア研究科後期博士課程。2008年文部科学省奨学生として来日。研究領域は国際政治、
日本のODA研究。
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【2】第3回SGRAふくしまスタディツアー《飯舘村、あれから3年》報告

渥美国際交流財団/SGRAでは2012年から毎年、福島第一原発事故の被災地である福島
県飯舘(いいたて)村でのスタディツアーを行ってきました。
そのスタディツアーでの体験や考察をもとにしてSGRAワークショップ、SGRAフォーラ
ム、SGRAカフェ、そしてバリ島で開催された「アジア未来会議」での展示とトーク
ショー「フクシマとその後:人災からの教訓」などを開催してきました。
今年も、10月17日から19日の3日間、SGRAふくしまスタディツアー《飯舘村、あれか
ら3年》を実施しました。このレポートはツアーの記録報告です。

「SGRAふくしまスタディツアー」は、今年で3回目。参加者は渥美財団のラクーンメ
ンバー、呼びかけに応えて参加した留学生、日本人学生、大学教授や社会人など16
名。国籍も中国、台湾、グルジア、インドネシア、モンゴル、日本、年齢層も18歳か
ら70歳代まで、まさに多様性を絵にかいたような多彩なメンバーであった。

17日(金)朝8時、メンバーたちのチョットした不安も乗せながら、バスは秋晴れの
中を福島に向けて出発した。
途中、福島駅で、今回の受入れをお願いしている「ふくしま再生の会」のメンバーと
合流。
「NPO法人ふくしま再生の会」(理事長 田尾陽一さん)は、地元の農民とヴォラン
ティア、科学者により構成されたNPO団体。2011年秋から、飯舘村の再生プロジェク
トとして、住民自身による効率的な除染方法の研究開発や飯舘村に伝わる「マデイ
(真手)」の考え方をもとにしたサステイナブル/エコロジカルな地域産業とコミュ
ニティーの再生に取り組んでいる。

つづきは下記リンクからお読みください。
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/news/3sgra3.php

ふくしまツアーの写真は下記リンクよりご覧いただけます。
www.aisf.or.jp/sgra/photos/

【3】特別寄稿

SGRAエッセイ#434

■ 奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生(その3)」

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SGRAでは、会員の奇錦峰さんのエッセイ「中国の大学の現状」を2007年にかわらばん
で配信し、「われら地球市民」(ジャパンブック、2010年)に収録しましたが、2014
年8月にバリ島で開催した第2回アジア未来会議でさらなる報告がありましたので、数
回に分けてご紹介しています。
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1.3 卒業時の大処分

大学の校内では卒業が近づくと、ものを大量処分する(捨てる)季節になる。卒業生
達は教科書も含め、使用していた物品をほとんど処分してしまう。処分しないもの
は、携帯電話とラップトップコンピューターぐらいか?デスクトップコンピューター
まで処分する人もいるようだ。(清掃者は“つらーい!”と言いながら、使用可能な
ものをたくさん回収出来るため、内心は喜んでいる。)ゴミ捨て場へ捨てるのはまだ
良いとしても、問題になるのは、わざと宿舎の窓から外へ捨てながら楽しむ事件が頻
繁に発生していることだ。(ゴミ箱、枕、布団などの大きなゴミを窓から捨て、建物
の下を通過していた人に怪我をさせたというニュースもあった。)大量処分のあと、
宿舎の建物のまわりはゴミだらけだ。

物を捨てる行為の他に、更に驚いたことに、様々な特異的な卒業行動(大学の“卒業
病”と言われている)が散見されている。例えば下品な卒業写真撮影、卒業スローガ
ン掛け(シートにいろいろな言葉を書いて窓から垂らす)、卒業裸走り、卒業叫び
(寮外で「XXさん!貴方をずーっと愛していたよ!」)、卒業セックス予約(中国
語で“約砲”と言う、要は卒業生同士がセックスを約束する)などがある。一般の
人々は、これらの現象について、現在の大学生たちが、自分たちは普通の人が行う行
為と異なる方法で思い出と主張を表現し、自分の大学生活に区切りをつけ、新しい段
階に入ることを宣言していると推測しているようだ。

2. 乱れるセックス及び性道徳の低下

今の大学生の二番目の問題は性的道徳の低下及び性的混乱であると思う。大学内の道
路上、カフェテリア内、教室内などのいたる所で、熱愛中のカップル大学生が、まる
でハネムーン夫婦のように、半分抱擁、半分ロマンスの姿がよく見られる。

つづきは下記リンクからお読みください。
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/post_512.php

【4】催事案内:国際シンポジウム「国際的視野のなかのハルハ河・ノモンハン戦
争」

SGRA会員のボルジギン・フスレさんより、国際シンポジウムのご案内をいただきまし
たので、紹介します。

日時: 2014 年11月22日(土)10 時から18時10分[9時30分開場]
会場: 昭和女子大学80年館5 階 5L44 教室
主催: 国際シンポジウム「国際的視野のなかのハルハ河・ノモンハン戦争」実行委
員会
後援: 昭和女子大学/公益財団法人守屋留学生交流協会/ハル・スルドモンゴル軍
事史研究者連合会

詳細は下記リンクよりご覧ください。
http://www.aisf.or.jp/sgra/info/Nomonhan2014Tokyo.pdf

【5】第8回SGRAチャイナフォーラムへのお誘い(最終案内)

■「近代日本美術史と近代中国」

下記の通り、第8回SGRAチャイナ・フォーラムを、11月22日(土)〜23日(日)に北
京で開催します。
参加ご希望の方は、事前にSGRA事務局宛て、お名前・ご所属と連絡先をお知らせくだ
さい。
sgra-office@aisf.or.jp

SGRAでは、日本の民間人による公益活動を紹介するSGRAチャイナ・フォーラムを、北
京をはじめとする中国各地の大学等で毎年開催してきましたが、8回目の今回から
は、今までと趣向を変え、「清華東亜文化講座」のご協力をいただき、北京在住の日
本の社会や文化の研究者を対象として開催します。

詳細は下記リンクをご覧ください。
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/8sgra.php

1日目:2014 年11月22 日(土)14時〜17時
於:中国社会科学院文学研究所 社科講堂第一会議室
プログラムは下記リンクをご覧ください。
http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/SGRAChinaForum8Program1Japanese.pdf

2日目:2014 年11月22 日(土)14時〜17時
於:清華大学甲所第3会議室
プログラムは下記リンクをご覧ください。
http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/SGRAChinaForum8Program2Japanese.pdf

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● SGRAカレンダー
【1】第8回SGRAチャイナフォーラム<参加者募集中>
「近代日本美術史と近代中国」(2014年11月22/23日北京)
 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/8sgra.php
【2】第6回SGRAカフェ<参加者募集中>
「アラブ/イスラームをもっと知ろう」(2014年12月20日東京)
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/6sgra.php
【3】第14回日韓アジア未来フォーラム・第48回SGRAフォーラム
「ダイナミックなアジア経済—物流を中心に」
(2015年2月7日東京)<ご予定ください>

●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員
のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読
いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた
だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。
http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/
● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く
ださい。
● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。
● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務
局より著者へ転送いたします。
● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。
● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ
けます。
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/

関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局
〒112-0014
東京都文京区関口3−5−8
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FAX:03−3943−1512
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