SGRAメールマガジン バックナンバー

[SGRA_Kawaraban] Yeh Wenchang “The Label of

**********************************************************
SGRAかわらばん542号(2014年11月5日)

【1】エッセイ:葉 文昌「『伝統』という名がつけば」

【2】特別寄稿:奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生(その1)」

【3】第8回SGRAチャイナフォーラムへのお誘い(再送)
  「近代日本美術史と近代中国」(11月22/23日 北京)

【4】第6回SGRAカフェへのお誘い(再送)
  「アラブ/イスラームをもっと知ろう」(12月20日東京)
***********************************************************

【1】SGRAエッセイ#429

■ 葉 文昌「『伝統』 という名がつけば」

3年前の出来事。趣味で金箔を一箱10枚6000円台でネット購入した。金箔で有名な
金沢の、ネット検索で最初に出てきた会社である。他の会社がほとんど0.001mmで
あったのに対してこの会社の金箔は0.002mmのものがあり、価格が1〜2割高かった
だけだったので、これを選んだ。

しかし商品が届いてがっかりさせられた。あれは0.001mm未満であろう、透けて見
える上、私が今まで接した金沢職人金箔と比較して、台紙から剥がせばボロボロに
なるほど極端に薄いのだ。(透過率測定か電子顕微鏡で観察すればデータは取れる
が)

私は業者に問い詰めた。そうしたら「これは伝統技術で手作りなので、誤差」だと
言われた。「0.001mmと0.002mmでは誤差は100%だぞ、これは詐欺だろう!」と怒っ
た。

私のたかだか数千円の損はどうでも良い。真面目な業者がいる一方で、伝統を言い
訳に不誠実なことをする業者が許せなかった。

消費者センターにも相談したが、これは職人技なので非は追及できないという答え
だった。「匠を知らない外国人」vs「金沢伝統工芸」という構図になっていたのだ
ろう。これ以上是非を追及しても無駄と、私は諦めた。

この金箔は使えなかったので、その後別の会社から0.001mmのものを買った。そう
したら透けて見えない上、台紙から剥がせる厚さの、まともな品が届いた。私のク
レームは間違っていなかった。

世の中には「伝統」をつければいいと思っている人が多い。また外国人はどうせわ
からないと思い込んでいる人も多い。今年参加したある国際学会の晩餐会で日本伝
統大道芸が披露された。和傘でお椀を転がしていた。演者は袴を着ていかにも「日
本伝統」なのではあるが、普段着で道端でやっている大道芸のことを想像すれば普
通の腕前で、そこに感動はなかった。

京都の枯山水。Wikipediaによれば「枯山水は水のない庭のことで、池や遣水など
の水を用いずに石や砂などにより山水の風景を表現する庭園様式」とのこと。日本
人にその美しさを理解しているか聞かれる。私は、枯山水は非常に素晴らしく、日
本が世界に誇れる創造的な芸術と思っている。しかし次のことを付け加える。「石
ころを水に見立てているのでこれは現代美術の先駆けである。素晴らしい創造力
だ。当時コンクリートというものが発明されていれば、コンクリートの枯山水も
あったかもしれない。だが私にとって現代美術は自然を越えられない。だから自分
が庭を持つとしたら私は石ころを並べるよりも、本当の水を流した木々が鬱蒼と茂
る庭を作るであろう。」大抵の場合、外国人は和を理解できない、というオチにな
るのだが。

通販和菓子、日本酒の利き酒・・・「和」がつけば「外人にはわからない」といい
加減にする人は多い。台湾人にも「外国人はわからない」と美味しくない烏龍茶を
プレゼントする人がいるのと同じである。それでは外国からの信頼を失うことにな
る。

日本の伝統工芸や芸能を否定しているのではない。それに逃げている、或いはそれ
だけを売りにしているのが少なくないと感じるのである。

—————————————–
<葉 文昌(よう・ぶんしょう)Yeh Wenchang>
SGRA「環境とエネルギー」研究チーム研究員。2001年に東京工業大学を卒業後、台
湾へ帰国。2001年、国立雲林科技大学助理教授、2002年、台湾科技大学助理教授、
副教授。2010年4月より島根大学総合理工学研究科機械電気電子領域准教授。
—————————————–

【2】特別寄稿

SGRAでは、会員の奇錦峰さんのエッセイ「中国の大学の現状」を2007年にかわらば
んで配信し、「われら地球市民」(ジャパンブック、2010年)に収録しましたが、
2014年8月にバリ島で開催した第2回アジア未来会議でさらなる報告がありましたの
で、これから数回に分けてご紹介します。
—————————

SGRAエッセイ#430

■ 奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生(その1)」

どの国でも、伝統的に大学生は国のバックボーン、社会発展のパイオニアであり、
しかも民族振興の希望として見られている。彼らは崇高な夢を持ち、一生懸命に勉
強し、仕事に熱心である。彼らは強い競争意識を持って、献身的な精神で社会のた
めに頑張っており、国の発展になくてはならない。

1980 年代以降、急速な経済発展の下で、中国社会全体の考え、モラル、文化など
が新しい時期に入り、かなりの人々が現実から逃避し、嘲笑正義、カルペディエム
(一日の花を摘め)、物質的快適さを追求した結果、すべてを”お金”で考え、各産
業が短期的な利益を追求するようになってしまった。社会のこれらの変化が大学生
に大きな影響を与え、甘やかされて育てられたこの時期の大学生たちの素質がさら
に激しく下落してしまった。しかもこれが成長中の次の世代の大学生へ継承されて
しまった。

文化大革命の期間に“紅衛兵”だった奮起した親たち、大勢の真面目で、かつ伝統
的な小、中、高等学校の教職員たちの定年退職に伴い、学校教育は本来行うべき思
想、道徳教育を軽視したため、ティーンエイジャーたちは、人生への追求心、科学
的思考、正義感、誠実、友情、思いやりなどを徐々に消失してしまった。人口増加
および市場化経済への移行が、更に小、中、高等学校の“試験志向教育”を極端化
させ、大学は政府の「産業化」、「大衆化」への呼びかけに答えた結果、名門大学
も含めて、多くの大学が“xxxx職業技術学院(センター)”というあだ名で民
間に伝わっている。例えば北京大学は“円明園職業技術学院”に成り下がってし
まった。その結果、産業化および大衆化した教育がどんどん社会へ不良品(人柄が
悪い、知識もない大学生)を生産し続けてしまった。

一般人の認識では、中国の現代の大学生というイメージはおそらく1989 年、つま
り大学が学費を徴収するようになった時からの大学生を指すと思われる(その前は
学費はなかった)。1995 年に、大学の学生募集が爆発的に拡大し、今もその傾向
が続いている。人類の歴史の中で前例のない大学「大躍進」が始まったとも言え
る。社会一般の観点から言えば、1980年代、1990年代に卒業した大学生が優良で、
特に80 年代に大学を卒業した人は(今日、彼らは中国社会の主力である)もっと
も優れていると認められている。しかし、2000 年以降の中国の大学生は、まずは
数が多くて、価値が下がり、偏って成長したため、「大学生は国家のエリートで未
来の誇り」というアイデンティティは、このわずか数年で崩壊し、ジャンクの代名
詞と、堕落の化身となり、広範な社会からの批判のターゲットとなってしまった。
 

「中国現代の大学生の九つの罪」というブログの初掲載は2005 年8 月17 日であっ
たが、その後多くの中国のウェブサイトに転載され、今日までも、高いクリックス
ルー率である。「変な大学生」というサーチワードでネット検索すれば、大学生に
ついての批判は数え切れない。昨今の大学生が如何なる状況かということを、2013
年07 月17 日の北京イブニングニュース(北京晩報)が「南都週刊」と「百度知
道」の共同調査の結果を引用して、「中国式の教育:変更または変更させる」とい
うテーマで報告している。

その結果をみると、今の大学のキャンパスで勉強が忙しい大学生は1.1% 、恋愛で
忙しい大学生は28%、残りはボーっとして毎日を送っているようだ。私はこの中国
の現代の大学生とすでに10 年間付き合っている(私は2003年に帰国してからずっ
と大学教育に携わってきた)。直接教えた大学生数は概算で5000人以上(今の大学
のクラスは大きく、100人以上は普通)。長い間大学教育の前線で働いてきた者と
して、この「九つの罪」を自分の経験や個人的な調査をもとに分析してみたので報
告する。(つづく)

—————————————————
<奇 錦峰(き・きんほう)Qi Jinfeng>
内モンゴル出身。2002年東京医科歯科大学より医学博士号を取得。専門は現代
薬理学、現在は中国広州中医薬大学の薬理学教授。SGRA会員。
—————————————————

【3】第8回SGRAチャイナフォーラムへのお誘い(再送)

■「近代日本美術史と近代中国」

下記の通り、第8回SGRAチャイナ・フォーラムを、11月22日(土)〜23日(日)に
北京で開催します。
参加ご希望の方は、事前にSGRA事務局宛て、お名前・ご所属と連絡先をお知らせく
ださい。
sgra-office@aisf.or.jp

SGRAでは、日本の民間人による公益活動を紹介するSGRAチャイナ・フォーラムを、
北京をはじめとする中国各地の大学等で毎年開催してきましたが、8回目の今回か
らは、今までと趣向を変え、「清華東亜文化講座」のご協力をいただき、北京在住
の日本の社会や文化の研究者を対象として開催します。

詳細は下記リンクをご覧ください。
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/8sgra.php

1日目:2014 年11月22 日(土)14時〜17時
於:中国社会科学院文学研究所 社科講堂第一会議室
プログラムは下記リンクをご覧ください。
http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/SGRAChinaForum8Program1Japanese.pdf

2日目:2014 年11月22 日(土)14時〜17時
於:清華大学甲所第3会議室
プログラムは下記リンクをご覧ください。
http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/SGRAChinaForum8Program2Japanese.pdf

【4】第6回SGRAカフェへのお誘い(再送)

■「アラブ/イスラムをもっと知ろう:シリア、スーダン、そしてイスラム国」

SGRAでは、良き地球市民の実現をめざす(首都圏在住の)みなさんに気軽にお集ま
りいただき、講師のお話を伺う<場>として、SGRAカフェを開催しています。今回
は、「SGRAメンバーと話して世界をもっと知ろう」という主旨で、シリア出身のダ
ルウィッシュ ホサムさんと、スーダン出身のアブディン モハメド オマルさんを
囲んで座談会を開催します。

参加ご希望の方は、事前にSGRA事務局宛て、お名前・ご所属と連絡先をお知らせく
ださい。
sgra-office@aisf.or.jp

日時:2014 年12月20日(土)14時〜17時
会場:鹿島新館/渥美財団ホール(東京都文京区関口3-5-8)
http://www.aisf.or.jp/jp/map.php
会費:無料

詳細は下記リンクをご覧ください。
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/6sgra.php

**************************************************
● SGRAカレンダー
【1】第8回SGRAチャイナフォーラム<参加者募集中>
「近代日本美術史と近代中国」(2014年11月22/23日北京)
 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/8sgra.php
【2】第6回SGRAカフェ<参加者募集中>
「アラブ/イスラームをもっと知ろう」(2014年12月20日東京)
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/6sgra.php
【3】第14回日韓アジア未来フォーラム・第48回SGRAフォーラム
「ダイナミックなアジア経済—物流を中心に」
(2015年2月7日東京)<ご予定ください>

●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会
員のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご
購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録し
ていただくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。
http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/
● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡
ください。
● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。
● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事
務局より著者へ転送いたします。
● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。
● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いた
だけます。
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/

関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局
〒112-0014
東京都文京区関口3−5−8
渥美国際交流財団事務局内
電話:03−3943−7612
FAX:03−3943−1512
Email: sgra-office@aisf.or.jp
Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/
**************************************************