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[SGRA_Kawaraban] Xie Zhihai “Womanomics: Japanese Women Will Usher in the Future of Japan (Part 1)”

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SGRAかわらばん521号(2014年6月4日)

【1】エッセイ:謝 志海「ウーマノミクス(その1)」

【2】ワークショップ「人を幸せにする科学とは」へのお誘い
  (7月5日〜6日、蓼科)
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【1】SGRAエッセイ#411

■ 謝 志海「ウーマノミクス:日本の女性が日本の未来を導く(その1)」

安倍政権になってから、日本の女性はこれまでにないほど、沢山の期待を背負わされ
ているのではないだろうか?今回は特に安倍首相が掲げる成長戦略のうちの一つ、女
性の活用 「ウーマノミクス」を取り上げたいと思う。

ウーマノミクスとは、女性が社会で活躍することにより、経済活性化を目指すという
ものだ。日本は人口減少の一途をたどっており、それによる将来の働き手不足を懸念
している。内閣府による予測では、およそ50年後には労働力人口が今より2割ほど
減ってしまうとされている。人口の減少、すなわち少子化問題も早期解決の目処は今
のところなさそうだ。外国人労働者の受け入れは、他国と比べて日本は非常に弱腰で
ある。ではどうやって働き手を確保するかというと、女性だ。

最近のウーマノミクス関連のニュース記事でよく目にする言葉に「M字カーブ」があ
る。日本人女性の働く人の割合を示す就業率年齢分布はM字カーブを描く。左右の高
い部分は20代と40代後半、くぼみの一番深い年齢が30〜40代で、出産を機に仕事から
離れるからだ。このくぼんでいる部分の人に、労働市場に戻ってもらえば、GDPも上
がるであろうと思われている。30〜40代の女性に働き続けてもらうには、出産後も働
きやすい環境を整える事が大事であり、産休の充実、復帰後の時短(短時間勤務)の適
用、保育園、幼稚園を増やす等は、すでに様々な制定がなされており、大手企業に
とってそれらの制度は最近導入したことではない。なのになぜ未だに日本女性の就業
率はM字を描いているのか?

経済協力開発機構(OECD)が2013年に発表した「雇用アウトルック2013」によると、日
本の25-54歳の女性の就業率は69%で加盟国中、24位だった。(上位はノルウェーなど
の北欧諸国で80%を超えている。) 約6割の女性が第一子出産を機に退職するからだと
OECDは指摘する。これらの6割の女性は喜んで退職しているのか?日本政府が増税と
インフレ2%に執心のさなか、そうは思えない。勤務先は時短制度が無い、復帰後に働
きやすい環境が待っていないなどで、やむを得なく去っていくケースも多いのではな
かろうか?日経新聞によると、女性の活用に関しては、企業の対応はまだ手探りの段
階。そこで、横浜市が中小企業女性活用推進事業を始める。女性の就労継続を支援す
るために中小企業にコンサルティングをしたり、かかる費用の一部を助成する計画を
打ち出した。市町村が、働き続けたい女性が求めること、また女性社員に残ってもら
いたいが、そのシステム作りに悩む企業の声に耳を傾け、手助けすることは素晴らし
い事だと思う。

同じ日経新聞の記事内に「出産女性の就業継続は夫が子育てを分担することも不可
欠」とあった。私は「これだ!これが答えだ!」と思った。中国では、夫は当たり前
に家事をする。子供がいてもいなくてもだ。家事は女性がするという概念が無い。ど
うしてかと聞かれると、うまい答が見つからない。自分の家も、周りも親は共働き
で、家事を普通にこなす父親を見て育っているので、そういうものだと思っていると
しか言い様がない。一方、日本の男性にとって、掃除、育児は女性がするものという
固定観念が根強くある、年齢が高ければ高い人ほどそういう傾向だ。これでは女性に
ばかりしわ寄せが多く、育児と仕事のバランスがうまく取れず、就労継続することが
困難な状態になる、それがM字カーブを描いてしまうのであろう。

家庭と仕事の両立支援制度の話に戻ると、男性にも育児休業を設けている会社が多
い。育児をする男性=イクメンという言葉まで定着しているのに、問題はそれを活用
する人が少ないこと。厚生労働省の「雇用均等基本調査」によると、2012年度の男性
の育児休業取得率は1.89%である。日本の男性は残業もいとわず日々真剣に働いてい
るので、育児休業=一線から外れてしまう、また取得後の人事評価などを懸念して、
育児休業を取ることに臆病になっているのであろう。彼らの上司(40代後半から50代)
の育児休業についての理解が低いことも、取得率を下げる大きな一因だと思う。上司
の時代にはイクメンが存在しなかったのだから。中国には男性の育児休業なんてもの
は存在しないので、私にとっては制度があって、使う権利があるのに行使しないこと
をもったいないと感じる。

日本の企業は時代に合わせて社員が働きやすい環境を整えていて素晴らしいと思う。
しかし、それらを社員が活用できているかまで、会社はしっかりとモニタリングして
いるのだろうか?社員に活用するよう推奨しているのか?上司や同僚の目が気になっ
て、育児休業の取得を切り出せないようでは、制度を作った意味がなくなる。男性達
も、一度思い切って育児休業を取ってしまえば、自分の子と過ごせる時間を与えてく
れた会社に感謝し、勤務時間中はより業務に集中し、貢献度が上がるかもしれない。
こうして小さな子を持つ父親たちが、当たり前のように育児休業を利用したり、積極
的に家事へ参加し、周りもそれを当然の事として受け止めることが、女性の就労継続
につながり、実は一番のウーマノミクス成功への近道なのではないか。ウーマノミク
ス、と女性をあおる前に男性の家事と育児に対しての意識改革が必要だ。女性の労働
人口が上がり、経済的に元気な日本になることを期待する。

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<謝 志海(しゃ しかい)Xie Zhihai>
共愛学園前橋国際大学専任講師。北京大学と早稲田大学のダブル・ディグリープログ
ラムで2007年10月来日。2010年9月に早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期
課程単位取得退学、2011年7月に北京大学の博士号(国際関係論)取得。日本国際交
流基金研究フェロー、アジア開発銀行研究所リサーチ・アソシエイトを経て、2013年
4月より現職。ジャパンタイムズ、朝日新聞AJWフォーラムにも論説が掲載されてい
る。
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【2】第3回SGRAワークショップ「人を幸せにする科学とは」へのお誘い

SGRAでは会員を対象としたワークショップを下記の通り行います。
参加ご希望の方は、SGRA事務局へご連絡ください。

テーマ: 「人を幸せにする科学とは」
日 時: 2014年7月5日(土)午前9時 〜 6日(日)午後1時
集 合: 現地集合(東京商工会議所 蓼科フォーラムにて受付)
     http://www.tokyo-cci.or.jp/tateshina/access/
参加費: 5000円(食費、宿泊費(相部屋)を含む)
募集人数: 先着20名(渥美奨学生を含む全参加者数は約40名になります)
募集締め切り:2014年6月20日(ただし定員になり次第募集を締め切ります)
申し込み・問い合わせ:SGRA事務局(sgra-office@aisf.or.jp)

○ワークショップの趣旨:

SGRAでは、福島原発事故を契機にして飯舘村スタディーツアーやSGRAワークショッ
プ、そして5月31日にはSGRAフォーラム「科学技術とリスク社会」を開催してきまし
た。そこから浮かび上がってきたのが「現代の科学技術は、ひとを幸せにしているの
か?」という問いかけでした。今回のSGRAワークショップin蓼科では「ひとを幸せに
する科学技術」をテーマとして、科学技術の発展と人の幸せについて、ひとりひとり
が自分のこととして考える機会をもちたいと思います。プログラムではモンテ・カセ
ム先生の講演に続き、グループゲームなどを行いながら「楽しく、しかし深く」語り
合いたいと思います。

○プログラム:

7月5 日(土)(於:東商蓼科フォーラム)
9:30〜12:00 講演+グループ分け
・講演 「次世代のダ・ヴィンチを目指せ」
 −地球規模の諸問題を克服するための科学技術イノベーションに向けてー
 モンテ・カセム先生(立命館大学名誉教授/立命館国際平和ミュージアム館長)
12:00〜13:30 昼食
13:30〜15:00 ビデオ+小グループディスカッション
15:00〜15:30 休憩
15:30〜17:00 小グループディスカッション
7月6日(日)
9:30〜12:00 発表・まとめとふりかえり

《講師紹介》
モンテ・カセム先生(環境科学、イノベーション論)
スリランカ出身、東京大学工学研究科博士課程修了(建築学/都市計画)、国連地域
開発センター等を経て、立命館大学教授、立命館アジア太平洋大学学長、立命館副総
長(国際担当)等を歴任

皆様のご参加をお待ちしています。

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● SGRAカレンダー
【1】第4回日台アジア未来フォーラム(2014年6月13日台北)
「トランスナショナルな文化の伝播・交流:思想・文学・言語」<参加者募集中>
http://www.sgra2014jtaff.com/#!home-jp/c1ncc
【2】第3回SGRAワークショップ(2014年7月5日蓼科)
「人を幸せにする科学とは」<会員対象:参加者募集中>
http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/3sgra.php
【3】第7回ウランバートル国際シンポジウム
「総合研究——ハルハ河・ノモンハン戦争」<論文・参加者募集中>
http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/mongol/7_1.php
【4】第2回アジア未来会議
「多様性と調和」(2014年8月22日インドネシアバリ島)
http://www.aisf.or.jp/AFC/2014/
★オブザーバー参加者募集中★

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のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読
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