韓国ラクーン会 in ソウル2016

2016年6月12日午後6時、ソウルのガンナム駅(江南駅)付近にある「笑豪亭」(ソホジョン・Sohojung)という食堂で韓国ラクーン会(KSR)が開かれました。常務理事の今西さん、事務局長の角田さんの訪韓に合わせての会でした。お二人の訪韓は、第3回アジア未来会議の円卓会議「国史たちの対話」 、仮称「東アジア日本研究者協議会」の発足、およびソウルで2018年に開催される第4回アジア未来会議のための事前打ち合わせによるものだったらしいです。

この日は、お二人をはじめ、朴哲主さん(95狸)、李來賛さん、南基正さん、金雄熙さん(以上3名は96狸)、蔡相憲さん(03狸)、李垠庚さん(07狸)、金銀恵さん、鄭淳一(以上2名は11狸)の10名が集まりました。「新旧」の調和が目立つ組み合わせでした。KSR会長の金雄熙さんがサバティカルから復帰なさったこともあり、さらに、第1期生大先輩・朴哲主さんも、そして、「帰農」研究の先駆けとして注目を集めている蔡相憲さんも久しぶりにご参加下さり、なぜか心豊かな会となったのではないかと自評しています。

会場の「笑豪亭」は、「カルグクス」専門店として有名なお店でした。韓国語の「カル」は包丁のことを、「グクス」は麺類のことを指す言葉です。小麦粉と卵をこねて作った生地を包丁で切ってゆでるとのことでそう名づけられたみたいです。実際に食べてみたところ、名声に似合うような味ではありませんでした。逆に「えっ、どうして有名になったのだろう」と思ってしまうような風味でした。やはり「訳あり」でした。

いわゆる「軍事政権」から「文民政府」時代の幕を開いた、故・金泳三(キム・ヨンサン)元大統領がこのお店の常連客だったそうです。金元大統領は韓国の民主化運動を率いていた人物で、在任当時も「庶民」的なイメージが強かった、あるいはそう見えるように努力していた人です。それで、周りの人々とともに庶民的な食べ物の代表でもあるカルグクスをよく召し上がったらしく、そのとき、選ばれた食堂が「笑豪亭」だったようです。「笑豪亭」ならではのカルグクスの作り方を青瓦台(大統領宮のこと)のシェフに伝習してもらったという一話は世間にもよく知られています。

しかし、今西さん、角田さんにとってはせっかくの訪韓ということで、カルグクスのみでは若干寂しいですから、チヂミ、グッパ(辛めのスープにご飯を混ぜて食べるもの)、コングクス(韓国風の豆乳素麺)なども一緒に頼んで美味しくいただきました。

食事会では、また数年後、ソウルで開催される予定の第4回目アジア未来会議が話題となりました。「基調講演はキム・ヨナさんにお願いしよう」「ちがう、ちがう、イチロー選手もいいんじゃない」「やはり知名度の高い潘基文(パン・ギムン)さんに行く?」などなど。表向きは、まるで子供たちのおしゃべりのような話し合いでしたが、本当はご出席の皆さんの心や頭のなかには、「どうすれば『AFC SEOUL』を成功させるか」でいっぱいだったと「確信」します。

「庶民」的なお店で行われた1次会とは異なり、続く2次会はオシャレなコーヒーショップでした。そこでは、蔡相憲さんによる「農村のお話」で盛り上がりました。食材、食文化、農民たちの考え方をはじめ、その日韓差についても皆で話し合ったり、考えてみたりしました。「農村」というテーマからすれば、すぐつまらない話に流れてしまいそうですが、決してそうではなかったです。あくまで個人的な考えではありますが、非常に面白くて興味深い話でした!

一つ残念だったのは、KSRにとって「お母さん」のような存在である、幹事の韓京子さん(2005狸)がご同席できなかったことでした。学務で忙しかったらしいです。いつも何から何まで助けていただきましたが、正直、韓さんのお仕事がどれだけ有り難いことだったのかよくわかりませんでした。むしろ韓さんがいない時、圧倒的な存在感を覚えました。この機会を借りてお礼申し上げたいです。韓京子さん、幹事役、いつもありがとうございます!

(文責:鄭淳一)