勝どき五丁目再開発工事現場見学会報告



11月4日、2015年度奨学生10名と渥美国際交流財団の今西常務理事、角田事務局長、石井さん、太田さん、本多さんが東京勝どき五丁目再開発工事の工事現場を見学しました。

当日、大江戸線勝どき駅の改札口で集合し、晴れた月島の下町的な独特の雰囲気を味わいながら、工事現場に歩いて向かいました。一般公開しない工事現場を見学することに、皆の好奇心が刺激されてきました。最初に、鹿島建設の工事担当者から、工事中の高層マンションの概略と技術的な特徴を説明していただきました。

平成25年から着工し、平成28年12月まで竣工する予定の高層マンションは、総戸数1,420戸で、地上53階になります。平均5日間で1階を立ち上げ、平面図から細部まで、鹿島建設の最先端技術を盛り込んでいます。紹介の中で、一番際立つ特徴は、高層ビルの建設に不利な地理条件である地震多発国であるため、この建物に、「VDコアフレーム工法」が応用されたということです。3つの独立した棟を組み合わせ、その間に制震装置(オイルダンパー)を設置することによって、地震の揺れが吸収されるという世界初の工法です。このように、3つの棟から成り立ったトラスター型の構造は、頑丈でありながら、デザイン性にも優れています。従来の高層ビルの巨大な正方形の圧迫感より、トラスター型がもたらした多面採光、また敷地からの開放的なアプローチなど、見事に周辺の環境と調和しています。

説明の後、皆はヘルメットをかぶり、レシーバーを持ち、仮設エレベーターで高層階へ移動しました。急スピードで上昇するエレベーターの中、どのような現場を目にするのか、皆ワクワクしていました。

仮設エレベーターを出たら、開放的な空間に、晴れた東京湾のパノラマに心が奪われました。開通前の環状第2号線、隣の浜離宮恩賜庭園、東京タワー、築地市場の屋根、隅田川の橋、そして、「あ、富士山だ」と、皆は東京を見渡す絶景に感動しました。

また、ライトチューブやオイルダンパーなど、先ほど紹介されたばかりの様々な最先端の技術を、目の前で実物を見ることができて、とても貴重な経験でした。清潔で整然とした工事現場で、各階の柱、部材、床、そして各部屋の配線など、計画通りに完璧に実施することから、工事現場の管理の素晴らしさに感心しました。廃業廃棄物のリサイクル率は98%になるということで、鹿島建設のものづくりのこだわりは格別であることを深く認識しました。

現場見学の後、近くにあるマンションギャラリーに移動し、マンションの宣伝シアターとモデルルームを見学しました。ギャラリーの玄関ホールは、実際のマンションのホールと同じように装飾され、モダンな趣味を見せています。3Dシネマを含め、3つの動画はマンションの敷地、都市空間、そして生活スタイルなど紹介しました。モデルルームは、大人の上品な住まいを象徴するかのような夕焼けのパノラマのシミュレーションが印象深かったです。そこから、高層マンションの社会性や、都会空間が水平から垂直に変転することでもたらされた社会構造の変遷など、皆で様々な議論で盛り上がりました。

勝どき五丁目再開発工事の現場見学会は、奨学生たちにとって大変貴重な経験でした。現在建設中の高層マンションは、間違いなく新しいランドマークになります。生活空間を築くことは、住民たちの生活に大きな影響を与えます。1400戸を超える共同住宅タワーは、1つの町とも言えます。月島の街において、最先端な科学技術と設計概念を実現する勝どきタワーが、今後どのような社会的や文化的な役割を果たすのかを期待しています。

(文責:ヤン、ユー グロリア)