2006年度AISFニュース

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  • 2006年度渥美奨学生研究報告会

    2007年3月3日(土)午後2時から6時まで、東京都文京区関口の渥美財団ホールにて、2006年度渥美財団研究報告会が開かれ、当期渥美奨学金受給者が研究成果を発表しました。今期・来期の渥美奨学生やラクーン会(同窓会)会員、財団役員、留学生支援財団の方々、来賓の皆様を含む50名以上の方々にご参加いただきました。 最初に、渥美伊都子理事長から、ホールに飾ってある雛飾りの紹介やひな祭りについてのお話がありました。渥美奨学生の皆さんは、自分の博士研究の成果を「子供にもわかるように」「15分以内で」説明するという大変難しい課題にもかかわらず、しかも何人かの方々には初めてのパワーポイント(プレゼンテーション用ソフト)を使ってそれぞれ素晴らしい発表をしてくださいました。

    12名の発表の後、お忙しい中ご出席くださった慶応義塾大学文学部教授の河合正朝先生と、(財)ロータリー米山記念賞学会の坂下博康事務局長、そして当財団選考委員で名古屋大学経済学部教授の平川均先生よりコメントをいただきました。先生方は、何年もかけて研究してきた博士論文を15分で説明しなければならない難しさ、しかしながらその重要性を強調されました。また、研究者は往々にして専門分野ばかりになってしまうので、このように様々な分野の発表を聞けることは貴重な機会であるとお話しくださいました。

    最後に、SGRA運営委員のマックス・マキトさん(95狸)からグーグルアースを使って「関口」とSGRA(関口グローバル研究会)の紹介がありました。その後、参加者はひな祭りのご馳走のちらし寿司と、羅仁淑さん(98狸)と弟さんが経営する韓国料理店からのご馳走を食べながら歓談を楽しみました。

    文責:今西淳子

    当日、事務局の谷原さんが写した写真は下記URLからご覧いただけます。

    http://www.aisf.or.jp/photos/

  • ラクーン会 in 富山

    2007年2月11日(日)午後6時より、富山市にある「玉味」という小さな割烹料理店で、北陸地方で始めてのラクーン会が開催されました。出席者は、奇しくも同期、1999年ラクーンの周海燕さんと李鋼哲さんご夫妻、今西常務理事と富山大学(旧高岡短期大学)で漆工芸を専攻する今西明日香の5名でした。明日香の卒業制作展を見るために富山に来たので、蟹と日本酒でラクーン会を開きましょうというころになり、富山の病院でインターンをしていた周さんが、ご主人の懇意のお店をアレンジしてくださいました。(ありがとう!)

    周さんは、中国の伝統医学(漢方)を西洋医学の現場で応用したいという強い意志を着々と実現しています。医科歯科大学で博士号を取得後、東海大学医学部へ学士入学して卒業し、日本国の医師免許国家試験をパスして富山で研修をしているところで、4月からはいよいよ金沢大学付属病院で内科医として勤務が始まります。

    李鋼哲さんは、昨年の10月から金沢にある北陸大学の法文学部に教授として赴任しました。ここは、中国の大学とツイニングプログラムを始めた先駆的な学部で、800人の学生のうち600人が中国人留学生ということです。中国人留学生は、2年間母校で日本語を勉強した後、2年間北陸大学で法律を勉強し、4年で両方の大学の学位をとることができます。大学の生き残りをかけて学生数の確保をしている私立大学が、優秀な留学生を呼ぶために有効な方法として、アジアやオセアニアの大学で採用されている方法です。李さんのお話によると、確かに中国のかなり優秀な大学から生徒が来ているようで、日本語のレベルは問題にならないようです。問題は、授業の中身のようで、日本人学生は中国の法律、社会について何も知らない。中国人留学生には、三権分立のようなごく基本のところから教えなければいけない。かといって、中国人と日本人の学生を別々に教育したら、彼らが留学している意味、日本が留学生を受け入れている意味がなくなってしまう。どのような授業をすれば、日本人学生も中国人留学生も満足できるのかが課題である、ということでした。たとえ学生数の確保に成功しても、グローバルな大競争の中の大学改革はまだまだ続くようです。

    文責:今西淳子

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  • 渥美財団2007年新年会

    2007年1月13日(土)正午〜3時、恒例の渥美財団新年会が開催され、今年度 奨学金受給者とラクーン会会員と家族約40名が、渥美財団ホールに集まりました。 お雑煮や、おしるこや、おせち料理や、焼き鳥、そしてナリン様のスリランカ料理な ど、様々なお料理はもとより、寒い天気のなかで上着まで脱いで作ったお餅の味は格 別でした。

    食事前に、参加者が渥美財団ホールに立ち並んで胡秀英様から太極拳を学びました! 健康には美味しい料理も必要ですが、適当な運動も欠かせないものでしょう!

    最後には、ビンゴゲーム! おもちゃをもらって喜ぶ子供たち、島津様の奥様が編ん だマフラーをもらって子供のように喜ぶシムチュンキャト様!

    4人揃って参加した私の家族が貰った賞品が、誰より多かったのはあたりまえでし た。2回行われたビンゴで1回しか当たらなかった李成日様、“ごめんね!来年には 家族を連れてきて、いっぱいもらってね!”

    まさしく、美味しいお料理、運動、楽しいゲームが三位一体になった新年会でした。 帰る途中、両手におもちゃをもっている息子と娘にたずねてみました。 “来年またくる?” すると、二人そろって大きい声で、 “うん!” 皆さん、来年の新年会には家族揃って参加しましょ!

    文責:禹 成勲 (2006 Raccoon)

    写真は下記URLからご覧ください。

    http://www.aisf.or.jp/photos/index.php?spgmGal=New_Year_2007/export

  • ■「ミニラクーン会in北京」孫 建軍(2002年度ラクーン)

    去る12月10日、第5回中国社会言語学会に出席していた包聯群さん(2005年度ラクーン)を歓迎するため、真冬の北京でミニラクーン会を開催しました。ホストは北京在住の朴貞姫さん(2003年度ラクーン)と私でした。この学会は、13カ国からの総勢200名以上の参加者のうち、日本からたった一名の代表として、包さんは今大会の国際色を豊かにするのに大きく貢献したようです。同大会に私も参加しましたが、二人は初対面ながら、シンポをよそに、おしゃべりに花を咲かせました。大会参加者リストに「朴貞姫」という名前があったため、海外の学会にラクーンが3名も参加するのは珍しいと喜んでいたところ、同姓同名の別人でした。包さんの宿泊先は開催校の北京大学ではなく、他の参加者と一緒にバスで移動しなければならないため、ミニラクーン会は大会の打ち上げパーティに便乗しました。

    ■「ありがとうございました」包 聯群(2005ラクーン)

    孫さん、朴さんとお会いできて、とても嬉しかったのです。二人ともわざわざお時間を作ってくださって、どうも有難うございました。いろいろ面白いお話を聞かせていただきました。間まもなく卒業する私にとって、中国の大学の情報を多く教えてくださいまして、とてもありがたく思っています。初日の開幕式の休憩中に、孫さんとお互いに探しあいました。孫さんはマイクでアナウンスして私を探したそうですが、私は名札で孫さんを探していました。はじめて会ったのに、まったくそのように感じられず、「渥美奨学生」という目に見えない糸が私たちを強く繋がっていることを感じました。

    今回の『中国社会言語学学会/国際会議、および全国社会言語学学会』は、発表者だけでも225名におよび、中国全土から参加者が集まった大規模な会議でした。多くの国際学会で発表してきた私ですが、今回は、中国に行く前に大変緊張しました。というのも、日本からの参加者は、私が一人だけだったのです。日本を代表する責任を感じて、パワーポイントの発表ですが、レジュメも周到に用意しました。しかし、私が所属した少数民族言語と文化のグループでは、台湾からの参加者の一人がレジュメを用意した以外、配布資料はありませんでした。別のグループにも参加してみましたが同様でした。日本で行なわれる中国語学会、および社会言語学学会では、論文集を事前に用意している場合を除き、レジュメを配るのがあたりまえになっています。中国の学会では少し違うようです。

    ちょうど同じ時に、北京大学でモンゴル国の詩人ナズクドルジを記念する国際会議も開催していましたが、10日の午前中だけ顔をだして、午後は、本会議戻ってきました。さまざまな会議が同時にたくさん開催されるのが北京大学の特徴とも言えるでしょう。

    今回の発表はよかったと思っています。たくさんの先輩たちとお会いすることができました。中国社会科学院の周慶生先生には「言語接触に関する本を出版するが、論文を投稿しないか」と誘われ、とてもよい機会だと思いました。

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  • 2007年度渥美奨学生が決定しました!

    氏名 国籍 大学 専門分野
    アブドシュクル・メジテ 中国(ウィグル) 東京医科大学 外科学
    ・ 彩鳳 台湾 東京大学 地域文化研究
    ケ 飛 中国 東京大学 先端エネルギー学
    ガンバガナ 中国(内モンゴル) 東京外国語大学 地域文化研究
    金 玟淑 韓国 早稲田大学 建築学
    李 垠庚 韓国 東京大学 地域文化研究
    朴 昭R 韓国 東京大学 文化資源学
    ポラス・ロハス・オスカル コスタリカ 東京海洋大学 応用環境システム学
    権 明愛 中国 日本社会事業大学 社会福祉学
    シュラトフ・ヤロスラブ ロシア 慶応義塾大学 政治学
    王 剣宏 中国 早稲田大学 建設工学
    顔 海念 中国 東京大学 国際保健学

     

  • 「ミニラクーン会@沖縄2006」報告

    2006年の奨学生胡秀英さんは沖縄県立看護大学で開催される日本民族衛生学会に出席および報告のため、先日沖縄に訪れました。2回目の沖縄の訪問でした。11月10日に学会会場周辺のレストランで昼食会を行いました。互いに初めてお会いするのですが、古い友人のようによくお話しました。日本での留学生活や日中関係悪化による影響、百年前の中国人留学生の日本観と今日のそれとの違いなどについて率直に語り合いました。二人だけではもったいないほど興味深い内容で、もっと多くの人と共有できたらと感じました。また、3時間の交流でしたが、あっという間に過ぎ、有意義な時間を過ごすことが出来ました。

    文責:林泉忠

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  • 栃木県で出会った自然とMORIMORIネットワーク

    3人のラクーンは、渥美財団の今西淳子代表とともに10月28日に栃木県で開催された MORIMORIネットワークの山縣睦子氏企画「彩の森の植樹祭」に参加し、自然との触れ 合いの機会を得た。矢坂ICから車で30分の場所に位置する、この企画が実施された 山縣氏の農場は、入り口正面に2階建ての洋館(山縣有朋記念館)があり、すばらし い眺めを楽しむことができる。また、その洋館では山縣有朋の遺品、像、貴重なセラ ミックのコレクションが展示されている。しかし、山縣農場の素晴らしさは農場の散 策にある。

    私たちは、10時半に行われる植樹のイベントの時間を逃してしまった。今西さん、于 暁飛さん(2002年ラクーン)、ブレンダ・テネグラ(2005年ラクーン)は午前8時に東 京の飯田橋駅を出発したが、道中で1時間ほど交通渋滞に遭遇し、偶然にも李済宇さ ん(2004年ラクーン)一家も同じ状況にあった。しかし、悪いことばかりではなく、 この日は素晴らしい天気に恵まれた。農場に到着後、私たちはラカ(今西さんの犬) とともに松並木の散策を楽しみ、新鮮な空気を体に吸い込んだ。ラカは、グレート デーンの大きな体、愛らしい表情でいつものようにイベント参加者の注目を集めた。 ラカはすぐに全員の「愛犬」となった。

    イベントのハイライトの1つは、日本における優れたチェーンソー芸術家のひとりで ある城所啓二(きどころ・氏によるチェーンソー芸術の実演であった。城所氏は、そ の高い技能と素早い動きを見せ、見物者を驚かせた。彼は、その日のうちに200ポン ドぐらいの重さのある杉の丸太から三点の彫刻を作り上げた!

    昼食は、MORIMORI Networkメンバーにご準備いただき、地元で栽培された野菜や果物 を味わった。ここではローストビーフを含めさまざまな料理と飲み物が出され、豪華 な食事を楽しんだ。食事をしながら交流会が始まり、参加者一人ひとりが自己紹介を し、昼食はにぎやかで素晴らしい時間となった。

    東京への帰路は、交通渋滞に巻き込まれることもなくスムーズだった!途中で今西さ んに代わって于暁飛さんが運転し、私たちは道中を楽しみながら東京にたどり着くこ とができた。なんと心安らぐ日!

    文責:ブレンダ・テネグラ

    李済宇さんが写した写真は下記URLからご覧ください。

    http://www.aisf.or.jp/photos/

  • 渥美奨学生の集い2006

    「渥美奨学生の集い2006」は、2006年10月2日(月)午後6時に渥美財団ホールで開 催された。参加者は2006年度奨学生、元奨学生、財団役員(理事、評議員、選考委 員)など計34名であった。今年は三井物産戦略研究所所長の寺島実郎先生から「21世 紀、日本の進路」について講演をしていただいた。講演後には参加者全員の親睦会が 行われた。参加者全員にとって、非常に有意義で楽しい集いであった。

    前半の講演会については、今年は非常に興味深いテーマであった。三井物産(株)、 三井物産戦略研究所などで30数年間の経験を持つ寺島実郎先生は、経済問題からテー マに入られ、数多くのデータを出されながら世界の潮流を分析され、最後に21世紀の 日本が歩むべき道を指摘された。

    1990年代に入ってからのここ15年間、大きく2つの変化があった。1つは日本の貿易 構造の変化(1990年と2005年の比較。輸出:対アメリカは32%から23%に下がり、対ア ジアは逆に31%から48%に上がった。輸入:対アメリカは22%から12%に減り、対アジ アは29%から45%に増えた)である。もう1つは、太平洋側港湾の空洞化(2004年世界 港湾ランキング1位香港、2位シンガポール、3位上海、4位深?…20位東京)などの現 象に引き起こされた貿易構造のアジア・大中華圏への比重移動及びこのアジアシフト の貿易構造に伴う物流の変化である。この2つの変化により、21世紀の日本は確実に アジアに依存するようになったと先生はお話くださった。

    そこで、「21世紀の日本の国際的役割」(=日本の進路)について、先生は2つ指摘 された。「1つは同盟国アメリカをアジアから孤立させない役割であり、多様な価値 を許容する国際社会の建設的関与者になるように米国を支援すること」、「2つは中 国を国際社会の責任ある参画者に引き入れる役割であり、環境問題から知的財産権問 題までこの国を国際ルールやシステムに責任を持って関与する国になることを支援す ることである。」と述べられた。

    質疑応答では「アジア外交の鍵となっている首相の靖国参拝」と「愛国心教育」につ いて質問があった。先生は、前者については、小泉外交の「近隣諸国に言われたくな い」「アメリカにくっつく」というやり方による「近隣との信頼関係の欠如」が「日 本の国際関係の最大の弱点」だと指摘されて、「米国との同盟関係を大切にしつつア ジアとの重層的関係を構築する路線」の重要性と「東アジア連携の必要性と必然性」 を述べられて間接的な答えとされた。そして、愛国心教育については、先生が「1人 の大人として、若者に『国を愛すべきだ』と語るのではなく、愛するに値する国を創 ることに責任を共有せねばならない」と語られた。

    後半の懇親会では、参加者全員が乾杯の後、美味しい中華料理を楽しみながら、優し い雰囲気の中で歓談と交流を行った。約3時間の「集い」はあっという間に終わっ た。非常に楽しい一時であった。事務局の皆様はお料理を準備されたり、写真を撮っ たりしてくださって、たいへんお疲れ様でした。

    文責:臧 俐

    当日の写真は次のURLからご覧いただけます。

    http://www.aisf.or.jp/photos/

  • 韓国ラクーン会 in ソウル

    2006年10月14日夕方7時、ソウルの繁華街ミョンドン(明洞)にある韓国風 のしゃぶしゃぶのお店シンジョン(新亭)で第6回韓国ラクーン会(KSR)が開か れました。日々新しいお店がオープンする街で、珍しく40年の歴史をもつ古いお店 (改装されていますが)でした。

    長くは9連休にもなったチュソッ(秋夕;旧暦のお盆のようなもの)の連休明けで、 また、北朝鮮の核実験で大騒ぎ(韓国ではそれほどではなかったのですが)の中での ラクーン会となりました。渥美財団常任理事の今西淳子さん、金雄熙さん(96狸) 李来賛さん(KSR会長、96狸)と奥様とお嬢様、 洪京珍さん(99狸) 高熙卓 さん(00狸)鄭在皓さん(00狸) 蔡相憲さん(03狸)金賢旭さん(KRS幹 事、03狸)韓京子(05狸)の11名が集まりました。

    会では、KSRへの参加率を高めるため、「会費の負担を少なくする」「一泊ぐらい でソウル近郊に旅行しメンバーの結束力を高める」などの意見が出ました。一泊旅行 の案については、1、2回のお食事会ではお互い何を研究し、今どういうことをして いるかなどなかなか覚えられないし、家族ぐるみの交流にもしようと、参加者のみな さんも肯定的でした。人見知りをする後輩にとっては、大先輩方とお話できるいい機 会になると思います。また、忘れられていた(?)既存のインターネット上のコミュ ニティ(cafe)を活性化させようというお話もありました。

    余談ですが、あひる料理(北京ダックもどき)つながりで、マンセタン(万歳湯)と いう蛙料理の話がでました。蛙スープのことで、蛙が熱湯の中で万歳しながら息を引 き取る姿が料理名の由来だそうです。蛙さんが往生したとはとても思えないのです が、死に際に万歳を叫べるって、ちょとかっこよく思えたりもしました。

    思い残すことなく人生エンジョイしようと思った韓国ラクーン会でした。

    文責:韓京子

    当日の写真はここからご覧ください。.

  • 2007年度渥美奨学生募集状況

    2007年度渥美奨学生募集は2006年9月29日をもって締め切りました。今年 は、20ヶ国/地域、37大学からの、142名の方にご応募いただきました。今 後、予備書類選考・予備面接・選考会を経て12名の採択者が決定されます。選考結 果 は12月初旬に発表されます。 詳細は次の図をご覧ください。

    by Junko Imanishi

    大学別応募状況

    国別応募状況

  • 今年の軽井沢はラッキーだった!

    記録的な大雨で日本列島各地で憂鬱なニュースばかりが聞こえてくる中、2006年度の 渥美財団軽井沢レクリエーション旅行が開催されました。新幹線に身を乗せて走るこ と1時間半。軽井沢にも雨は降り続いていました。駅まで私たちを迎えにきてくだ さった今西さん(渥美財団代表)によると、現役奨学生とラクーンたちが交流する軽 井沢旅行が1995年に始まって以来、雨天で予定が変更されるのは今回が初めてと のことでした。予定されていた離山へのハイキングがキャンセルになったのでした。 そのかわり、私たちは昼食をとった後、駅周辺にあるショッピングセンターで自由に 買い物などをしながら軽井沢との初対面を楽しみました。

    3日間私たちがお世話になる研修センターに旅装を解いた後、理事長を囲んでのオリ エンテーションでは、マキトさん(1995年ラクーン)がパワーポイントを使って作ら れた可愛らしい資料を見ながら、ヴォヴォとラカに軽井沢のバーチャル旅行を案内し てもらいました。続々家族連れのラクーンたちが研修センターに集まってくるなか、 いつの間にか空も晴れていき、やがて雨も止んできました。おかげで、半分あきらめ ていた花火とスイカ割りも無事終了。子供たちはもちろんのこと、大人たちもみんな 童心に返って夏夜の情緒をたっぷり満喫しました。

    午後8時半から、研修センター会議室で軽井沢セミナーが開かれました。最近焦眉の 関心事になっている北朝鮮問題について、李鋼哲さん(1999年ラクーン)と今年度奨 学生の李成日さんが、時には真剣に、時にはユーモアを交えて、分かりやすく説明し て下さいました。フロアーからの質疑と議論も活発で、それこそ「地球村」という想 像の共同体が具現された貴重な場になれたのではないかと、感心したものです。セミ ナーの延長としての飲み会は深夜の2時まで賑やかでした。

    2日目の朝には、晴れきった青空と澄み切った森の空気が狸たちを目覚ましてくれま した。きのうまで雨が一ヶ月間も止まずに降り続いていたというのに。「奇跡」とは こういう時に使う言葉でしょうか。午後の2時からは「第24回SGRAフォーラム in軽井沢」が、夕食会を挟んで9時まで行われました。「ごみ処理と国境を越える資 源循環」をテーマにした今回のフォーラムは、すぐれた自然に囲まれて心身ともに満 足感が味わえる軽井沢で開かれたからこそ、環境の大事さをつくづく考えさせるもの がありました。フォーラムで議論された先生かたがたの貴重なお話とその時の写真は 次のサイトをご覧下さい。 http://www.aisf.or.jp/sgra/

    軽井沢で迎えた最後の日は、理事長の別荘で、2006年度の狸たちが料理の腕を競 うバーベキュー・パーティーがありました。ナリンさんご夫妻とシャミラさんご夫妻 が料理してくださったスリランカ本場のカレーは、スパイシーでヘルシー。胡秀英さ んが渾身の力をふりしぼって料理してくださった辛くて美味しい四川料理の数々は、 三国志の舞台にもなった蜀の国(古代の四川)、劉備と諸葛孔明を熱く語らいながら 食べると、旨味は倍増でした。韓国出身と中国出身と台湾出身の狸たちが肩を並べて 焼いてくださった牛・羊・鶏肉のバーベキュー、李鋼哲さんご夫妻の延辺・韓国料 理、そして恒例の原嘉男(鹿島美術財団常務理事)ご夫妻のおでん屋さんは、今年も 大好評でした。団体写真の撮影を最後に、3日間の充実した日程も幕を閉じました。

    悪天候が好天に変わった、奇跡とラッキーな日々。森や水から放出する「気」のパ ワーは、ふだん左脳の使い過ぎでバランス感覚が失われていたはずの私たちの右脳を じゅうぶん活性化してくれたことでしょう。理事長以下、財団の各先生から施してい ただいたご厚意とご配慮に、この場を借りて改めて感謝を申し上げたと思います。

    文責:玄承洙

    谷原さんと足立さんが撮ってくださった写真は、下記URLよりご覧いただけます。

    http://www.aisf.or.jp/photos/index.php?spgmGal=Karuizawa_2006_by_Adachi

    http://www.aisf.or.jp/photos/index.php?spgmGal=Karuizawa_2006_by_Tanihara

     

  • ゴールデンウィークの中国旅行記

    もう既に2ヶ月が過ぎてしまいましたが、5月の連休に香港、広州、西安、ウルムチで、ラクーンの皆さんに大変お世話になりましたので、ご報告します。

    CISVという私の所属するボランティア組織が、今年の7月に子供の国際キャンプを開催するために、アジア太平洋地域コーディネーターの私は、しはしば広州へ行くのですが、今回は昨年9月から香港中文大学医学部に勤務されている叶盛さん(04狸)を訪ねて香港からはいりました。香港空港は毎年のように通りますが、市内に宿泊したのは久しぶり。空港には、叶さんが、将来の奥さんと一緒に迎えに来てくださいました。市内の瀟洒なホテルに荷物を置いてから、さっそく地下鉄で叶さんの研究室のあるPrince of Wales病院へ行きました。そこで、日本留学を希望している南アフリカから帰ってきた日本語がぺらぺらの香港人の同僚と合流し、市内のレストランへ。日本語と広東語と標準中国語と英語がごちゃまぜの夕食会になりました。香港や広州では、広東語が話せないと、今でもかなり不便なことが多いようです。久しぶりの香港は、とても便利で、活気があって、しかも何でもできそうで、住みやすそうに見えました。

    広州では、CISVの打ち合わせや、会員家族の集まりがあって時間が限られていたのですが、キャンプサイトの学校と、広州中医薬大学の奇錦峰さん(01狸)の「会社」が近いので、近くの公園へ連れて行っていただき、木陰で烏龍茶を飲みながらおしゃべりしました。まわりでは、おじいちゃんやおばあちゃん、子供たちも一緒の家族連れが食事をしていたり、トランプに興じている男性グループがいたり、大勢の人々が休日の午後をゆったりと過ごしていました。5月というのに、蝉が公園中で鳴いていました。

    CISVで一緒のポルトガル人が、「中国へ行くなら兵馬俑を見たい」というので、おつきあいして西安に行きました。高偉俊さん(95狸)からご紹介いただいた、西安交通大学の周典先生と、わざわざ山東省から12時間ドライブしてきてくださった、貿易会社の中国側社長さんもしているバイオリン演奏家の王旦さん(99狸)が、弟さんやお友達と一緒に賑やかに案内してくださいました。王さんは、9月から西安音楽大学でバイオリンを教えることになったそうです。旅行ブームの中国でもゴールデンウィークですから、古都西安は観光客が溢れていて、兵馬俑や大雁塔は人、人、人、人・・・・この大人数をさばいてしまうのが、さすが中国。兵馬俑は3回めでした。博物館自体はそんなに変わらないけど、西安から高速道路が続き、昔は一面の綿花畑だったところは、今はすっかり町になっていました。

    西安で今流行している「農民レストラン」に行きました。郊外にあって、農民が自分の家でレストランをしており、民宿もあるとか。野菜の家庭料理が多くて安くて美味しい。大学と研究所の多い学術都市である西安の人々が、郊外の農村で週末を過ごすのを愉しむというのは、さすが文士の国だと思いました。何でも、政府は農地を森林にする開発(?)計画を進めており、畑のなくなった農民たちが、このエコツーリズムの担い手になっているのだそうです。西安のど真ん中には、唐時代の町を再現したテーマパークができたり、郊外に巨大な温室の中のレストランがあったり、都市の中産階級と中国全土から集まる観光客を対象にした新しい娯楽施設がどんどん建設されているという印象を受けました。

    華やかで人の溢れる西安から、アブリズさん(02狸)を訪ねてウルムチへ飛びました。西安まで行くのだから、もう一足延ばして新疆までと思ったのですが、実は西安→ウルムチの方が西安→香港よりも遠い。ウルムチの空港には、アブリズさんが奥様と一緒に迎えに来てくださり、市内のホテルまで送ってくださいました。中国の他の都市で漢字とアルファベットだった道路標識は、ここでは漢字とアラビア文字のウィグル語。ウィグル時間は北京時間より2時間遅らせますが、私の宿泊した漢民族の経営するホテルでは標準語と北京時間が使われています。そして、一番大変だったのは、英語が殆ど通じないこと。結果として、アブリズさんにほぼ100%通訳をお願いすることになってしまいました。

    2日めは、トゥールファンへ沙漠をドライブしました。香港から西安まで真夏の暑さだったのに、ウルムチへ着いた時は上着が必要なくらい、そして、この朝、風車の林(?)で写真撮影のために降りた時は、コートが必要なほどでした。そこから2時間あまり下ったトゥールファンは再び真夏。孫悟空が通った火焔山のある沙漠の中のオアシスです。2千年以上前から天山山脈の雪解け水を地下で流す灌漑設備(カレズ)があり、町中が葡萄畑でした。葡萄の収穫期は7月〜11月ということで、今回は一粒も食べられませんでしたが、とても甘くて世界的に有名だそうです。干しぶどうや葡萄酒にして出荷されていますが、フレッシュな新疆のぶどうを是非食べてみたいです!

    いくつかの遺跡をまわった後、イスラエルの死海の次に標高が低い(海抜マイナス154m)塩水湖があるというので、是非そこへ行って見てみたいと思いました。観光地だと思って気楽にお願いしたのですが、それが冒険の始まりでした。何でも、いつもの道が雨で流されてしまったので、別の道で行くのだそうです。何人もの人に道を聞き、途中で村人を乗せて案内してもらったりもし、やっと湖の入り口のようなところにたどり着きました。といっても、まわりは一面の沙漠。そして車の轍が作ったがたがた道を、新疆大学のフォルクスワーゲンで走るのですが、運転手さんの運転の上手さには本当に感動しました。しかしながら、土の道は永遠に続き、水は全く見えてこない。日没も近くなり不安に思っていたら、突然電気のついた家が見えてきた。男の人がふたり立っていたので、運転手さんが道を聞きに行くと、標準中国語で教えてくれました。この家は、湖の地下にある水を使って農地を開発するための研究施設とのことでした。教えてもらったとおり、はるか遠くにある丘まで走って登りきったのですが・・・やはり見えるのは沙漠ばかり。夕日は地平線に沈もうとしており、アブリズさんも私の不安を察してくれて、湖探索は終わりました。がたがた道を引き返して舗装道路にたどり着いた時には、あたりはもう真っ暗。日本語のガイドブック「地球の歩き方」にちゃんと載っている、世界で2番目に低い湖を探したのに見つからなかったなんて信じられます?湖が見つからないんですよ。160kmの湖探しのドライブのあと、トゥールファンの町の広場で食べた羊の串焼きとビールの美味しかったこと!

    ウルムチに戻って、市内のウィグル人居住地区の中のウィグル文化の展示館に行きました。ウィグル人の住むウルムチに、近年、漢民族が多く移住していると私は考えていたのですが、どうやら漢民族あるいは混住地の中にウィグル人居住区があり、ウィグル文化を意識して残さなければならない状況になっているようです。学校教育が漢語になってしまい、ウィグル語がなくなってしまうのではないかといのが、一番身近な、しかも重大な懸案です。展示館は、展示内容も方法も、もう少し工夫したほうがいいんじゃないかなあと思うようなところでしたが、いくつかの立体地図によって新疆の地理を学ぶことができました。それでびっくりしたのは、漢民族による開発と国境警備です。沙漠には石油採掘機が並び、いくつもの兵団や工場を中心とした町が沙漠の中に点在しています。兵団とは、普段は農業をしているが、緊急時には軍隊となる、国家から給料をもらっている人たちだそうです。また、中国では、天然資源は国家のもので、地元には地方税もはいらないそうです。このような地図を、ウィグル文化の展示館で展示する意図は何なのでしょう。別の部屋では、中国茶を飲みながらウィグル族の踊りを見せてくれました。2曲目が始まったら、アブリズさんが全く踊りを見ない、しばらく我慢していたみたいだけど「さあ行きましょう」と席を立ってしまった。「これはウィグルの踊りではない。インドの踊りです。」そもそも、ウィグル文化の展示館で私についてくれた英語のできる案内人は、漢民族の女性でした。こういう仕事こそ、漢民族に比べて圧倒的に就職率が低いウィグル族のためにあるのだと思うのですが。

    4日めには、ウルムチの近郊にある森と湖の美しい景色で有名な観光地である「天池」に行きました。水の確保が一番の問題である乾燥地域の新疆に旅行して雨に会うのは「大当たり!」だとは思いますが、ウルムチでは傘が必要なほどの大雨。それが山へ登るにつれて、だんだん雪になり、雪景色の湖を鑑賞することになりました。あまりの寒さに、人民解放軍から下ろされたコートを借りました。こんな天気でもたくさんの観光客がやってきて、南中国からきた人たちは雪合戦をしたりして大はしゃぎしていました。

    3日間で一体何キロ、ドライブしたんでしょう。季節も真夏から真冬までありました。それでも、「これでは新疆の北のウルムチのまわりの小さな地域しか見ていない、もう一度来て、カシュガルや南の方へ行きなさい」と、アブリズさんのご家族やお友達に言われました。新疆は広い!

    帰国してから「ウィグルに行ってきたよ」と言うと、「え、何故教えてくれなかったの。私も行きたかったのに」という答えばかり。そのうち「SGRAフォーラムin新疆大学」を企画しますから、そうしたら是非来てくださいよ!

    文責:渥美財団常務理事 今西淳子

    香港で叶さんが撮ってくださった写真と、新疆でアブリズさんと私が撮った写真は、下記URLよりご覧いただけます。

    http://www.aisf.or.jp/photos/

     

  • ミニラクーン会 in バンコク

    2006年3月30日〜4月3日に、 国際看護学会に参加するために、タイに行ってきました。3月31日(金)午後6時より、BangkokのSilom Villageでカセサート大学のムシカシントーン・プラチャーさん(1999狸)、学会参加した同僚の辻村真由子さんと私の3人でミニラクーン会を開催しました。

    タイのダンスを観ながら楽しく食事をしましたが、異文化への適応についての重い話もしました。移民の異文化適応だけではなく、留学や帰国就職などのculture changeについてもディスカッションしました。経 験豊かなプラチャーさんの話は深かったです。私は留学生としての異文化への適応について同感でした。また、帰国後の適応についても考えさせられました。

    プラチャーさんが今年も共同研究のために日本に来るそうです。またお会いできる日を楽しみにしております。

    文責:胡秀英(2006狸:千葉大学博士課程)

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  • 第5回韓国ラクーン会(KSR)

    4月1日、ソウルで第5回韓国ラクーン会(KSR)が開かれました。15人という大人数が集まったので、大変にぎやかな会となりました。ソウル在住のメンバーは、金雄熙(06狸)、南基正(06狸)、李来賛(KSR会長、06狸)、李香哲(07狸)、羅仁淑(08狸、東京から)、高熙卓(00狸)、蔡相憲(03狸)、金賢旭(KRS幹事、03狸)、韓京子(05狸)、金香海(01狸、延辺大学より長期訪問中)と、日本から理事長と今西さんを含めご家族5人が参加して下さいました。

    皆さんの近況報告があってから、自由に会話を楽しんでいるうちに、いつものように、あっという間に3時間がすぎてしまいました。理事長からは珍しい旅行談が、今年一年間ソウルに滞在している金香海さんからは、中国での韓流の動向などが聞けました。みなさんそれぞれ面白い話題を出してくださり、とても楽しい会となりました。

    文責:金賢旭

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