SGRAワークショップ

  • 洪性珉「蓼科から地球市民を考える(第5回SGRA蓼科ワークショップ『地球市民って誰?』報告)」

    (第5回SGRA蓼科ワークショップ『地球市民って誰?』報告)   7月1日(金)朝、少し曇った天気の中、2016年度渥美奨学生たちは、新宿から蓼科へ向かった。バスで移動している途中は雨が降っていたが、諏訪に着いたらすっかり晴れていた。今回のワークショップのテーマは、「地球市民」であった。   プログラムの中でもっとも印象に残ったのは、グループワークである。参加者は4つのグループに分かれて課題を行うことになった。僕らのチームの名前は「虹の橋」と決めた。そして、与えられた課題は2つ。第1は、与えられた状況について演劇を行うこと、そして第2はより良い世界を作るために地球市民として行うべきことについてプレゼンテーションをすることである。   我がチームの演劇の内容は、グローバル企業の進出によって、ある家庭にも影響が及び、お父さんは職を失い、その代わりに子供が家庭の生計のために学校に行かず工場で働いている、という状況をどう解決すればいいのかについてである。ところで、僕が最後に演劇をやったのは何時だったのだろう。中学生、いや小学生だったかもしれない。余りにも慣れない演劇をするのは少し恥ずかしかった。幸いに、元奨学生の方々の熱演のお蔭で演劇は盛り上がり、無事に終わった。   その後、演劇の時に浮かび上がった問題点について解決策を講じ、それについてプレゼンテーションをした。課題としてポスターの制作もあったが、残念ながら僕は絵が得意ではない。ところが、チームのメンバーの中には、いいアイデアを出せる人、様々な意見をよくまとめる人、絵の演出が得意な人など、様々な人がいた。各自の長所をもって人の短所を補う作業は順調に進められた。我がチームは、「虹の橋」という名前を生かして「絶望の輪」が地球市民の活躍によって「希望の虹」に変わる様子を見せながら発表を行った。このように課題を行う中で、世界各国で起きているグローバル化に伴う問題も個々の地球市民が力を合わせれば、問題を解決できる大きな力になれることを感じた。   しかし、疑問に感じたこともない訳ではない。それは、ワークショップの最初の先生の基調講演でのことである。先生は、欧州移民研究がご専門だが、我々のためにお話の内容を東アジア地域にも広げ、地球市民について考える話題を提供してくださった。その中、日本の地球市民の例として2人の日本人を挙げられたが、その一人は東郷茂徳であった。彼は、朝鮮陶工の末裔で、本名は朴茂徳である。しかし、帝国主義の理念が高まっていた当時の日本で、彼は朴茂徳ではなく東郷茂徳を名乗ることで日本の官僚、政治家として活動することが出来た。その時代に生きていた東郷茂徳は、果たしてワークショップで議論している「地球市民」として働けたのか、それとも「帝国主義日本の官僚」としてしか働けなかったのか。私にとっては、すぐに彼が「地球市民」として働いたという結論に達することはできなかった。   もう一つは、講演の中で接した「日本人は、終戦から70年代まで在日朝鮮人以外に外国人と接する機会がなかった」ということばである。在日朝鮮人は果たして外国人であると言い切れるのか。戦前及び戦中には、朝鮮人は日本人と同じく日本の国民と看做され、戦争に動員されている。ところが、戦後になると日本はこの朝鮮人を排除する論理で、外国人として扱ったのである。言い換えれば、在日朝鮮人という存在は、帝国主義日本の「負の遺産」であり、その問題は未だに進行形でもある。上記のことばにはその問題についての意識が充分読み取れないように思う。この問題について認識せず、排除する論理を踏襲したまま「地球市民」について議論を進めても、どれほど有意義な議論を導きだせるのだろうか。以上が私の疑問であった。   一方、ワークショップの他に印象に残ったことも多い。例えば、ご飯が美味しかったことが挙げられる。朝ご飯も、懇親会のバイキングも全て美味しかった。朝ご飯を食べるときは、勿論おかずも美味しかったが、特にご飯が美味しかったので、いつもご飯のお代わりを2~3回もした。バイキングの時に食べた料理の中では、蕎麦が最も印象に残った。程よく歯応えのある麺に汁が絡むと蕎麦の風味が増す。さすが信州の蕎麦は旨いと感じた。   そして、7月3日(日)には全てのプログラムが終わり、東京に戻ることになった。東京は、この3日間の間にだいぶ蒸し暑くなっていた。そして、私たちはその暑さの中に入り、各々の日常に戻った。   蓼科ワークショップの写真   <洪 性珉(ホン・ソンミン)Hong Sungmin> 2016年度渥美奨学生。2012年4月に早稲田大学文学研究科東洋史学専攻に入学、現在は博士論文を執筆中。専門は東洋史、特に遼宋関係史を中心に東アジアの歴史を研究している。     2016年9月22日配信
  • 第5回SGRAワークショップin蓼科「地球市民って誰?」へのお誘い

    SGRAでは会員を対象としたワークショップを下記の通り行います。 参加ご希望の方は、SGRA事務局へご連絡ください。   テーマ: 「地球市民って誰?」   日 時: 2016年7月2日(土)午前9時30分 ~ 3日(日)午後1時 現地集合( 東京商工会議所 蓼科フォーラム にて受付) *1日(金)朝新宿発の貸切バスもありますので、お問い合わせください。 参加費: 5000円(食費、宿泊費(相部屋)を含む) 申し込み・問い合わせ:SGRA事務局     sgra-office@aisf.or.jp   ワークショップの趣旨:   SGRAでは、2013年より蓼科でワークショップを開催しています。2013年は「原発を考える」、2014年は「人を幸せにする科学とは」、2015年は「知の空間を創る」というように、答えだすことを目的としないテーマについて、小グループのディスカッションや参加型のアクティビティーを通して、参加者全員で考えるプログラムです。 「良き地球市民の実現」はSGRAの目標であり、設立当初よりその概念について検討を重ねてきましたが、近年、SGRAの中でも議論をする機会が減り、また社会的にも以前より実現が困難になってきたのではないかという懸念が強くなっている今、あらためて考えてみたいと思います。 今回のワークショップでは、欧州移民研究の第一人者でいらっしゃる宮島喬先生(お茶の水女子大学名誉教授)のお話を伺い、その後、ディスカッションやアクティビティーを通じて、「地球市民とは誰か」を一緒に考えてみたいと思います。   プログラム   7月2 日(土)(於:東商蓼科フォーラム) 9:30~12:00 「知の空間を創る」+グループ分け ・宮島喬先生のご講演と質疑応答 12:00~13:30  昼食 13:30~15:00 ゲーム感覚のグループワーク 15:00~15:30  休憩 15:30~17:00 グループワーク、ディスカッション 7月3日(日) 9:30~12:00 発表・まとめとふりかえり
  • 第4 回SGRAワークショップin蓼科へのお誘い

    SGRAでは会員を対象としたワークショップを下記の通り行います。参加ご希望の方は、SGRA事務局へご連絡ください。   テーマ: 「<知の空間>を創る」   日 時: 2015年7月4日(土)午前9時30分 ~ 5日(日)午後1時   集 合: 現地集合( 東京商工会議所 蓼科フォーラム にて受付) 参加費: 5000円(食費、宿泊費(相部屋)を含む)申し込み・問い合わせ:SGRA事務局     sgra-office@aisf.or.jp   ワークショップの趣旨:   SGRAでは、7月18日(土)にSGRAフォーラム「日本研究の新しいパラダイムを求めて」を開催します。このフォーラムでは、東アジアの日本研究の第一線で活躍する研究者が一堂に集まり、日本研究の成果を「アジアの公共知」を目指して、新しい日本研究ネットワーク(「知の空間」)の創造に向けた基盤づくりについてのディスカッションを行います。「知の空間」とは、極めて抽象的な概念です。また、非常に主観的、個人的なものであるともいえるでしょう。皆さんは「知の空間」についてどのようなイメージをお持ちでしょうか?「知の空間」は知の共有と交流により生まれる、また、知の生産と流通、消費によって生まれるとも言えるでしょう。一方で、現代のインターネットの時代にあって「知の空間」は無限大に広がるものかも知れません。今回のワークショップでは、講師のレクチャー、様々なキーワード、研究経験などを踏まえて、「あなたにとっての『知の空間』」のイメージを語り共に考えたいと思います。   プログラム   7月4 日(土)(於:東商蓼科フォーラム)9:30~12:00 「知の空間を創る」+グループ分け・講演—「日本研究ネットワークと『知の空間』の構築に向けて」(仮題)(劉 傑)・講演−「知的交流から生まれる『知の空間』」(仮題)(茶野純一)12:00~13:30  昼食13:30~15:00 ゲーム感覚のグループワーク15:00~15:30  休憩15:30~17:00 グループワーク、ディスカッション 7月5日(日)9:30~12:00 発表・まとめとふりかえり9:30~12:00 発表・まとめとふりかえり  
  • 金 兌希「第3回SGRAワークショップin蓼科『ひとを幸せにする科学技術とは』報告」

    渥美国際交流財団2014年度蓼科旅行・第3回SGRAワークショップin蓼科は、2014年7月4日(金)から6日(日)の週末に行われました。ワークショップでは、「『ひとを幸せにする科学技術』とは」をテーマに、講演やグループディスカッションなどが行われました。   7月4日の早朝、現役・元渥美奨学生らを中心とした約40人の参加者は新宿センタービルに集合し、貸切バスで蓼科高原チェルトの森へ向かいました。旅路の途中、SUWAガラスの里ではガラス工芸品の鑑賞を、諏訪大社上社本宮ではお参りをしました。渋滞に巻き込まれることもなく、予定通り16時過ぎにはチェルトの森にある蓼科フォーラムに到着しました。チェルトの森の自然は素晴らしく、空気がとても澄んでいて、自然に心と体が休まっていくのを感じました。   夕食後、オリエンテーションとアイスブレーキングが行われました。アイスブレーキングでは、それぞれの趣味や家族構成などの簡単な紹介から、自分のこれまでの人生のモチベーショングラフを作成し説明し合うなど、短いながらも密度の濃い交流時間を持ちました。普段の会話では話すことがあまりないような、それぞれの人生や価値観などについても垣間見ることができるような時間でした。   7月5日、朝から本格的なワークショップが開催されました。ワークショップは、大きく分けて、講演とグループディスカッションで構成されました。   最初に、立命館大学名誉教授のモンテ・カセム先生による講演、「次世代のダ・ヴィンチを目指せ―地球規模の諸問題を克服するための科学技術イノベーションに向けて―」が行われました。カセム先生は、専門も多岐に亘るだけでなく、大学や国連など、様々な領域で活躍されてきた経歴をお持ちで、講演内容にも多くのメッセージが含まれていました。その中でも、先生が強調されたのは、学際的なコミュニティーで行われる「共同」作業が生み出すイノベーションが持ち得る大きな可能性でした。先生は、そのような共同作業が生み出す、新たなものを創造していくエネルギーを、ルネサンスを築いたダ・ヴィンチに見たて、現代の諸問題を克服していくために有用に活用すべきだと力説されました。講演の中では、その実例として、カセム先生自身の京都とスリランカのお茶プロジェクトの取り組みについての紹介などがありました。さらに、そのようなイノベーションを達成するには、個々人の専門をしっかりと持つこと、そしてネットワーク、コミュニケーション等が重要であると説明されました。講義の後には、活発な質疑応答も行われ、講演に対する高い関心が窺われました。   午後のワークショップは、参加者を6つのグループに分けて進められました。最初に、いくつかの代表的な科学技術を象徴する製品の落札ゲームが行われました。各グループには、仮想のお金が与えられ、その中で自分たちが欲しいと思う製品に呼び値を付け、落札するというものです。その過程で、なぜその製品(科学技術)が重要であるのか、各グループで議論し考える時間が持てました。   次に行ったのは、グループディスカッションでした。全てのグループに、人が幸せになるためのイノベイティブな科学製品を考案するという課題が出されました。グループごとに人の幸せとは何なのか、その幸せを促進できる科学技術はどのようなものなのか、議論が行われ、模造紙に科学製品を描いてまとめる作業をしました。   7月6日の最終日には、各グループが考案した製品を発表する時間を持ちました。それぞれのチームから、とてもユニークなアイディア製品が紹介されました。具体的には、瞬時に言語に関係なくコミュニケーションを可能にするノートパッド、インターネットを利用した全世界医療ネットワークシステム、人型お助けロボット(オトモ)、健康管理から睡眠時間を効率的に調節できるなどの機能を持った多機能カプセルベッド(ダビンチベッド)、地域コミュニティー再生のための技術などが提案されました。各チームが考案した製品は、医療格差、介護、社会の分断化など、現代社会が直面している諸問題を反映し、それに対するユニークな解決策を提示していました。   各グル―プが発表を行った後は、エコ、利潤性、夢がある、の3つの基準をもとに、参加者全員による評価が行われました。その中で、総合的に最も高い評価を得たものが、コミュニティー再生のための科学技術を提案したグループでした。このグループは、希薄化されている地域コミュニティーの再生こそが人の幸せに繋がると考え、個人の利便性ばかり追求するのではなく、コミュニティーの再生に目を向けるべきだという主張を行いました。科学技術そのものよりも、地域コミュニティーの再生を謳ったグループが最も多くの支持を得たことは、とても興味深い結果でした。参加者の多くが、コミュニティーの喪失を現代における大きな問題点だと認識しているということがわかりました。   最後に、全員が一人ずつ感想を述べる時間を持ちました。参加者からは、多様な専門分野や背景を持った人々との議論が面白く、勉強になったという意見が多く挙がりました。個人が各々の専門をしっかりと持ちながら、学際的なコミュニティーの中で問題の解決に取り組むときこそイノベイティブなことができるという、カセム先生の講演を今一度考えさせられました。   ワークショップを終えた後は、ブッフェ形式の昼食をとり、帰路につきました。帰路の途中に、蓼科自由農園で買い物をし、予定通り19:00頃には新宿駅に着きました。   今回のワークショップは、全ての参加者が積極的に参加できるような細かなプログラムが用意されていたため、短時間で参加者同士の密接なコミュニケーションを図ることができました。また、蓼科チェルトの森の素晴らしい自然も参加者の心をより開放する一助となりました。今回のワークショップでできたコミュニティーやその経験は、今後の学際的な、そしてイノベイティブな活動を行うエネルギーへと繋がっていくことと思います。   ワークショップの写真   ------------------------------------ <金兌希(きむ・てひ)Taehee Kim> 政治過程論、政治意識論専攻。延世大学外交政治学科卒業、慶應義塾大学にて修士号を取得し、同大学後期博士課程在学中。2014年度渥美財団奨学生。政治システムや政治環境などの要因が市民の民主主義に対する意識、政治参加に与える影響について博士論文を執筆中 ------------------------------------     2014年9月24日配信
  • 第3回SGRAワークショップ「人を幸せにする科学とは」へのお誘い

    SGRAでは会員を対象としたワークショップを下記の通り行います。 参加ご希望の方は、SGRA事務局へご連絡ください。   テーマ: 「人を幸せにする科学とは」 日 時: 2014年7月5日(土)~6日(日) 集 合: 7月5日(土)午前9時 東京商工会議所 蓼科フォーラムにて受付   参加費: 5000円(食費、宿泊費(相部屋)を含む)   *ラクーン会員の方には補助がありますので事務局へお問い合わせください 募集人数: 先着20名(渥美奨学生を含む全参加者数は約40名になります) 募集締め切り:2014年6月20日(ただし定員になり次第募集を締め切ります) 申し込み・問い合わせ:SGRA事務局(sgra-office@aisf.or.jp)   ワークショップの趣旨:   SGRAでは、福島原発事故を契機にして飯舘村スタディーツアーやSGRAワークショップ、そして5月31日にはSGRAフォーラム「科学技術とリスク社会」を開催してきました。そこから浮かび上がってきたのが「現代の科学技術は、ひとを幸せにしているのか?」という問いかけでした。今回のSGRAワークショップin蓼科では「ひとを幸せにする科学技術」をテーマとして、科学技術の発展と人の幸せについて、ひとりひとりが自分のこととして考える機会をもちたいと思います。プログラムではモンテ・カセム先生の講演に続き、グループゲームなどを行いながら「楽しく、しかし深く」語り合いたいと思います。   プログラム   7月5 日(土)(於:東商蓼科フォーラム) 9:30~12:00 講演+グループ分け ・講演 「次世代のダ・ヴィンチを目指せ」  -地球規模の諸問題を克服するための科学技術イノベーションに向けてー モンテ・カセム先生(立命館大学名誉教授/立命館国際平和ミュージアム館長) 12:00~13:30 昼食 13:30~15:00 ビデオ+小グループディスカッション 15:00~15:30 休憩 15:30~17:00 小グループディスカッション 7月6日(日) 9:30~12:00 発表・まとめとふりかえり   《講師紹介》 モンテ・カセム先生(環境科学、イノベーション論) スリランカ出身、東京大学工学研究科博士課程修了(建築学/都市計画)、国連地域開発センター等を経て、立命館大学教授、立命館アジア太平洋大学学長、立命館副総長(国際担当)等を歴任   皆様のご参加をお待ちしています。