SGRAプロジェクト

  • 張桂娥「第8回日台アジア未来フォーラム『グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新たな可能性』報告<その1>」

    2011年5月から8年連続の開催となる「日台アジア未来フォーラム」とは、「渥美国際交流財団関口グローバル研究会」(SGRA)主催の国際研究交流会議であり、台湾ラクーン(渥美財団の支援を受けた元奨学生)が中心となって活動している知日派外国人研究者の研究ネットワークである。本フォーラムでは、主にアジアにおける言語、文化、文学、教育、法律、歴史、社会、地域交流などの議題を取り上げ、若手研究者の育成を通じて、日台の学術交流を促進し、日本研究の深化を目的とすると同時に、若者が夢と希望を持てるアジアの未来を考えることを、その設立の趣旨としている。   グローバル化したマンガ・アニメ文化は、視覚芸術を極めた魅惑的なワールドを築き、世界中の若者を虜にした。非日常な世界に魅了された視聴者にとって、マンガ・アニメは、まさに自己と他者ないし世界を理解するための媒介である。サブカルチャーだったマンガ・アニメ文化は、一国の経済成長に大きな影響を与えるメインカルチャーに転換していき、我々現代人のライフスタイルをダイナミックに変えるソフトパワーの源でもある。   台湾では近年、マンガを通して各国の文化・社会への理解を深める教養講座が相次いで開設されている。東呉大学日本語学科は、コミックス蔵書を楽しむ「マンガ読書エリア」を開設した東呉大学図書館と協力して、マンガ・アニメ文化の可能性を探究する学術シンポジウムを開催してきた。他大学に先駆けて、マンガ・アニメ文化研究の最前線に立って、アカデミックな研究の未来を見据え、その可能性をさらに切り拓こうとしている。   第8回日台アジア未来フォーラム「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新たな可能性」は、世界の若者を魅了したマンガ・アニメのソフトパワーの真骨頂を解明しようとする台湾東呉大学日本語学科と同大学図書館との共同主催のもとで、2018年5月25日(特別講演会)、26日(国際シンポジウム)の2日間にわたって、台北市の東呉大学で開催された。   本フォーラムでは、世界規模・地球規模に広がったマンガ・アニメ文化の魅力に着目し、「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新たな可能性―コミュニケーションツールとして共有・共感する映像文化論から学際的なメディアコンテンツ学の構築に向けて―」というテーマを中心に議論を展開した。25日午後の特別講演会を前夜祭に、26日の国際シンポジウム【午前の部】招待講演会×3講演、パネルディスカッション×1会場、【午後の部】招待講演会×2講演、3会場×2セッション(招待研究発表×2本+公募研究発表×16本)など、多様なプログラムを通して、情報の共有及び知的交流の推進を目的とした。   また、文化を発信するコミュニケーションツールとして共感・同調・共有されてきたマンガ・アニメが、いかに次世代の地球市民の手によって共創するコンテンツ産業へ進化していくかのプロセスや、それを実現させるあらゆる創発の原理を創造的に思考する場を提供し、あらゆる参加者による活発な議論・討議・ディスカッション・意見交換が繰り広げられるという、市民向けフォーラム的効果も期待している。   今回は、共同主催する3機関団体の他に、中華民国(台湾)教育部、科技部、外交部、中華民国三三企業交流会、台日商務交流協進会をはじめ、日本の(独)国際交流基金、(公財)日本台湾交流協会など、台湾と日本の公的機関から甚大なる支援をいただいた。また、第1回フォーラムから主要賛助企業である中鹿営造(股)を筆頭に、台湾日本人会の呼びかけを通して、ケミカルグラウト(株)(日商良基注入営造)、日商全日本空輸(股)台北支店、台灣住友商事(股)、台灣本田汽車(股)、台灣三菱電機(股)、みずほ銀行台北支店より貴重な協賛を頂いたお蔭で盛大に開催ができた。この場をお借りして改めて深謝の辞を記させていただく。   1日目の5月25日午後は、シンポジウムの前夜祭として設けた漫画家特別講演会であるが、一年間にわたる関係者の努力が実り、また幸運にも講談社より全面的なバックアップを受けたお蔭で、『島耕作』シリーズが代表作である漫画家――当代日本マンガ界きっての「神級名師」である弘兼憲史先生をお招きすることが実現できた。40年以上に渡って日本企業文化の神髄やサラリーマンの心得を伝授してこられる弘兼憲史先生には、「漫画から学んだこと」をテーマに、漫画の創作や企業の取材を通して身につけたことを伝授していただくことにした。   台湾でも圧倒的な人気を誇る弘兼憲史先生のご著書を網羅的に所蔵している東呉大学図書館は、アカデミックな特別講演会をさらに盛り上げようと、学内外のコミックファンを対象に、4月から先駆けて「弘兼憲史先生全作品を読破する」という読書感想コンクール・「弘兼憲史先生/島耕作会長に聞きたい!」という質問大募集キャンペーン、弘兼憲史先生全作品特別展示ブックフェアなど、総力を挙げて盛りだくさんのイベントを開催する運びとなり、大学史上最高の盛り上がりを見せた。その成果か、講演会に出席したいと事前に申し込んだ人数は、想像を遥かに超えて、500名に迫る勢いなのを受け、定員340人の会場に収容できない来場者を受け入れるため、急遽隣接する戴氏基金会ホールに生放送する機材を運びこみ、臨時会場を特設することにした。   25日午後2時ごろ、講演会開始の前に、東呉大学図書館特設会場にて、弘兼憲史先生ご来学記念ボードのサインセレモニーが行われた。その後、講演会場に隣接する生放送する予定の講堂ホールに移動され、記者会見に臨んでいただいた。約30社のマスメディア関係者による囲み取材を受けた弘兼憲史先生は、地元記者からの矢継ぎ早で途切れぬ鋭い質問に、40分ほどよどみなく答え続けてくださった。日中台関係をめぐる政治がらみの敏感な質問にも決して嫌な顔をなさらずに、どんな細かい質問にも真面目に誠実に答えてくださった先生の謙虚で真摯な姿が、連日、台湾のテレビニュース番組の動画や各社メディアの新聞記事に報道された。「島耕作シリーズ」の高い知名度とともに、台湾の良き理解者として、リアルな弘兼憲史先生の人間性がさらに広く認識されるという印象深いエピソードである。   25日午後3時半、東呉大学の大学生・院生のみならず、台湾全土の大学関係者や社会人、約30社のマスメディア関係者や日系企業の台湾駐在員などで超満員の東呉大学普仁堂で、特別講演会の開幕式が行われた。入場できずに戴氏基金会ホールで生放送のモニターに釘付けの参加者たちにも見守られるなか、東呉大学董保城副学長、渥美国際交流財団今西淳子常務理事、日本台湾交流協会台北事務所広報文化部松原一樹部長のご挨拶があり、弘兼憲史先生特別講演会が始まった。   今回の特別講演会は、フロアとの交流、話しやすさにこだわる弘兼先生のご要望もあり、同時通訳ではなく、逐次通訳を壇上に同席させた上、取材メディアから寄せられた質問や視聴者から事前に集まった代表的な質問から司会者の朱廣興教授が選んだものに、先生に答えていただく【Q&A形式】で進行することになった。最初の10分間は、先生自らの生い立ちの紹介からスタートし、漫画家になるまでに経験したサラリーマン時代を振り返り、そして、約45年間にわたって無我夢中に打ち込んできた漫画家としての歩み並びに、膨大な漫画創作の業績及び多種多面な分野で活躍された成果などを振り返っていただいた。   その後、パートⅡ【Q&A】のコーナーに入り、(1)漫画創作にまつわる物語の背景・舞台設定、作業場の裏話・苦労話(2)漫画作品の世界や作中人物にまつわるエピソード・逸話(3)世界情勢・アジアの若者事情・仕事観・キャリア形成、といった3つのカテゴリーから、司会者が選んだ10の質問にお答えいただくコーナーにうつった。   まず、「激しい世界情勢や社会現状を背景にした作品作りに取り組んでいるが、リアリティーを持たせるための工夫や、想像力のトレーニング、そしてアイデアを枯渇させないコツは?」という創作手法をめぐる質問に、弘兼先生は、ラジオのニュース番組の視聴や映画予告編の鑑賞、取材を通して入手した材料、蓄積した人脈を活用したりして、日々の生活のどんなシーンでも周りの出来事に目を光らせている等、アイデアを保つヒントを隠さずに教えてくださった。   また、IOTによる産業革命に生き残るために企業へのアドバイスを求められると、多国籍企業文化の普及化に伴うモノづくりの多様化に柔軟に対応していきながらも、グローバル化した世界・社会に貢献できる人間の本質の生活に欠かせない不変なものの価値を見いだしてほしい。これから、もっと高度に進化し多様化していく人間社会にも通用できる、シンプルな喜びをもたらすモノづくりシステムの構築にたどり着くのではないか、という、遥か人間の未来社会を見据えた哲学者っぽいウィットな解答もあった。   そして、未来世界の国や会社を導く真のリーダー像とは?の問いに、弘兼先生は、山本五十六の人材育成に関する非常に有名な言葉――「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ。話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」を引き合いに、リーダーとしてこれからの世界を担う若者の人材育成・人材づくりに携わる際に最も大事な留意点(キーポイント)をかみ砕いて、丁寧に説明してくださった。   最後に、ご自身の経験を例に、台湾・アジアを歴訪した会長島耕作的目線を光らせ、「アジア均一化時代」に生きる台湾・アジアの若者の試練や未来につなぐためにしておくことも含めて、将来、新社会人として勤務する際の心得や取るべき行動などについて、時間をかけてじっくり語っていただいた。会場を埋めつくした参加者一同、瞬きもせず聞き入っていた光景が印象的で感銘深い特別講演会であった。   読書感想文の優勝者・最優秀質問の当選者の表彰式及び感想文朗読プレゼンの後、フロアからの質問を受けるコーナーも予定していたが、夢心地のような短い2時間の講演会は、余韻に浸る間もなく、あっという間に終わりました。第8回日台アジア未来フォーラムの初日を飾った弘兼憲史先生特別講演会は、東呉大学日本語文学科蘇克保主任の閉会式のご挨拶で、大盛況のうちに幕を閉じた。   同日夜、東呉大学の近くにある故宮博物院の敷地内に位置する「故宮晶華」という、現代テイストの中華料理と藝術的な創作メニューが魅力なレストランで歓迎パーティーが開催された。総勢40名の出席者でにぎわう会場で、気さくで話し上手な弘兼憲史先生を囲んで、美食・美禄を堪能しながら、歓談した。   実は、8年ぶりに公開された訪台活動である今回の特別講演会を機に、取材活動にも精力的に取り組まれた先生は、過密なスケジュールの合間を縫って、早朝から深夜まで台湾各地を歩き回られ、現地取材をこなしたと話された。そして、今回の取材で入手された迫真で斬新な材料を、今年8月(今月)発売の最新連載号「会長 島耕作」の<台湾編>に仕上げるという、会場一同を驚かせたサプライズなニュースをリークしてくださった。第8回日台アジア未来フォーラムにおける特別講演会のイベントが、何らかのシーンで紹介されるとすごいねと、関係者全員密かに期待しながら、愉快なエピソードをつまみに、とっても充実した長丁場の一日の幕下ろしを円満に迎えて、帰路についた。   以上、本フォーラム発足して以来もっとも記念すべき特別講演会の報告であった。引き続き2日目の国際シンポジウムの詳細を報告する。(つづく)   当日の写真   ◇記者会見・講演会の動画:   日本「島耕作」漫畫家來台 取材台灣政治 20180525 公視晚間新聞-YouTube   島耕作漫畫作者來台 取景台灣立法院 – YouTube   ◇記者会見・講演会の関連記事:   「島耕作」の新作は「台湾篇」 弘兼憲史さん訪台、大学で講演も|社会|中央社フォーカス台湾   《島耕作》作者東吳演講 想忠實呈現台灣政治|芋傳媒TaroNews   ◇雑誌週刊誌:話題人物特集(報道)編/大学キャンパス通信   新世代職場求生 島耕作之父傳授三大祕技―今周刊   『東呉大学キャンパス通信』311号p.2.pdf   <張 桂娥(ちょう・けいが)Chang_Kuei-E> 台湾花蓮出身、台北在住。2008年に東京学芸大学連合学校教育学研究科より博士号(教育学)取得。専門分野は児童文学、日本語教育、翻訳論。現在、東呉大学日本語学科副教授。授業と研究の傍ら、日本児童文学作品の翻訳出版にも取り組んでいる。SGRA会員。    
  • 江永博「第7回SGRAふくしまスタディツアー『<ふるさと>に帰る』報告」

    2018年5月25日、私は東日本大震災の翌年の2012年から毎年原発事故の被災地である飯舘村を訪ねている渥美国際交流財団SGRAスタディツアーに参加し、福島に向かった。   2泊3日のツアーでは、「ふくしま再生の会」の理事長田尾陽一さんの案内で、村役場をはじめ、未だに帰還が禁止されている区域である長泥のゲート、牛の放牧実験場、花のハウス栽培とメガソーラーがある関根・松塚地域、飯館村の信仰の中心とも言える山津見神社などを見学し、再生の会と村の方々のお話を伺い、田植えを体験した。震災の日から7年の歳月が経った今、被災地の復興、飯舘村の再生は如何なる状態なのか、私がこの3日間、目にしたもの、体で感じたことを文字で表してみたい。   福島駅からマイクロバスに乗り換え、通称中村街道の国道115号経由で、飯舘村に入った。面積の7割が山林の飯舘村の景色は、とても被災地とは思えないほど美しく、空気も非常に綺麗である。昨年(2017)3月に飯舘村に対する避難指示が解除されたが、原発被害の爪痕はまだ残っている。その代表的なものが除染の「副産物」=除染土のフレコンバックのピラミットである。過去にもツアーに参加したことのあるメンバーの話によると、前は真っ黒なフレコンバックのままのピラミットであったが、今はグリーンのシートに覆われているため、景観的にピラミットの威圧感が少し緩和されたようだ。   また、同じ景観的な意味合いで、景観作物の栽培という新たな試みも行われている。現段階は外で避難生活をしている人々が再び戻ってくれるための景観の「再生」であるが、将来的には観光または販売も視野に入れているそうである。再生の会福島代表の副理事長であり、佐須行政区長でもある菅野宗夫さんによると、震災後、園芸を含む畑作、牛の放牧と太陽光発電の売電は再生のための三大柱である。太陽光発電は言わずもがな、一見震災前と変わらない畑作と放牧も、ビニールハウスにおける遠隔操作や放牧実験中の牛の人工受精など現在最先端のICT技術が導入され、再生の道は一歩一歩着実に前へ進んでいると見受けられた。   こうした状況の中、飯舘村が直面している課題を取り上げたい。まず、私にとって今回のツアーで一番印象に残ったのは、現在再生可能エネルギー資源として注目を浴びている太陽光発電設備のメガソーラーである。私の出身地台湾では、東日本大震災の前からすでに原子力発電に反対する声があり、震災後の原発事故の影響で原子力発電を廃止すべきという主張が主流になった。その結果、もともと2011年に運転開始を目指していた第四原子力発電所は2015年に正式に凍結された。原子力発電の代わりに、現在注目されているのは太陽光・風力・水力などの再生可能エネルギーである。しかし、今回のツアーで実際にメガソーラーを目の当たりにし、今までなかった印象を受けた。平野一面に広がるメガソーラーは壮観で迫力があるが、その大部分は周りに鉄フェンスと関係者以外立ち入り禁止の看板があり、周りの景観に融け込めない異様な風景という印象が非常に強かった。   再生の会と村の方々のお話を聞くと、理想的な太陽光発電は売電目的ではなく、コミュニティー使用が中心であり余った分だけ売電する形であるが、現在飯舘村の場合は、まだ村に帰還する人口が少ないため、このような状態になった。畑作として使わないまたは使えない土地を活用するために、再生可能エネルギーのメガソーラーの設置は一つの方法かもしれないが、村の風景に融け込まない鉄フェンスに囲まれたメガソーラーのままでは、村にとって貴重な自然景観が少しずつ外来の資本により蚕食されるような気がしてならない。外来資本の投資は非常に重要であるが、村を主体として考えず、資本主義至上の外来資本をそのまま不用意に受け入れたら、村にとって最終的には相容れない癌のような存在になってしまう恐れもあるのではないだろうか。飯舘村におけるメガソーラーはすでに目立つ存在になった。この目立つ存在を如何に工夫し、村に融け込ませ、村の風景の一部にするかは重要な課題だと考えられる。   メガソーラー以外、震災前から引き継いできた全国各地方と共通する課題は、人口の過疎化と高齢化である。これらの問題を解決するために、平成30年度から飯舘村は移住・定住支援事業を展開している。「10年間住めば、1区画200坪の分譲地を無償で譲渡」、「500万円までの住宅新築費用を補助」、「2年間新規職業に就くための活動支度金の支給」など非常に魅力的な内容であり、村はこの事業に力を注いでいる。   また、すでに避難先で新しい仕事と生活をはじめ、帰村しない人あるいはできない人のために、佐須行政区地域活性化協議会は、様々なイベントを企画し、ボランティア・学生・外国人・移住検討者などの人々との交流を通し、当地の歴史と文化を継承し、新たな地域づくりを図ろうとしている。こうした実質的な移住支援と人との交流による歴史・文化の継承=「心の故郷作り」が同時に推進され、飯舘村だからこその特徴=「飯舘村色」が見つけられたら、村は「再生」に止まらず、さらに一歩前に進む飯舘村の「新生」も期待できると思う。村の「新生」への期待を込めて、これからも飯舘村を見守っていきたい。   スタディツアーの写真     <江永博 CHINAG_Yung_Po> 渥美国際交流財団2018年度奨学生。台湾出身。東呉大学歴史学科・日本語学科卒業。2011年早稲田大学文学研究科日本史学コースにて修士号取得。現在早稲田大学大学院文学研究科日本史学コースに在籍、「台湾総督府の文化政策と植民地台湾における歴史文化」を題目に博士論文執筆中。専門は日本近現代史、植民地時期台湾史。       2018年6月28日配信  
  • 第11回SGRAカフェ「日中台の微妙な三角関係」へのお誘い

    SGRAでは、良き地球市民の実現をめざす(首都圏在住の)みなさんに気軽にお集まりいただき、講師のお話を伺い、議論をする<場>として、SGRAカフェを開催しています。下記の通り第11回SGRAカフェを開催しますので、参加ご希望の方はSGRA事務局へお名前、ご所属と連絡先をご連絡ください。   ◆林泉忠「日中台の微妙な三角関係」   日時:2018年7月28日(土)15時~16時半 会場:渥美財団ホール http://www.aisf.or.jp/jp/map.php 会費:無料 参加申し込み・問合せ:SGRA事務局 Email:  sgra-office@aisf.or.jp Tel: 03-3943-7612   チラシ(PDF版)   講師略歴: 林泉忠(リン・センチュウ Lim Chuan-Tiong) 台湾中央研究院近代史研究所副研究員、国際政治学専攻。2002年東京大学より博士号(法学)を取得、琉球大学法文学部准教授、またハーバード大学フェアバンク・センター客員研究員などを歴任。2012年より現職。著作に『「辺境東アジア」のアイデンティティ・ポリティクス:沖縄・台湾・香港』(単著、明石書店、2005年)。   講師からのメッセージ: 李克強首相の訪日により日中関係が暫く良好な方向に向かう見通しなので、2年前の蔡英文政権の発足で「黄金期」を迎えたと期待される日台関係は難しい段階に入ると思われます。そもそも日中関係と日台関係はどのような関係にあるのでしょう?中国にとっていわゆる「台湾問題」は対日関係に影響する3大要因のひとつであり、日本にとっての中国は経済上の最大のパートナーで最も重要な対外関係のひとつです。他方、日本と台湾は国交がないにも関わらず、互いに親近感が最も高く民間関係は最良な状態が続いています。さらに、日本でも注目される中台関係はよくも悪くも日中関係にも影響を与えています。いったい、複雑で微妙な日中台三角関係をいかに捉えればよいのでしょうか。 皆さんと一緒に考えてみたいと思います。    
  • 金雄熙「第17回日韓アジア未来フォーラム『北朝鮮開発協力:各アクターから現状と今後を聞く』報告」

    2018年3月16日(金)、The-Kホテルソウルで第17回日韓アジア未来フォーラムが開催された。今回のフォーラムのテーマは、2016年2月に東京で開催された第15回日韓アジア未来フォーラム「これからの日韓の国際開発協力:共進化アーキテクチャの模索」、2016年10月1日に北九州で開催された第3回アジア未来会議の自主セッション「アジア型開発協力の在り方を探る」、そして2016年12月に仁川松島で開催された第16回日韓アジア未来フォーラム「日中韓の国際開発協力:新たなアジア型モデルの模索」における各議論を受け、「北朝鮮開発協力:各アクターから現状と今後を聞く」となった。今年の8月24日から同じ場所で開催する第4回アジア未来会議のプレ・カンファランスでもあった。   今後、北朝鮮の非核化問題がいかなる方式で解決されようとも、北朝鮮に対する開発支援はこれからの交渉プロセスや問題の解決以降において、韓国や日本を含め、国際社会が避けては通れない重要な課題である。今回のフォーラムでは、北朝鮮への開発協力に対する体系的な理解を深めるとともに、主なアクターたちの対北朝鮮支援のアプローチとその現状について議論し、新たな開発協力モデルの可能性を探った。   フォーラムでは、渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)の今西淳子(いまにし・じゅんこ)代表による開会の挨拶に続き、3名の専門家による報告が行われた。まず、孫赫相(ソン・ヒョクサン)慶熙大学公共大学院院長が「北朝鮮開発協力の包括的理解と多様なアプローチ」というタイトルで、北朝鮮開発協力をめぐる争点(食糧援助は必要か、援助の目的は何か、援助物資の引き渡し過程は透明か、援助活動におけるNGOの役割は何かなど)、北朝鮮開発協力の歴史と現状、そして市民社会(NGO)、国際機構、人道的支援、体制転換国の開発モデル、技術協力など多様なアプローチについて紹介した。   朱建栄(しゅ・けんえい)東洋学園大学人文学部教授は、「中国と北朝鮮の関係につむじ風――その変化に注目せよ」という題で、第二次大戦後の長きにわたって、北朝鮮を事実上、自国の安全保障の緩衝地帯と見做し、ピョンヤンに対して惜しまない経済支援を行ってきた中国が、北朝鮮の核開発に危機感を高めた2年前から「優先目標の非核化に経済関係を服従させる」政策を取り始め、2017年12月、空前に厳しい国連安保理の制裁決議にも同調したことに注目した。そしてピョンチャン冬五輪後、習近平政権は北朝鮮、及びTHAAD問題を抱える韓国との関係をどのように進めるかについて報告した。   文炅錬(ムン・キョンヨン)全北大学国際人文社会学部教授は、韓国と国際社会の北朝鮮開発協力について、その現状と評価について最新の状況を踏まえながら報告を行った。北朝鮮に対する支援は、他の開発途上国に対する支援とは異なり、支援の主体である韓国および国際社会にとってジレンマを抱える問題であるとした。また国際社会の対北朝鮮支援は人道的レベルの最小限の支援にとどまっており、対北朝鮮支援が始まって20年になる現在でも北朝鮮は依然として救護的性格の緊急支援が必要な状態であると強調した。さらに北朝鮮の非核化問題が進んだ場合、対北朝鮮支援の方向性として、人道的支援から開発協力への転換を模索する必要があると主張した。   コーヒーブレイクを挟んだ討論は、時間の制約でフロアーにオープンすることはできなかったが、それぞれの立場や専門領域を踏まえた内容の濃い議論が展開された。最後に、李鎮奎(リ・ジンギュ)未来人力研究院理事長により、タイムリーなテーマの選定に触れるコメントと閉会の辞で締めくくられた。今回のフォーラムは、最初「北朝鮮開発協力の理解-開発協力のフロンティア」というタイトルがついていたが、参加予定であった日本大使館の方が「開発協力のフロンティア」というサブ・タイトルでは参加しにくいということで変更した経緯がある。今西さんが開会の挨拶で述べられたように、日韓、そして日韓中のプロジェクトは、「なんだか面倒なこと」がとても多いが、それぞれの立場や利害を配慮しながら、目先の変化に惑わされず、地道に進めていくことが大事なのではないかと思う。   これからも、ポスト成長時代における日韓の課題と東アジアの協力について、実りのある日韓アジア未来フォーラムを進めていくためには、具体的な共通の課題について掘り下げた検討を重ねていかなければならない。目下北朝鮮の非核化局面でジャパンパッシング(日本排除)が言われたりするが、いうまでもなく、日本は朝鮮半島の非核化、平和体制の構築、北朝鮮開発協力において欠かせない存在である。今回のフォーラムでは、韓国や中国に比べ、日本の影が薄かったようにも思われる。次回のフォーラムでは、北朝鮮問題を含めて開発協力における日本のプレゼンスに注目しつつ、ここ3か年の成果をまとめあげるといいのではないかと思っている。   最後に17回目のフォーラムが成功裏に開催できるようご支援を惜しまなかった今西代表と李先生、そして8月24日からの第4回アジア未来会議の段取りと予行演習で韓国を訪ねた渥美財団スタッフの皆さんに感謝の意を表したい。     当日の写真   <金雄煕(キム・ウンヒ)Kim_Woonghee> 89年ソウル大学外交学科卒業。94年筑波大学大学院国際政治経済学研究科修士、98年博士。博士論文「同意調達の浸透性ネットワークとしての政府諮問機関に関する研究」。99年より韓国電子通信研究員専任研究員。00年より韓国仁荷大学国際通商学部専任講師、06年より副教授、11年より教授。SGRA研究員。代表著作に、『東アジアにおける政策の移転と拡散』共著、社会評論、2012年;『現代日本政治の理解』共著、韓国放送通信大学出版部、2013年;「新しい東アジア物流ルート開発のための日本の国家戦略」『日本研究論叢』第34号、2011年。最近は国際開発協力に興味をもっており、東アジアにおいて日韓が協力していかに国際公共財を提供するかについて研究を進めている。     2018年4月26日配信
  • 第8回日台アジア未来フォーラム・東呉大学マンガ・アニメ文化国際シンポジウム「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新たな可能性」へのお誘い

    下記の通り第8回日台アジア未来フォーラム 並びに 東呉大学マンガ・アニメ文化国際シンポジウムを台北市で開催します。参加ご希望の方はSGRA事務局へご連絡ください。 テーマ:「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新たな可能性:コミュニケーションツールとして共有・共感する映像文化論から学際的なメディアコンテンツ学の構築に向けて」   開催日:2018年5月25日(金)午後3時~26日(土)終日 会場:東呉大学外双渓キャンパス第一教学研究棟普仁堂(大講堂)   主催:東呉大学日本語学科、東呉大学図書館、(公財)渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) 共催:東呉大学英文学科、東呉大学教養教育センター 後援助成者:中華民国教育部、(公財)国際交流基金、(公財)日本台湾交流協会、中鹿營造股份有限公司、中華民国三三企業交流會、台日商務交流協進會、台灣住友商事股份有限公司、全日本空輸股份有限公司台北支店、ケミカルグラウト株式会社、みずほ銀行 台北支店、Kajima Overseas Asia Pte. Ltd. 名義賛助者:台湾日本人会、台北市日本工商会   講演会ご案内HP イベントご案内HP   ●日本語申込み   ●問い合わせ ※日本:SGRA事務局 sgra-office@aisf.or.jp ※台湾:東呉大学日文系 hua666@scu.edu.tw     ●プログラム   2018年5月25日(金) 第一部 (15:00~受付開始) 【特別講演】 15:30~17:20 ✽弘兼憲史先生(漫画家、『島耕作』シリーズ作者) テーマ:「漫画から学んできたこと」   2018年5月26日(土) 第二部(8:00~受付開始) ◆招請講演 午前の部 8:40~10:55   【招請講演 1 】8:40~9:25 ✽表智之 (日本北九州市漫画ミュージアム専門研究員) テーマ:「研究者のネットワーク化とマンガ研究の進展-学会・地域・ミュージアム-」   【招請講演 2 】9:25~10:10 ✽宣政佑 (韓国 Comicpop Entertainment President) テーマ:「韓国ではアジア漫画をどう見てきたか 」   【招請講演 3 】10:10~10:55 ✽秦 剛 (北京外国語大学北京日本学研究センター教授) テーマ:「戦後日本最初の長編アニメーション『白蛇伝』における「中国」表象と「東洋」幻想」   【パネル ディスカッション】 11:10~12:10 テーマ:「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新たな可能性」 司会者:今西淳子 (渥美国際交流財団常務理事) パネリスト1:表智之 (北九州市漫画ミュージアム専門研究員) パネリスト2:宣政佑 (Comicpop Entertainment President) パネリスト3:秦 剛 (北京外国語大学北京日本学研究センター教授) パネリスト4:梁世佑 (U-ACG/旭傳媒科技股份有限公司創立者) パネリスト5:黃瀛洲 (台灣動漫畫評論團體傻呼嚕同盟召集人) パネリスト6:住田哲郎 (京都精華大学専任講師)   ◆招請講演 午後の部 13:20~14:05   【招請講演 4 】 A会場 ✽梁世佑(台湾U-ACG/旭傳媒科技股份有限公司創辦人) テーマ:「台湾のオタクにみる日本アニメの受容と変化:作品の鑑賞、収集と行動」   【招請講演 5 】 B会場 ✽黄瀛洲(台灣動漫畫評論團體「傻呼嚕同盟」召集人) テーマ:「未来を見据えた台湾アニメの発展」   ◆論文発表 14:10~17:10 各会場にて3本ずつ計18本論文発表を予定 【第1セクション】14:10~15:30  A1/B1/C1 会場にて論文発表 【第2セクション】15:50~17:10  A2/B2/C2 会場にて論文発表   【第1セクション】14:10~15:30   A-1会場 1. 発表者:呂佳蓉(台灣大學語言學研究所専任助理教授) テーマ:「ACG文化による言語の伝播と受容」(日本語発表) 2. 発表者:住田哲郎(京都精華大学専任講師) テーマ:「文字の違いに見るマンガ翻訳の不可能性」(日本語発表) 3. 発表者:林蔚榕(東吳大学日本語文学科専任助理教授) テーマ:「日本のマンガにみるプロフェッショナルの態度と行動特性-料理マンガを中心に-」(日本語発表)   B-1会場 1. 発表者:沈美雪(中國文化大學日本語文學系専任副教授) テーマ:「日本のマンガ・アニメにおける「時間遡行」作品の構造分析―死亡、再生、ループを手掛かりにー」(中国語発表) 2. 発表者:周文鵬(月鳥齋圖文創意工作室責任者、淡江大學中文系兼任助理教授、中原大學通識中心兼任助理教授) テーマ:「デバイス変奏曲:縦スクロール漫画の原理と趨勢」(中国語発表) 3. 発表者:田昊(東呉大学中国語科博士後期課程在学) テーマ:「浦沢直樹漫画芸術におけるフィルムセンスの創造力について」(中国語発表)   C-1会場 1. 発表者:林曉淳(世新大学日本語文学科専任助理教授) テーマ:「『高橋留美子劇場』から見る日本の家族像」(中国語発表) 2. 招待発表者:DALE, Sonja(一橋大学社会学部特任講師) テーマ:「2Dのような3D―日本のアニメ業界におけるCG業界へのシフト―」(日本語発表) 3. 発表者:黄璽宇(識御者知識行銷創辦人) テーマ:「個人の存在と集団の存在―トマス・アクイナス思想から『聲の形』における生きづらさを論じる―」(中国語発表)   【第2セクション】15:50~17:10   A-2会場 1. 発表者:小高裕次(文藻外国語大学日本語学科専任助理教授) テーマ:「ライトノベルのアニメ化に際する諸要素の増減について-『涼宮ハルヒの憂鬱』を例に」(日本語発表) 2. 発表者:永井隆之(国立政治大学日本語文学科専任助理教授) テーマ:「漫画『ONEPIECE』の組織論 海賊団「麦わらの一味」の性格」(日本語発表) 3. 招待発表者:李偉煌(靜宜大學日本語文學系副教授兼学科主任) テーマ:「日本のアニメを取り入れたランゲージェクスチェンジ授業の試み」(日本語発表)   B-2会場 1.発表者:李岩楓(京都精華大学博士後期課程マンガ研究科理論 在学) テーマ:「オノマトペ─日本マンガにおける図面表現及び中国マンガへの応用の可能性」(中国語発表) 2.発表者:陳 龑(東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学表象文化論コース博士課程) テーマ:「国境を超える連携―中国初期アニメーション史からみたイマドキのアニメ—ション生産トレンド」(中国語発表) 3.発表者:徐錦成(国立高雄応用科技大学文化創意産業科准教授) テーマ:「野球とマンガの親和性―中華職業棒球大聯盟の二度にわたる野球マンガへの干渉を中心に―」(中国語発表)   C-2会場 1. 発表者:周惠玲(華梵大學哲學系傳播學程兼任助理教授) テーマ:「ストーリーマンガと児童文学の競合関係―『不思議の国のアリス』を元にしたマンガを例に―」(中国語発表) 2. 発表者:呉昀融(東京大學東洋文化研究所客座研究員/國立台灣大學政治學研究所博士生) テーマ:「『NARUTO -ナルト-』から核武装論を再検討する」(中国語発表) 3. 発表者:詹宜穎(政治大學中國文學系博士生兼任講師) テーマ:「混血の葛藤、その狂気と輝き―『東京喰種トーキョーグール』から見た混血種のアイデンティティにおける調和と超越―」(中国語発表)   ●フォーラムの趣旨:   第8回日台アジア未来フォーラムでは、全世界規模に広がったマンガ・アニメ文化の魅力に着目し、「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新たな可能性―コミュニケーションツールとして共有・共感する映像文化論から学際的なメディアコンテンツ学の構築に向けて―」について議論する。また、各セッションで取り上げるテーマとして、マンガの収集・保存と利用、マンガ・アニメの翻訳と異文化コミュニケーション、マンガ・リテラシー形成の理論と実践、マンガ・アニメと物語論、視覚芸術論、映像論、マンガ・アニメのメディアミックス化・マルチユース化、マンガ・アニメの文化的経済学、マンガ・アニメ文化と社会学などが予定されている。   今回のフォーラムでは、グローバル化したマンガ・アニメ研究のダイナミズムを、研究者・参加者たちの多様な立場と学際的なアプローチによって読み解いた上、新たな可能性を見いだすことを目指している。何より、将来有望な若い研究者たちに研究成果を発表する場を提供することにより、日台関係・日台交流、また東アジア地域内の相互交流のさらなる深まりへの理解促進に貢献するものと考えられる。学生や一般参加者たちにも東アジアにおけるサブカルチャー文化の受容現状を理解してもらい、また異文化を越えた視野を抱き、国際交流のネットワークを築きあげてもらいたいと考える。   ●日台アジア未来フォーラムとは   日台アジア未来フォーラムは、台湾在住のSGRAメンバーが中心となって企画し、2011年より毎年1回台湾の大学と共同で実施している。過去のフォーラムは下記の通り。   第1回「国際日本学研究の最前線に向けて:流行・ことば・物語の力」 2011年5月27日 於:国立台湾大学文学部講堂   第2回「東アジア企業法制の現状とグローバル化の影響」 2012年5月19日 於:国立台湾大学法律学院霖澤館   第3回「近代日本政治思想の展開と東アジアのナショナリズム」 2013年5月31日 於:国立台湾大学法律学院霖澤館   第4回「東アジアにおけるトランスナショナルな文化の伝播・交流―文学・思想・言語」 2014年6月13日~14日 於:国立台湾大学文学部講堂および元智大学   第5回「日本研究から見た日台交流120 年」 2015年5月8日 於:国立台湾大学文学部講堂   第6回「東アジアにおける知の交流―越境、記憶、共生―」 2016年5月21日 於:文藻外語大学至善楼   第7回「台・日・韓における重要法制度の比較─憲法と民法を中心として」 2017年5月20日 於:国立台北大学台北キャンパス   第8回「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新たな可能性」 2018年5月25日~26日 於:東呉大学外双渓キャンパス  
  • 第7回ふくしまスタディツアーへのお誘い

    関口グローバル研究会(SGRA)では昨年に引き続き、福島県飯舘(いいたて)村スタディツアーを下記の通り行います。 参加ご希望の方は、SGRA事務局へご連絡ください。   SGRAでは2012年から毎年、福島第一原発事故の被災地である福島県飯舘村でのスタディツアーを行ってきました。   そのスタディツアーでの体験や考察をもとにしてSGRAワークショップ、SGRAフォーラム、SGRAカフェなど、さまざまな催しを展開してきました。今年も第7回目の「SGRAふくしまスタディツアー」を行います。ぜひ、ご参加ください。   日 程:          2018年5月25日(金)、26日(土)、27日(日) 人 数:           10~15人程度 宿 泊:           「ふくしま再生の会-霊山(りょうぜん)センター」 参加費:           一般参加者は新幹線往復費用+12,000円 (ラクーン会会員には補助が出ます) 申込み締切:       5月10日(木) 申込み・問合せ: SGRA事務局 角田 E-mail:  tsunodaaisf@gmail.com  Tel:  03-3943-7612   プログラム・詳細   今までのふくしまスタディツアーの報告や感想文    
  • 第3回アジア未来会議、日本政府観光局の開催貢献賞を受賞!

    第3回アジア未来会議が、日本政府観光局(JNTO)の平成29年度国際会議開催貢献賞をいただきました。開催にあたり会議運営、地域貢献などにおいて、今後の模範となる実績を上げた国際会議6件が表彰されました。ご支援ご協力いただいた皆さんに、心からお礼を申し上げます。   授賞式の写真   国際会議開催貢献賞の詳細    
  • 第17回日韓アジア未来フォーラム「北朝鮮開発協力:各アクターから現状と今後を聞く」へのお誘い

    下記の通り日韓アジア未来フォーラムをソウルにて開催いたします。参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。   テーマ: 「北朝鮮開発協力:各アクターから現状と今後を聞く」 日 時: 2018年3月16日(金)午後2時~5時 会 場: 韓国ソウルThe-K Hotel http://www.thek-hotel.co.kr/main_sh.asp コンベンションセンター2Fオークルーム(Oak Room) 参加費: 無料 お問い合わせ・参加申込み: SGRA事務局(sgra-office@aisf.or.jp, 03-3943-7612)   主 催:  (財)未来人力研究院(韓国) 共 催:  (公財)渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)   ◇フォーラムの趣旨   北朝鮮問題がいかなる方式で解決されようとも、北朝鮮に対する開発支援は今後の交渉過程や問題の解決以降においても、韓国や日本を含め、国際社会が避けては通れない重要な課題である。 本フォーラムでは、北朝鮮開発協力に対する体系的な理解を深めるとともに、北朝鮮開発協力における主なアクターたちの対北朝鮮支援のアプローチとその現状について議論し、新たな開発協力モデルの可能性を探ってみたい。今回は、2016年2月に東京で開催した第15回日韓アジア未来フォーラム「これからの日韓の国際開発協力:共進化アーキテクチャの模索」、2016年10月1日に北九州で開催した第3回アジア未来会議の自主セッション「アジア型開発協力の在り方を探る」、2016年12月仁川松島で開催した第16回日韓アジアイ未来フォーラム「日中韓の国際開発協力:新たなアジア型モデルの模索」における議論を受け、北朝鮮開発援助のあり方について考える。 【日韓同時通訳付き】   ◇プログラム   【報告1】 「北朝鮮開発協力の包括的理解と多様なアプローチ」 孫赫相(ソン・ヒョクサン:慶熙大学公共大学院院長)   【報告2】 「中国と北朝鮮の関係につむじ風――その変化を注目せよ」 朱建栄(しゅ・けんえい:東洋学園大学人文学部教授)   【報告3】 「韓国、国連の北朝鮮開発協力:現状と評価」 文炅鍊(ムン・キョンヨン:全北大学国際学部准教授)   【フリーディスカッション】 -報告者を交えたディスカッションとフロアとの質疑応答-   ◇モデレーター 金雄煕(キム・ウンヒ:仁荷大学国際通商学科教授)   ◇討論者 李恩民(リ・エンミン:桜美林大学教授) 李鋼哲(り・こうてつ:北陸大学教授) 李元徳(リ・ウォンドク:国民大学教授) 朴栄濬(パク・ヨンジュン:国防大学教授) 他    
  • 林泉忠「戦争・架け橋・アイデンティティ~近代日本と東アジアの文化越境物語~:東アジア日本研究者会議パネル報告(3)」

      去る2017年10月28日から29日にかけて、風薫る爽やかな深秋の季節の中、「第2回東アジア日本研究者協議会国際学術大会」が、中国天津にある象賽ホテルにおいて開催された。今回は私が企画したセッションで渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)の派遣チームの1つとして参加した。   セッションのテーマは「戦争・架け橋・アイデンティティ~近代日本と東アジアの文化越境物語~」で、企画の背景に、戦前の日本と東アジアとの関係が、しばしば戦争や植民地支配に集約される単純さに違和感を持ったことが挙げられる。そのため、戦前における日本と東アジアとの民間レベルの社会・文化交流の架け橋を担っていた人々とそのストーリーは軽視されてしまう。本セッションは、あの激動の時代において戦争を超える日本と中国・東アジアの民間レベルの交流物語を取り上げ、国境や戦争を超える東アジアの文化交流の意味を検討した。   当セッションは、孫建軍教授(北京大学)を座長に、2つの報告を中心に行われた。   第1報告は、私(林泉忠・中央研究院)自身が行った「知られざる『旅愁』の越境物語~戦前東アジア文化交流の一断章~」で、百年前から日本でも中華圏でもよく歌われてきた名曲「旅愁」(中国語は「送別」)の伝播の軌跡を探って、戦争を超える近代日本と東アジアの文化交流の一側面を明らかにした。「旅愁」は19世紀の半ば頃にアメリカで生まれたDreaming_of_Home_and_Mother(「家と母を夢見て」、作曲ジョン・P・オードウェイ[John_P._Ordway])に由来し、1907年に日本の作詞家で音楽教育者の犬童球渓によって訳され、「旅愁」として音楽教科書「中等教育唱歌集」で取り上げられた。やがて日本の植民地になった台湾や朝鮮半島にも広がっていった。そして、当時東京留学中の中国若手音楽家・画家の李淑同の手で1915年に「送別」として中国に広く伝えられていったという。   当報告は、1.信じられている自国の文化は必ずしも自国で誕生したものではなく、2.文化は交流によってより高い価値を獲得し、3.人類が共有する宝として再認識する必要がある、と指摘した上、戦争・植民地時代の文化の広がりについて、戦争や植民地支配の正当性は肯定できないが、その時代の民間レベルの文化交流にかかわる人々とその結果や価値についてもう少し丁寧に検討する必要がある、と強調した。   第2報告は、李嘉冬教授(上海・東華大学)の「近代日本の左翼的科学者の中国における活動~上海自然科学研究所所員小宮義孝を例に~」で、小宮義孝という人物の物語を取り上げ、上海自然科学研究所所員時代にスポットライトを当て、氏の上海での生活及び中国人科学者・学者たちとの交流実態を明らかにしようとするものであった。小宮は近代日本の寄生虫学者で、東京帝国大学医学部在学時代から、社会医学を志していたという。のちに、マルクス主義に傾倒し共産主義のシンパとして活動していたため、特高にマークされ監獄に入れられる直前に、恩師の横手千代之助・東京帝大教授の助けで1931年上海に避難し、日本の文化事業の上海自然科学研究所に入所して終戦まで大陸の寄生虫病の研究に従事していた。戦後になって、小宮は中国政府の要請を受け寄生虫撲滅の建議案を提出し、その結果、長年中国の農村部で苦しめられた日本住血吸虫病がほとんど治まることになったという。   2つの報告の後、討論者としてJohan_Nordstrom氏(都留文科大学)と篠原翔吾氏(在中国日本国大使館専門調査員)が加わって2つの報告についてそれぞれ適切なコメントをしてくださった。さらにフロアーから興味深い質問やコメントをいただいて、活発な議論が行われた。   最後に、今回の会議についての感想を述べさせていただきたい。   まず、東アジアにおける国境や地域を越えた日本研究関連の学術・人的交流を目的として発足した東アジア日本研究者協議会が主催する国際学術会議は、今回の天津会議が2回目で、私は1年前の仁川会議に続き、連続参加となった。初回に比べると各国の日本研究者の姿がより多く見られ、同協議会の国際学術大会の知名度や地位はわずか1年で随分上昇し、各国の日本研究機関にかなり重視されていることが分かった。   次に、今回の国際会議は、各国から270名以上の日本研究者が集まったが、共催の天津・南開大学日本研究院によって、周到に準備され、会議は順調に進められた。この点について高く評価したい。一方、セッションのアレンジについてであるが、同じ時間帯にいくつかの同分野のセッションが集中したため、各セッションの参加者が薄く分散してしまう結果になった。来年以降の会議は、その点に関して是非改善していただきたい。   さらに、今回は渥美国際交流財団関口グローバル研究会が3つのチームを派遣し、かなり注目されていた。SGRAが日本研究に力を入れ精力的に支援していることが幅広く知られるようになった。SGRAの知名度アップに貢献するにとどまらず、渥美財団・SGRA=日本研究の重要な存在というイメージの確立に成功したといっていい。是非、次回以降の大会にも引き続きチームを派遣し続けていただきたい。   最後に、次年度の「第3回東アジア日本研究者協議会国際学術大会」の一層の成功と、渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)派遣チームのさらなる活躍を願って、今回のセッション報告を終わらせていただきたい。   <林 泉忠(リン・センチュウ)John_Chuan-Tiong_Lim> 国際政治専攻。2002年東京大学より博士号を取得(法学博士)。同年より琉球大学法文学部准教授。2008年より2年間ハーバード大学客員研究員、2010年夏台湾大学客員研究員。2012年より台湾中央研究院近代史研究所副研究員、2014年より国立台湾大学兼任副教授。       2018年2月2日配信
  • ボルジギン・ブレンサイン「日本の植民地支配下の東アジアにおけるメモリアル遺産:東アジア日本研究者協議会パネル報告(2)」

    2017年10月28日(土)中国の天津において、「第2回東アジア日本研究者会議国際学術大会」が開催され、SGRAから参加した3つのパネルの1つとして「日本植民地支配下の東アジアにおけるメモリアル遺産」と題するパネルを発表した。当パネルは発表者3人、コメンテーター2人で構成され、南開大学日本研究院の方々を中心とする来場者を前に、戦前と戦後の日中関係について幅広い議論が交わされた。   本パネルの趣旨は、東アジアのほとんどの地域が日本の植民地支配を受けていた20世紀前半の特殊な歴史的環境において、人と物の交流がどのように一体化し、またそれが戦後にどのような遺産として残され、戦後の枠組みでどのように扱われてきているのかに関するものである。日本の植民地支配は関係する国と地域にとって不幸な歴史であったことはいうまでもないが、日本の支配が敷かれていたこれらの地域において、日本の近代化の経験による各種の社会整備、調査記録や記念物が形として残された。そして戦後の70年間、東アジアを取り巻く複雑な関係性のなかで、これらのメモリアル遺産の存在が直視され、議論される場は多くなかったように思われる。本パネルでは、戦後の視点に立ってこれらのメモリアル遺産の歴史的広がりやそれがもつ現代的な意味について議論した。   1つ目の発表は、グロリア・ヤン・ユー(コロンビア大学大学院博士後期課程)さんによる「実像か幻想か:満洲の視覚資料の見方や眼差しの再考」である。グロリアさんは長春を事例に、日本支配期以前の満洲におけるロシアの都市建設の遺産とそれに対する日本の姿勢を取り上げた。グロリアさんの発表は、20世紀前半期の中国東北地域(満洲)における政治的対立の枠組みが「日中」で固定化している状況に対して、満洲のメモリアル遺産におけるロシアの本来の役割を位置づけ、満洲の都市建設は「日中露」3者の舞台であったと提示したところが重要である。   2つ目の発表は、鈴木恵可(東京大学大学院博士後期課程)さんの「再展示される歴史と銅像―台湾社会と植民地期の日本人像」である。鈴木さんの発表では、日本統治期の台湾(1895~1945)の公園、広場、博物館といった公共空間に立てられていた多くの日本人高官の銅像とそれらの銅像の戦後の行方を丁寧に追った。これらの銅像は、日本統治期に入って初めて台湾に出現したモノであり、最も早期に人々の眼に触れやすい場所に展示された西洋式彫刻作品であったが、銅像の大きな特徴は、それが近代彫刻という美術のカテゴリーに入りつつも、それを設置する行為・モノ・空間のそれぞれが強い社会的、政治的な意味を帯びている点にある。1940年代以降の金属回収と日本の敗戦によって、こうした銅像は台湾社会から姿を消したが、2000年以降になって、わずかに残されていた植民地期の銅像が再発見され、展示され始めるという現象が起こっているという。鈴木さんの発表では、植民地期の銅像設置の過程とともに、この複雑な歴史遺産を現代の台湾社会がどう取り扱っているのかについて取り上げた。   3つ目の発表は、ブレンサイン(滋賀県立大学)の「満鉄と満洲国による農村社会調査について」である。ブレンサインの発表は、第二次世界大戦終戦までの満洲―中国東北三省や内モンゴル地域が日本によるアジア植民地の一部であった歴史的前提に立って、この時期における多民族空間に着目した。つまり、モンゴル系やツングス系のような牧畜、狩猟民族も多く居住するこれらの地域では、日本主導の近代的な手法による社会調査が多く行われ、これら多民族雑居地域における最初の本格的な社会調査の貴重な記録メモリとして残された点を取り上げた。これらの調査を主導したのは満鉄や満洲国政府の関連機関であったが、多民族雑居地域の基層社会の詳細なデータが記録されたのはほかのアジア植民地社会調査と異なる点であり、被調査社会のみならず、調査者にとっても貴重な近代的社会調査の経験であったと指摘している。ブレンサインの報告は、満鉄と満洲国関連機関が行った多民族農村社会の実態調査を系統的に紹介すると同時に、戦後の視点から日本と東アジア関係史上特殊なこの時期に残された記録遺産との向き合い方についても考え方を提示した。   1人目のコメンテーターである張思(南開大学歴史学院教授)先生は、日本植民地時代のメモリアル遺産を過去の政治やイデオロギーの束縛から脱出して、21世紀の視点から直視すべきと指摘した。張先生はさらに、これらの遺産をソ連時代のレーニン、スターリン像などと比較しながら、過去の時代のメモリアル遺産をどのように受け入れていくかは世界的な問題でもある。日本の植民地時代と向き合う姿勢については、植民地時代は全員「共犯」だというサイードの言葉を引用しながら、関係者全員による反省が大事であるとコメントした。   2人目のコメンテーターであるマグダレナ・コウオジェイ(デューク大学博士後期課程)さんは、本パネルで報告した上記3名の研究内容はそれぞれの分野で今まで見落とされてきたものの重要な部分であるという共通点があり、分野を超えて議論することの重要性を強調した。マグダレナさんは特に、地図や銅像といった視聴覚を直接刺激する歴史的素材をもって論じることの特異な効果を強調し、これらの研究は日本植民地支配期を「統治―被統治」の枠組みで単純化する傾向に対して多様な視点を提供するものであるとコメントした。   発表者はコメンテーターの意見に対してそれぞれ簡潔なコメントを述べたあと、会場からの質問にも答え、満洲国の在り方、日中関係など幅広い課題について議論が交わされた。   本パネルの司会は南開大学が母校である桜美林大学の李恩民先生がつとめた。本パネルの成果は天津や南開大学に土地勘の強い李恩民先生の司会進行に帰するところが大きいことを記しておきたい。報告者、コメンテーターや司会の先生方に改めて感謝を申し上げたい。   <ボルジギン・ブレンサイン Borjigin_Burensain> 渥美国際交流財団2001年度奨学生。1984年に内モンゴル大学を卒業後内モンゴル自治区ラジオ放送局に勤務。1992年に来日し、2001年に早稲田大学で博士学位取得。現在は滋賀県立大学人間文化学部准教授。     2018年1月25日配信
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