SGRAかわらばん

渥美財団、10歳のお誕生日おめでとう!

渥美財団、10歳のお誕生日おめでとう!

 

2005年2月16日(水)、人類の歴史の新しいページを開く京都議定書の正式発効とともに、渥美国際交流奨学財団の設立10周年を祝うイベントが、東京赤坂の鹿島KIビルで開催された。当日の朝の震度5の地震や冷たい雨にも関わらず180名もの関係者が集まり、渥美健夫氏の遺志で10年前に設立された、規模が小さいが夢が大きいこの財団の記念日を一緒に祝ってくださった。

 

渥美理事長と今西常務理事の指導のもと、数週間前から数回にわたる準備会を重ねてきたが、当日は現役と来年度の奨学生らで構成する渥美奨学生、元奨学生からなるラクーン会、ラクーン会から発展した関口グローバル研究会(SGRA)の運営委員と研究員・会員(とその子供たち)、そして鹿島建設の皆さんがお手伝いに駆けつけ、記念講演会の成功に繋がった。渥美ファミリが一堂に動いたと凄く感じた。

 

記念講演会は午後4時に始まった。最初に渥美理事長から財団の設立の背景と特別講演をされる緒方貞子さんのことについてお話があった。次ぎに、今西常務理事から、パワーポイントのスライド付きで、財団の設立からの今に至る経緯についての説明があった。遠慮深い理事長から「あまり宣伝しない」と言われたということだったが、常務理事はSGRAのコンセプトは渥美財団と一致していると断った上で、財団の話に重ねてSGRAの紹介とその活動へのお誘いを、遠慮なく発表した。

 

午後4時半ごろに、JICAの理事長である緒方さんがみえて、一休みもせずに「人間の安全保障」というテーマの講演が始まった。奨学財団の講演会だから教育という側面に関心が高いであろうという前提で、人間の安全のためには人間を強化すべきなので、その一つの有力な手段として教育が非常に重要であるということにお話の焦点が当てられた。特に、国際教育の面では多様性を尊重し、排除しないinclusiveな人を育てる教育が一番大事だとされた。このような特質の欠如こそが人間の安全を脅かすと強調された。これは、確かに、渥美財団とSGRAの「多様性のなかの調和」という原理に基づく「良き地球市民の実現に貢献」というビジョンと一致している。同時に、「グローバラゼイション」という名で呼ばれている、あまりサイレントではない津波によって、この多様性の尊重が実現できるのかどうか考えさせるところだった。「会場の皆さんと一緒に考えましょう」という緒方さん自身のお招きもあって、さばききれないほどの質問を受けてから、記念講演は、午後5時45分に終了した。

 

その後、緒方さんにもお時間が許す限り参加していただいて、KIビルのカフェテリアで懇親会が開かれた。渥美財団の選考委員長を10年間務めていらっしゃる、「失敗に学ぶ」というベストセラーで有名な畑村洋太郎先生の挨拶と乾杯でスタートした。参加者全員がレセプションを楽しんだ。渥美直紀鹿島副社長が、建設業らしく、三三七拍子の手拍子とともに中締めをした。

 

様々な方々とお話ししたが、なかでも、渥美健夫さんの同期で、毎年数千人の留学生の面倒をみているロータリー米山記念奨学会の加美山節副理事長(渥美財団評議員)からいただいた「素敵な財団ですね」という言葉が大きいなお祝いになった。渥美健夫さんもきっと同じことを考えているであろう。

 

※今西常務理事の要請により、記念講演会場の模様を全振煥さん(2001年ラクーン)が取った写真を集めて、AISF PICTURE GALLERYを立ち上げました。他の写真もこれから掲載する予定です。
(文責:M.マキト)