初めてクレタ島 ―――――――――――――――――――――――――――

キン     マウン     トウエ
Khin Maung Htwe
Phyu Thin Trading Co. Ltd.
社長
早稲田大学理工学総合研究センタ−  客員研究員
早稲田大学 博士(応用物理)
1996年度渥美奨学生ミャンマー、ヤンゴン市在住

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  1998年6月7日に日本を離れて、母国ミャンマ−へ戻ってから4カ月しか経っていないが、日本へ戻ってきました。外国出張から戻って来たような気分でした。本当はミャンマ−から日本とギリシャへの出張でした。自分が離れたところがどのようになっているのか、ギリシャでの学会発表が成功するか…などの心配が胸の中にはいっぱいでした。

  10月1日から11日まで日本に滞在し、12日から20日までギリシャへ行く予定でした。今回のギリシャへの学会参加:報告は渥美財団の海外派遣プログラムにより、ギリシャ、クレタ島のイラクリオンにOWLSV(Fifith International Conference on Optics Life Sciences)学会が、10月13日から16日までクレタ大学とFoundation for Research and Technology-Hellas らによって行われ、講演する予定でした。日本の滞在時は研究室での実験、渥美財団との交流、友達との集まり、お世話になった方たちへのあいさつなどで、毎日予定は山のようになっていました。

  研究室へ行ったときは、びっくりしました。私が助手の時使用した環境、品物などは、当時のまま、しかもサンダルまで置いてありました。私がいつでも研究室へ戻ってこられるように。しかも、皆さんのなかでは、私が研究室からミャンマ−へ出張していると思っていました。とっても嬉しくなりました。当時の研究室に行った気分になりました。先生にあいさつをしたところ「いつ実験する?」と聞かれましたが、ミャンマ−から来たことを忘れている様子でした。ギリシャへ、教授も含めて研究室から4名行くことになっていました。打ち合わせを行い、発表準備の予定などを相談した後、皆さんとひさしぶりに高田馬場駅近く飲み屋へ行って、ミャンマ−の経験などの話を山のようにしました。

  10月5日には、渥美財団の集まりがあり、出席しました。財団の理事長をはじめ役員の皆様、お客様、先輩、後輩らも出席していて、いつものように多くの人々が集まっていました。私も、ミャンマ−の現状、実際の国内での状況などを5分間話しました。最後に皆様と様々なお話ができ、いつものようにわくわくしながら、財団との交流の時間が経ちました。

  毎日の昼間は、あいさつ回りで忙しいが、夜は、研究室での発表準備で泊まり込みになってました。でも、学会準備も予想通りに終了し、12日から日本をしばらく離れることになりました。

  OWLS学会は、光学の専門家たちが、環境問題、医療機器・計測方法の開発、美術品の保管方法など、我々の生活環境に必要とされることを光学分野から考え、解決しようと言うことを目標として設立された学会でした。

  2年間隔で世界のどこかで、学会を行っていました。1994年は、早稲田大学で行われ、当研究室が事務局になった経験もありました。現在のOWLS国際学会の会長は、当研究室の大頭仁教授でした。

  日本からアテネまでは、シンガポ−ル乗り換えのシンガポ−ル航空で行きました。シンガポ−ルからアテネまで12時間かかり、夜が2回でした。12日の朝5時にアテネの空港へ到着しましたが、早い時間なので我々の飛行機に乗って来た乗客しかいませんでした。そこからクレタ島への航空券を求め、午前10時半にクレタ島へ出発しました。1時間後、クレタ島のイラクリオン国際空港へ到着し、学会を開催しているCapsis Beachまでベンツのタクシ−で行きました。このビ−チでは、周辺諸国から人が集まり学会などがよく開催されるとのことで、今回も他にドイツ人が中心の学会もありました。エ−ゲ海を見て、自分の仕事を忘れ、遊びの気分になってきました。ホテルでは、千葉大学の教授と同じ部屋になり、ここまでのことは夢のようになっていました。

  13日から学会がはじまり、参加者約150名のうち、アジア人は日本も含め10名しかいませんが、ドイツ人やイタリア人が多く、他は、アメリカ、カナダ、イギリス人などが何人かいました。学会の印象としては、アジアで開催されたときと異なり、少人数で行っているセミナ−のような感じです。私の講演は、14日にあり、どきどきした気分でした。

  今回、私の研究発表は、今までの眼科計測分野ではなく、「レ−ザ−を利用した新しい翡翠の検査法」について研究を行った結果を報告しました。私も光学関係の研究者であるため、対象として眼から翡翠に変えて新しい実験をミャンマ−へ戻る前に始めました。翡翠の生産としてミャンマ−は世界一でありますが、経済的な状況や技術などの問題で中国や香港などへ流れていました。今回の実験では、自然環境を保管するため、よりよい翡翠の検査法として、レ−ザ−光学面からアプロ−チして見ました。白色光(多色光)よりレ−ザ−光(単色光)を利用する事は、光の進み度合い、光の強度の違い、光の波長(色)の差、それらによって翡翠の内部状況がよりよく得られました。(この結果は、自分の仕事面でも役に立ちました。)

  学会発表も無事に終わり、最終日である16日はCapsisビ−チでエ−ゲ海を楽しみました。その後、アテネへ戻りギリシャの旅行をしました。エ−ゲ海の三つの島を旅するクル−ズ・ツア−にも参加しました。夢にも思っていないギリシャの美術や文化関係の建物、歴史上有名な観光地なども旅しました。20日に日本に戻りラク−ン会にも出席し、報告しました。

  今回、勉学と共に旅行を実現させていただいた渥美財団に深く感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。