これからの日本

ご こうびん
弘敏
東京工業大学 博士(電子工学)
フクダ電子株式会社勤務

 

  博士論文の発表が終わり、緊張の気持ちがやっとリラックスした。ふと考えてみると、私は来日してからもう5年目を迎えていました。その5年の間に、いろいろな体験を通して、特に日本の政治や、社会、文化など面において、いろいろ深く感じていることがあるので、ここで述べさせて頂きたいと思う。

  敗戦国の廃墟から立ち上がって、僅か50年で世界の経済巨人に成長して来た日本は、現在の国際経済の舞台において、非常に重要な役割を果たしている。日本の政府は、これから、経済大国だけでなく、外交、政治でも一人前になって、国際的に平和を願う国として認識されるようにいろいろな政策を実施している。例えば、発展途上国や、国連にいろいろな経済援助を出したり、外国人留学生をたくさん受け入れたりなどいろいろな努力をしている。しかし、まだいろいろな問題が残っていると思う。

  まず、一番敏感な太平洋戦争の話題について、日本の政府はどうも50年前のその戦争は日本がアメリカに敗れたのであって、アジアの国々には負けなかったと考えているような気がする。その戦争は、東南アジア諸国に災難をもたらしただけではなく、日本にも人類最初の原子爆弾が落とされ大きな被害がでた。日本は自分たちの受けた被害を語り継ぐだけではなく、他国に及ぼした害も正しく認識しなければならないと思う。そうでないと、どんな国際的な平和貢献も表面的なものになってしまうのではないだろうか。

  次に、日本政府は国際化を進めるため、留学生をたくさん受け入れている。しかし、日本人の大学生は留学生とほとんと交流していないのも現実の問題である。留学生は日本の社会、文化、又は優れている科学技術を一生懸命理解し吸収する。日本の若者も日本政府の政策と留学生に対する思いやりをきちんと理解して、共生の時代を目指して異文化を理解するために、留学生と一層の対話や議論にもっと積極的に参加して、さらに、心もオープンにして自分の国の国際社会におけるイメージアップに役立つべきではないか。21世紀に向けての日本と外国、特に日本とアジアの信頼関係の構築は日本国民、特に若い世代の責任と使命であると思う。

  戦後50年を過ぎて、世界諸民族の中で一番勤勉かつ独特な倹約と模倣能力を持つ国民の努力により、日本は世界最大の債権国になって、経済が高度繁栄し、国民の生活も豊かになってきた。日本の社会も世界中で一番安定し、政情も大きく変化しない。このような高度物質文明の日本社会は、さらに、高度な精神文明の創造にも努力して、世界的な平和と人類の愛を追求しながら、真剣に国際平和に取り組んで貢献すると期待している。