日本と韓国の文化の違い

ラ  インスク
羅 仁淑
早稲田大学大学院経済学研究科

 

私が留学して以来、ハアッと感じたことをいくつか紹介したいと思います。

初めて親が日本に来ると言った時、私は嬉しい気持ちより何より真っ先に心配になったことがあります。それは「テレビをどこへ隠すか」でした。日本のテレビは親子が一緒に見られない番組が多いからです。韓国のテレビは日本のNHKやETVに相当するような内容です。今でもたまに帰国をした時はいつも同じ感じを受けています。

留学して間もないころ大家さんの家に遊びに行ったら、大家さんの娘が親の前で平気な顔をしてタバコを吸っていました。顔が火照る思いをしました。その後、弟と一緒に道を横断していたら、反対側から若い女性がタバコを吸いながら歩いて来ました。私の方が弟に対して恥ずかしくて目を反らし、わざと他を見ている振りをしてその場を凌ぎました。

韓国ではお茶碗を食卓に置いて腰をまっすぐ伸ばしてスプーンを口に運んで食べることが品のある食べ方です。しかし日本はお茶碗を手に持って箸で食べることが品のある食べ方のようです。帰国をした時、日本で身に付いた習慣通り食べると、母から「使用人のような食べ方しないで・・」と叱られますし、日本に戻ってはついうっかり韓国式の食べ方をしないように気を付けております。

韓国は生ものを食べる習慣があまりなく、日本はニンニクを食べる習慣(最近は食べる人が増えたが)があまりないです。韓国人は日本人に魚臭いと言うし、日本人は韓国人にニンニク臭いと言います。

韓国には日本のお祭りのように町ぐるみで何かを共同でやる習慣がないです。お祭りの準備から片づけまでみんな力を合わせて心一つになってやっている光景を見て私は感激しました。「韓国人は団結力がなくて日本人は団結力が強いんだよ。それを砂と塵に比較してみると、韓国人は砂で、日本人は塵に例えられるよ。砂は握っている時には一つに固まったように見えるけれど、手を広げると、一粒ずつバラバラになってしまうでしょう。しかしチリは手を広げても一つになったままでしょう」と亡父が言ったことを思い出しました。父が言っていた日本人の団結力はこのような慣習から作り上げられたものかも知れないと思いました。

文化はそれぞれの国によって違います。自分の国の文化が良くて、自分の国と違う文化が悪いと考えがちです。もちろんその中には良くないものの一つや二つはあるでしょう。しかし、どの国にも先祖代々から受け継がれてきた貴い遺産である文化があります。慣れていない文化は排他的になりがちかも知れませんが、自分の国の文化を尊重してもらうためには、まず、自分の国と違う文化をも尊重する気持ちを持たなければならないと思います。生ものを食べようが、ニンニクを食べようが、お茶碗を置いて食べようが、持って食べようが、お箸で食べようが、スプーンで食べようが、そんなことどうでも良いことではありませんか?

個人間においても国家間においても同じことが言えると思いますが、相手を認める姿勢が欠けていると、決して自分のことを認めてもらうことは出来ないと思います。